公開日 2023/08/15 06:30
15万円以上20万未満から5モデルを比較レビュー
激戦区のスタンダードクラスAVアンプ、入門機よりも一段上の高音質モデルを徹底チェック!
大橋伸太郎
入門クラスよりも、さらに一段上の音質で3Dオーディオを楽しめる、スタンダードクラスのAVアンプ。機能面においても、各社の上位機種から多数引き継いでおり、コストパフォーマンスの高さも特徴的なクラスだ。また15万円以上20万円未満の価格帯の中で、5機種が競合するカテゴリーであり、激戦区である。デノン、マランツ、ヤマハ、そしてオンキヨー、パイオニア、AVアンプの主要ブランドから、改めてモデルが揃ったことも、AVファンには嬉しい部分だろう。
スタンダードクラスは、7chモデルと9chモデルがクロスオーバーするカテゴリーでもある。AVアンプのグレード差は、やはり内蔵するアンプ数が大きく影響する。3Dオーディオ・システムを組む際、7chモデルの場合は高さ方向のスピーカーを2本使用できる5.1.2chが最大となるが、9chモデルは高さ方向のスピーカーを4本導入できる5.1.4chのシステムを組むことができる。
どのような3Dオーディオ・システムを組みたいか、ユーザー自身の今度の展開も考えたモデル選定が必要となるクラスでもあるのだ。しかし、やはりAVアンプの最重要要素は、いうまでもなく音質。そこで本稿では、スタンダードクラスにラインナップするAVアンプ・5モデルを一堂に揃え、一斉試聴を行った。各モデルの音の違いを楽しんでみてほしい。
フロント中央にポートホールを持つ新世代のデザインをまとい、高さ109mmのスリムボディで個性的な存在感は今回随一のモデル。7ch・パワーアンプを搭載しており、音質を優先しオペアンプを持たないフルディスクリート構成を採用している。実用最大出力は100Wで、フロント・バイアンプ駆動も可能だ。
HDMI入力は6系統、出力は1系統搭載しており、eARC、8K/60Hz・4K/120Hzのパススルーに対応。3Dオーディオフォーマットは、Dolby AtmosとDTS:Xをカバーする。HEOS Built-inでネットワーク機能に対応し、Bluetoothも実装する。
■鮮鋭感があり移動表現と背景音のバランスが素直
音の汚れのない聴きやすくバランスのいいアンプだ。ジャズトリオのピアノは、厚みと丸みのある洗練された響き。ベースは音程ににじみがなく音圧、音質が揃っている。ローエンドの伸びはいまひとつだが、S/Nに優れているため、ドラムソロの音数や表現が豊かだ。
映画は、セリフがややハイ上がりの傾向があるが、鮮鋭感がありその分聴き取りやすい。劇伴の再生からもエネルギーバランスが高めで、ここに本機のキャラクターがある。アクションの描写に瞬発力があり、音場全体が高鳴る。また音場に大きさ、広がりもある。セパレーションも取れているため、オブジェクトの移動表現と背景音のバランスも素直だ。
7chアンプ構成で、H型クロスフレームのシャーシや、本体前面の中央に5本目の脚を追加するなど、同社のAVアンプ「AVENTAGE」の象徴的な剛体設計や制振性能が盛り込まれている。さらに、AIによって視聴中のコンテンツを分析し、最適な音場効果を作り出す独自機能「SURROUND:AI」、高さ方向も含む音場空間を再現するオリジナルの立体音響技術「シネマDSP HD3」も搭載。
シネマDSP HD3は、Dolby AtmosやDTS:Xとの掛け合わせにも対応している。自動音場補正技術「YPAO」も、64bit演算によるイコライジング処理によって、高精度な音場補正を実現。eARCや8K/60Hz・4K/120Hzのパススルー対応のHDMI端子も備える。MusicCast機能によって、音楽配信サービスも楽しめる。
■鮮明な表現でサウンドデザインの狙いも的確
ジャズトリオは、ナチュラルでクセのない音楽再生で、力みや尖ったところがない好バランスな静かに熱い演奏を楽しめる。ベースソロは音圧、響きとも音程によるムラや変化がなく、楽器メーカーらしい自然でビューティフルな音質は、万人に好感されよう。ここでSOURROUND:AIをオン/オフしてみると、オンのほうが音場の奥行き、広がりが出る印象だ。
映画は日本語のセリフが中域に厚みがあり人間らしく聴こえ、鮮明だが耳障りでない。移動表現が鮮明なため、空間が広々としている。ミュージックシーンと会話主体のドラマシーンが織りなす映画『エルヴィス』でも、SOUROUND:AIが威力を発揮しており、サウンドデザインの狙いを的確に引き出してくれる。長年AVアンプも開発を行ってきた、同社ならではの確かなノウハウを垣間見た。
オンキヨーのラインナップのなかでベーシックに位置する7chアンプを搭載したモデル。同社が長年培ってきたアンプ技術を、下位モデルながら細部まで継承していることが実感できる作り込み。ホームシアターサウンド認定の「THX Certified Select」を取得しており、3DオーディオフォーマットはDolby AtmosとDTS:Xに対応する。
独自の大電流&ローインピーダンス設計をはじめ、カスタムメイドの電源トランスやコンデンサーを投入することで力強いスピーカードライブも可能としている。また、フロントLRのみではあるが、デジタルノイズを除去する独自回路「VLSC」も備える。自動音場補正は「AccuEQ」を採用。HDMI出力端子は、eARCに対応する。
■明るく艶やかで華やかさに満ちたサウンド
出音した瞬間に明るく躍動的な音質に嬉しさが込み上げてきた。まさしく“オンキヨーの音”であり、また立ち止まってはいなかった。以前は低域の解像感が不足気味だったが、今回はベースソロが自然に響き、ドラムソロもタイトで切れがある。量感と解像感をうまくバランスした印象であり、着実に進化している。
映画サウンドはキレがよく、効果音が音場に散乱する。移動表現も鮮明であり、音場がスケールアップ。映画のセリフは落ち着いて、英語が聴き取りやすく、アメリカ市場での経験が活きている印象。音楽の艶っぽい美しさなめらかさも印象的であり、映画『エルヴィス』のミュージックシーンに明るい艶があり、華やかに楽しませてくれる、まさにエンターテインメント寄りのサウンドだ。
スタンダードクラスは、7chモデルと9chモデルがクロスオーバーするカテゴリーでもある。AVアンプのグレード差は、やはり内蔵するアンプ数が大きく影響する。3Dオーディオ・システムを組む際、7chモデルの場合は高さ方向のスピーカーを2本使用できる5.1.2chが最大となるが、9chモデルは高さ方向のスピーカーを4本導入できる5.1.4chのシステムを組むことができる。
どのような3Dオーディオ・システムを組みたいか、ユーザー自身の今度の展開も考えたモデル選定が必要となるクラスでもあるのだ。しかし、やはりAVアンプの最重要要素は、いうまでもなく音質。そこで本稿では、スタンダードクラスにラインナップするAVアンプ・5モデルを一堂に揃え、一斉試聴を行った。各モデルの音の違いを楽しんでみてほしい。
MARANTZ「CINEMA 70s」
フロント中央にポートホールを持つ新世代のデザインをまとい、高さ109mmのスリムボディで個性的な存在感は今回随一のモデル。7ch・パワーアンプを搭載しており、音質を優先しオペアンプを持たないフルディスクリート構成を採用している。実用最大出力は100Wで、フロント・バイアンプ駆動も可能だ。
HDMI入力は6系統、出力は1系統搭載しており、eARC、8K/60Hz・4K/120Hzのパススルーに対応。3Dオーディオフォーマットは、Dolby AtmosとDTS:Xをカバーする。HEOS Built-inでネットワーク機能に対応し、Bluetoothも実装する。
■鮮鋭感があり移動表現と背景音のバランスが素直
音の汚れのない聴きやすくバランスのいいアンプだ。ジャズトリオのピアノは、厚みと丸みのある洗練された響き。ベースは音程ににじみがなく音圧、音質が揃っている。ローエンドの伸びはいまひとつだが、S/Nに優れているため、ドラムソロの音数や表現が豊かだ。
映画は、セリフがややハイ上がりの傾向があるが、鮮鋭感がありその分聴き取りやすい。劇伴の再生からもエネルギーバランスが高めで、ここに本機のキャラクターがある。アクションの描写に瞬発力があり、音場全体が高鳴る。また音場に大きさ、広がりもある。セパレーションも取れているため、オブジェクトの移動表現と背景音のバランスも素直だ。
YAMAHA「RX-A4A」
7chアンプ構成で、H型クロスフレームのシャーシや、本体前面の中央に5本目の脚を追加するなど、同社のAVアンプ「AVENTAGE」の象徴的な剛体設計や制振性能が盛り込まれている。さらに、AIによって視聴中のコンテンツを分析し、最適な音場効果を作り出す独自機能「SURROUND:AI」、高さ方向も含む音場空間を再現するオリジナルの立体音響技術「シネマDSP HD3」も搭載。
シネマDSP HD3は、Dolby AtmosやDTS:Xとの掛け合わせにも対応している。自動音場補正技術「YPAO」も、64bit演算によるイコライジング処理によって、高精度な音場補正を実現。eARCや8K/60Hz・4K/120Hzのパススルー対応のHDMI端子も備える。MusicCast機能によって、音楽配信サービスも楽しめる。
■鮮明な表現でサウンドデザインの狙いも的確
ジャズトリオは、ナチュラルでクセのない音楽再生で、力みや尖ったところがない好バランスな静かに熱い演奏を楽しめる。ベースソロは音圧、響きとも音程によるムラや変化がなく、楽器メーカーらしい自然でビューティフルな音質は、万人に好感されよう。ここでSOURROUND:AIをオン/オフしてみると、オンのほうが音場の奥行き、広がりが出る印象だ。
映画は日本語のセリフが中域に厚みがあり人間らしく聴こえ、鮮明だが耳障りでない。移動表現が鮮明なため、空間が広々としている。ミュージックシーンと会話主体のドラマシーンが織りなす映画『エルヴィス』でも、SOUROUND:AIが威力を発揮しており、サウンドデザインの狙いを的確に引き出してくれる。長年AVアンプも開発を行ってきた、同社ならではの確かなノウハウを垣間見た。
ONKYO「TX-NR6100」
オンキヨーのラインナップのなかでベーシックに位置する7chアンプを搭載したモデル。同社が長年培ってきたアンプ技術を、下位モデルながら細部まで継承していることが実感できる作り込み。ホームシアターサウンド認定の「THX Certified Select」を取得しており、3DオーディオフォーマットはDolby AtmosとDTS:Xに対応する。
独自の大電流&ローインピーダンス設計をはじめ、カスタムメイドの電源トランスやコンデンサーを投入することで力強いスピーカードライブも可能としている。また、フロントLRのみではあるが、デジタルノイズを除去する独自回路「VLSC」も備える。自動音場補正は「AccuEQ」を採用。HDMI出力端子は、eARCに対応する。
■明るく艶やかで華やかさに満ちたサウンド
出音した瞬間に明るく躍動的な音質に嬉しさが込み上げてきた。まさしく“オンキヨーの音”であり、また立ち止まってはいなかった。以前は低域の解像感が不足気味だったが、今回はベースソロが自然に響き、ドラムソロもタイトで切れがある。量感と解像感をうまくバランスした印象であり、着実に進化している。
映画サウンドはキレがよく、効果音が音場に散乱する。移動表現も鮮明であり、音場がスケールアップ。映画のセリフは落ち着いて、英語が聴き取りやすく、アメリカ市場での経験が活きている印象。音楽の艶っぽい美しさなめらかさも印象的であり、映画『エルヴィス』のミュージックシーンに明るい艶があり、華やかに楽しませてくれる、まさにエンターテインメント寄りのサウンドだ。
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