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公開日 2023/08/01 06:30
【特別企画】音楽の本質を的確に引き出す

“ミュージックファースト”を貫くディナウディオ、その中核ライン「Evoke」シリーズを徹底試聴

岩井 喬

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エントリー「Emit」の一つ上。上位グレードの技術も搭載するEvokeシリーズ



デンマークが誇る世界のスピーカーブランド、ディナウディオ。そのラインナップの中でも手頃な入門〜中級レンジに位置する「Evoke」シリーズは、エントリークラス「Emit」シリーズの上位に位置し、「Exite」シリーズの後継として2019年に発売を開始して以降、ロングセラー製品として順調に存在感を示している。センタースピーカー「Evoke 25C」を含め、5つの製品群から構成されているEvokeシリーズであるが、今回はその魅力に迫るべく、ブックシェルフ型「Evoke 10」「Evoke 20」、フロアスタンディング型「Evoke 30」「Evoke 50」の4モデルについて、フォーカスを当ててみたい。

2019年の発売以来ロングセラーとなっているディナウディのEvoke(イヴォーク)シリーズ。写真は2.5ウェイの「Evoke 30」

Evokeシリーズの開発においては、2017年ディナウディオ・ラボ内に完成したスピーカー測定を行う巨大な施設、「Jupiter」の存在が大きな役割を果たしたという。Jupiterは一辺が13mの巨大な立方体であり、一台のスピーカーから発せられた音波を円弧状に捉えることのできるマイクアレイ(6度間隔に31本のマイクを設置)で一度に180度の音を測定。またこのマイクアレイそのものを回転させることで、360度の測定も可能だという。無論、このマイクアレイだけではなく、様々な測定も行えるというが、このJupiterが完成したおかげで、開発スピードも飛躍的にアップしたといい、短期間であっても完成度の高いスピーカーシステムを生み出すことに成功したのである。



そうした背景によって生み出されたEvokeシリーズ共通のポイントについてみていこう。心臓部ともいえるドライバーユニットは上位シリーズ由来のテクノロジーを取り入れており、高域を担うトゥイーターは創業40周年記念の「Special Forty」や「Confidence」シリーズ開発で得たノウハウを生かした仕様となっている。

Evokeシリーズには「Cerotar」と名付けられた新たなトゥイーターを全モデルに搭載。28mmの比較的大口径なドーム振動板には特殊な精密コーティングが施されており、その裏面側には、航空宇宙由来の気流制御技術をベースとした、Special Fortyに連なるエアフロー技術を取り入れつつ、Confidenceシリーズの「Esotor 3」トゥイーターで用いた「Hexis」テクノロジーを導入している。Hexisは振動板裏の空間を埋めるリング状フェルトに代わり、後部チャンバーに通ずる圧力導管を伝う空気の流れを最適化し、共振を排除できる、非常に特殊なディンブルパターンを持たせたインナードーム構造物だ。磁気回路については炭酸ストロンチウム・フェライト+/セラミック・マグネットを採用している。

Evokeシリーズに共通のトゥイーター「Cerotar」

さらにウーファーについては0.4mmという薄く軽量でありながらも剛性に優れた独自の一体成型・振動板素材、MSP(Magnesium Silicate Polymer:珪酸マグネシウム・ポリマー)を用いた、「Esotec+」ドライバーを搭載。こちらも磁気回路にはトゥイーターと同じ、炭酸ストロンチウム・フェライト+/セラミック・マグネットを採用。Evoke 10とEvoke 30は14cm口径、Evoke 20とEvoke 50は18cm口径のユニットが搭載される。

ウーファーユニット「Esotec+」。写真は10と30に搭載される14cm口径のもの

リアバスレフ方式のキャビネットはバッフル面の幅を広くする一方、背面側の幅を狭くした台形スタイルを採用。強度面だけでなく定在波対策も行ったものとしているようだ。同じ口径のウーファー搭載機であるEvoke 10とEvoke 30。そしてEvoke 20とEvoke 50の幅と奥行きはほぼ同寸法。仕上げはホワイトグロス、ブラックグロス、木目調シート仕上げのウォルナットウッド、ブロンズウッドの4種類から選択できる。

キャビネットは全機種について奥にむけてすぼまった台形形状

ブックシェルフ型2モデルをハイレゾ音源でチェック

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