公開日 2023/12/02 07:00
スコットランドの名門LINNが、同社製品の多くに対応できるアップグレード電源ユニット「UTOPIK」を発売した。
「機器本体電源部の」換装。経験豊富なマニアであれば、数あるオーディオアクセサリーの中で最も効果が大きいのはなんといっても、クリーン電源や電源ケーブル等の電源系であることはよくご存知であろう。まるで機器を買い換えたかのようなレベルの劇的な効果をもたらすのが電源系アクセサリーだ。
エネルギー感だけでなく解像度や空間表現等々、音質を論じる際の全てのファクターにおいて絶大な音質向上効果がある。機器外部の存在に過ぎない電源系アクセサリーであれほど変わるのだ、ましてコンポーネント本体内部の電源部交換がもたらしうる変化の大きさたるや計り知れないものがあることはお分かりいただけるだろう。
2009年以来ほとんどのLINN製品の電源として搭載されていたDYNAMIKパワーサプライも、低ノイズ・高速応答性、そして高出力を特長とする優れたスイッチング電源であったが、新世代電源ユニットUTOPIKはそれらの特長をさらに磨き上げている。具体的には、以下の3つの新技術を搭載している。
(i)Intelligent Valley Switching
トランス入力部で発振サイクルを監視することで最も低い電圧の「谷」を特定、この「谷」のポイントでのみスイッチングをすることにより理想的な0Vスイッチングに近づけてスイッチングノイズを劇的に減少
(ii)Power Factor Correction
主電源からの電流の取り込みを電圧に比例してするように変更、AC波全体に分散させて波形を安定させる「力率補正」を行うことで主電源に歪みを与えず高調波ノイズを低減
(iii)Precision regulated and isolated rails
ノイズの多い電源レールが電力変動に敏感なアナログレールに影響を与えないよう、4つの電源レールそれぞれに独立した精密なレギュレーション層を装備
では電源をUTOPIKにアップグレードしたら実際どんな効果があるのか?まず、パワーアンプを搭載する製品中唯一今回のアップグレードに対応している「SELEKT DSM-KA」で旧来のDYNAMIK電源と新しいUTOPIK電源とを比較試聴してみよう。
最初にDYNAMIK電源でひと通り聴いた後UTOPIK電源に換装し、音量を変えずに改めて同じ曲を聴いてみる。
『交響曲1997「天、地、人」』 タン・ドゥン作曲・指揮、香港フィルハーモニー管弦楽団
UTOPIKにするとノイズフロアが明らかに低い。音量が上がったとしか思えないのはS/N比とエネルギー感がともに向上したからだろう。そして各鐘の音の密度感が高まる。DYNAMIKでオーケストラと渾然一体気味だった児童合唱の音像がしっかり分離。楽器の配置の前後もだいぶ分かるようになった。
『モーリス・アンドレ シルヴィオ・グァルダ:トランペットとパーカッション』 ジョリヴェ作曲・指揮、コンセール・ラムルー管弦楽団
パーカッションのアタックが急峻度を増す。そして余韻を構成する音の成分が桁違いにワイドかつ精緻に描かれる。時間方向には急峻に変化する一方で周波数方向にはブロードな特徴を持つパーカッションの再生に、やはり電源の強化はダイレクトに効くのだ。先ほどは聴こえなかった録音会場のエアーも生々しく、気がつくと奏者の緊張感に身体が同調してしまっていた。
『フォーレ:組曲《ペレアスとメリザンド》』フルネ指揮、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団
DYNAMIKでは左右のスピーカーの内側ばかりを意識させていた音場が、スピーカーの外側方向に拡大。この録音では埋没しがちなフルートやチェロだけでなく、本来目立つべきハープの音像さえもが溶け込み過ぎていたが、UTOPIKにすると各音像が粒立ち良く分解されたうえで滑らかにブレンドされる。
『Lost River』Michele Rabbia
軽くて薄かったバスドラムが重く分厚くなる。2次元軌道を描いてゴロンゴロンと転がっていた金属音が、UTOPIKだと重量感・実在感を高めたうえで3次元軌道を描く。トロンボーンのロングトーンが力強く粘るので奏者の筋肉、肺活量が増えたかのような印象。
「SELEKT DSM-KA」のUTOPIK化、やはり効果絶大である。ブラインドで聴たらアンプを上位機に換えたと判断するに違いない。
最上級の内容を誇るフラグシップモデルである「KLIMAX DSM/3」もUTOPIKに換装できる。しかし、今聴いた「SELEKT DSM-KA」と異なり、こちらはパワーアンプを内蔵しない。つまりUTOPIK化して恩恵をこうむるのはフラグシップとして既に最高レベルを実現しているプリ部とネットワークプレーヤー部のみになるわけだが、この「KLIMAX DSM/3」の電源をDYNAMIKからUTOPIKに換装しても効果はあるのだろうか?パワーアンプを「KLIMAX TWIN」(電源はDYNAMIK)で固定して聴き比べてみよう。
『交響曲1997「天、地、人」』
DYNAMIK電源のまま聴いてもそこはフラグシップ、先ほどの「SELEKT DSM-KA」による音楽表現が上質なコットン地のキャンバスに描いた絵のようだったとしたら、「KLIMAX DSM/3」のそれは最高級のシルク地のキャンバスに描いた絵のよう。あるいは鏡面度が上がったとでも言おうか。S/N比、解像度、そして品位がそもそもまるで違う。
しかしUTOPIKにすると「SELEKT DSM-KA」との差が拡大する。S/N比がさらに向上しノイズフロアが大きく下がるので、変えていないはずの音量がどう聴いても大きくなったように感じる。加えて児童合唱が解き放たれたように伸びやかに歌い、鐘はアタックとその後の余韻の描写が実に克明。
『アンドレ&グァルダ:トランペットとパーカッション』
プリ部の電源の高速応答性が高まったからなのだろう、やはりUTOPIKにするとパーカッションのアタックが急峻度を増す。アタックの再現が正確になると各楽器毎の音色の違いがより明らかになるというのはやはり本当らしい。圧倒的に低くなったノイズフロアとの相乗効果で、各楽器の音色の違いが実にわかりやすいのだ。
『フォーレ:組曲《ペレアスとメリザンド》』
UTOPIKにするとハープの奏でる一音一音にふくよかさが。倍音成分が激増した印象で余韻の豊かさ、深さは驚くほど。また弦楽器群も細やかさを増しつつ分厚く豊かになった。リッチでゴージャス!
『Lost River』
DYNAMIK搭載時の「KLIMAX DSM/3」でもS/N比が非常に優れ、この録音の人工音場感が際立っていたし、パワーアンプが「KLIMAX TWIN」になったことで、バスドラムっぽい電子音による重低音が試聴室の空気を大いに揺るがしていた。だがUTOPIKにすると今まで意識すらしなかった暗騒音までもが見事に消え失せるうえに、電子音の質量感がさらに増加。ホウキで掃くような音が立体的になり、奥の方で転がるブリキめいた物体の音像サイズはまるで眼鏡の度が合ったときのようにキュッと小さくなる。そして各種打楽器音の余韻が精緻に描かれてなんとも美しい。
今回はLINNの代表的な現行ネットワークプレーヤーである「SELEKT DSM-KA」と「KLIMAX DSM/3」で聴き比べたが、過去に発売となったKLIMAX/AKURATE/MAJIKのDS/DSM/SYSTEM HUBシリーズの多くもUTOPIKに換装が可能となる。UTOPIK化の効果は想像を「遥かに」超えるものだった。効果の大きさを考えると、アップグレード対応機種をお持ちの方々がこのキャンペーンを逃す手はないと思う。
2024年1月31日まで、LINN製品を合計60万円(税込)以上を新規購入すると、1台分のUTOPIKアップグレード(通常価格:242,000円/税込)が無料となるキャンペーンを実施している。
キャンペーン対象製品は、DSMシリーズ(KLIMAX/SELEKT/MAJIK)、LP12パッケージ(KLIMAX/SELEKT/MAJIK)、パワーアンプ(KLIMAX/AKURATE/MAJIK)、スピーカー(104Cを除く)、EXAKTBOX(EXAKTBOX SUBを除く)、ORGANIKアップグレード。複数製品の組み合わせで60万円以上となる場合も対象となる。
【UTOPIKアップグレード対応製品】
・KLIMAX DS (全モデル)
・KLIMAX DSM (全モデル)
・KLIMAX RENEW DS
・KLIMAX SYSTEM HUB (全モデル)
・SELEKT DSM
・AKURATE DS (全モデル)
・AKURATE DSM (全モデル)
・AKURATE SYSTEM HUB
・MAJIK DS (全モデル)
・AKURATE EXAKTBOX 6 10
・UNIDISK 1.1 2.1 SC
・AKURATE CD
・AKURATE KONTROL (全モデル)
キャンペーンの詳細、アップグレードの段取りについては、お近くのオーディオ専門店にお問い合わせを。
(提供:リンジャパン)
【特別企画】2024年1月末までキャンペーン実施中
電源強化はオーディオの要。LINNの新電源モジュール「UTOPIK」の“劇的な効果”をレビュー!
園田洋世スイッチング電源を追求してきたLINNの新モジュール「UTOPIK」をレビュー
スコットランドの名門LINNが、同社製品の多くに対応できるアップグレード電源ユニット「UTOPIK」を発売した。
「機器本体電源部の」換装。経験豊富なマニアであれば、数あるオーディオアクセサリーの中で最も効果が大きいのはなんといっても、クリーン電源や電源ケーブル等の電源系であることはよくご存知であろう。まるで機器を買い換えたかのようなレベルの劇的な効果をもたらすのが電源系アクセサリーだ。
エネルギー感だけでなく解像度や空間表現等々、音質を論じる際の全てのファクターにおいて絶大な音質向上効果がある。機器外部の存在に過ぎない電源系アクセサリーであれほど変わるのだ、ましてコンポーネント本体内部の電源部交換がもたらしうる変化の大きさたるや計り知れないものがあることはお分かりいただけるだろう。
2009年以来ほとんどのLINN製品の電源として搭載されていたDYNAMIKパワーサプライも、低ノイズ・高速応答性、そして高出力を特長とする優れたスイッチング電源であったが、新世代電源ユニットUTOPIKはそれらの特長をさらに磨き上げている。具体的には、以下の3つの新技術を搭載している。
(i)Intelligent Valley Switching
トランス入力部で発振サイクルを監視することで最も低い電圧の「谷」を特定、この「谷」のポイントでのみスイッチングをすることにより理想的な0Vスイッチングに近づけてスイッチングノイズを劇的に減少
(ii)Power Factor Correction
主電源からの電流の取り込みを電圧に比例してするように変更、AC波全体に分散させて波形を安定させる「力率補正」を行うことで主電源に歪みを与えず高調波ノイズを低減
(iii)Precision regulated and isolated rails
ノイズの多い電源レールが電力変動に敏感なアナログレールに影響を与えないよう、4つの電源レールそれぞれに独立した精密なレギュレーション層を装備
「UTOPIK」で音質はどう変化する? SELEKT DSM-KAでテスト
では電源をUTOPIKにアップグレードしたら実際どんな効果があるのか?まず、パワーアンプを搭載する製品中唯一今回のアップグレードに対応している「SELEKT DSM-KA」で旧来のDYNAMIK電源と新しいUTOPIK電源とを比較試聴してみよう。
最初にDYNAMIK電源でひと通り聴いた後UTOPIK電源に換装し、音量を変えずに改めて同じ曲を聴いてみる。
『交響曲1997「天、地、人」』 タン・ドゥン作曲・指揮、香港フィルハーモニー管弦楽団
UTOPIKにするとノイズフロアが明らかに低い。音量が上がったとしか思えないのはS/N比とエネルギー感がともに向上したからだろう。そして各鐘の音の密度感が高まる。DYNAMIKでオーケストラと渾然一体気味だった児童合唱の音像がしっかり分離。楽器の配置の前後もだいぶ分かるようになった。
『モーリス・アンドレ シルヴィオ・グァルダ:トランペットとパーカッション』 ジョリヴェ作曲・指揮、コンセール・ラムルー管弦楽団
パーカッションのアタックが急峻度を増す。そして余韻を構成する音の成分が桁違いにワイドかつ精緻に描かれる。時間方向には急峻に変化する一方で周波数方向にはブロードな特徴を持つパーカッションの再生に、やはり電源の強化はダイレクトに効くのだ。先ほどは聴こえなかった録音会場のエアーも生々しく、気がつくと奏者の緊張感に身体が同調してしまっていた。
『フォーレ:組曲《ペレアスとメリザンド》』フルネ指揮、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団
DYNAMIKでは左右のスピーカーの内側ばかりを意識させていた音場が、スピーカーの外側方向に拡大。この録音では埋没しがちなフルートやチェロだけでなく、本来目立つべきハープの音像さえもが溶け込み過ぎていたが、UTOPIKにすると各音像が粒立ち良く分解されたうえで滑らかにブレンドされる。
『Lost River』Michele Rabbia
軽くて薄かったバスドラムが重く分厚くなる。2次元軌道を描いてゴロンゴロンと転がっていた金属音が、UTOPIKだと重量感・実在感を高めたうえで3次元軌道を描く。トロンボーンのロングトーンが力強く粘るので奏者の筋肉、肺活量が増えたかのような印象。
「SELEKT DSM-KA」のUTOPIK化、やはり効果絶大である。ブラインドで聴たらアンプを上位機に換えたと判断するに違いない。
「KLIMAX DSM/3」でもテスト。ネットワーク/DAC部&プリ部への供給電源を強化
最上級の内容を誇るフラグシップモデルである「KLIMAX DSM/3」もUTOPIKに換装できる。しかし、今聴いた「SELEKT DSM-KA」と異なり、こちらはパワーアンプを内蔵しない。つまりUTOPIK化して恩恵をこうむるのはフラグシップとして既に最高レベルを実現しているプリ部とネットワークプレーヤー部のみになるわけだが、この「KLIMAX DSM/3」の電源をDYNAMIKからUTOPIKに換装しても効果はあるのだろうか?パワーアンプを「KLIMAX TWIN」(電源はDYNAMIK)で固定して聴き比べてみよう。
『交響曲1997「天、地、人」』
DYNAMIK電源のまま聴いてもそこはフラグシップ、先ほどの「SELEKT DSM-KA」による音楽表現が上質なコットン地のキャンバスに描いた絵のようだったとしたら、「KLIMAX DSM/3」のそれは最高級のシルク地のキャンバスに描いた絵のよう。あるいは鏡面度が上がったとでも言おうか。S/N比、解像度、そして品位がそもそもまるで違う。
しかしUTOPIKにすると「SELEKT DSM-KA」との差が拡大する。S/N比がさらに向上しノイズフロアが大きく下がるので、変えていないはずの音量がどう聴いても大きくなったように感じる。加えて児童合唱が解き放たれたように伸びやかに歌い、鐘はアタックとその後の余韻の描写が実に克明。
『アンドレ&グァルダ:トランペットとパーカッション』
プリ部の電源の高速応答性が高まったからなのだろう、やはりUTOPIKにするとパーカッションのアタックが急峻度を増す。アタックの再現が正確になると各楽器毎の音色の違いがより明らかになるというのはやはり本当らしい。圧倒的に低くなったノイズフロアとの相乗効果で、各楽器の音色の違いが実にわかりやすいのだ。
『フォーレ:組曲《ペレアスとメリザンド》』
UTOPIKにするとハープの奏でる一音一音にふくよかさが。倍音成分が激増した印象で余韻の豊かさ、深さは驚くほど。また弦楽器群も細やかさを増しつつ分厚く豊かになった。リッチでゴージャス!
『Lost River』
DYNAMIK搭載時の「KLIMAX DSM/3」でもS/N比が非常に優れ、この録音の人工音場感が際立っていたし、パワーアンプが「KLIMAX TWIN」になったことで、バスドラムっぽい電子音による重低音が試聴室の空気を大いに揺るがしていた。だがUTOPIKにすると今まで意識すらしなかった暗騒音までもが見事に消え失せるうえに、電子音の質量感がさらに増加。ホウキで掃くような音が立体的になり、奥の方で転がるブリキめいた物体の音像サイズはまるで眼鏡の度が合ったときのようにキュッと小さくなる。そして各種打楽器音の余韻が精緻に描かれてなんとも美しい。
今回はLINNの代表的な現行ネットワークプレーヤーである「SELEKT DSM-KA」と「KLIMAX DSM/3」で聴き比べたが、過去に発売となったKLIMAX/AKURATE/MAJIKのDS/DSM/SYSTEM HUBシリーズの多くもUTOPIKに換装が可能となる。UTOPIK化の効果は想像を「遥かに」超えるものだった。効果の大きさを考えると、アップグレード対応機種をお持ちの方々がこのキャンペーンを逃す手はないと思う。
LINN スペシャルキャンペーンの詳細
2024年1月31日まで、LINN製品を合計60万円(税込)以上を新規購入すると、1台分のUTOPIKアップグレード(通常価格:242,000円/税込)が無料となるキャンペーンを実施している。
キャンペーン対象製品は、DSMシリーズ(KLIMAX/SELEKT/MAJIK)、LP12パッケージ(KLIMAX/SELEKT/MAJIK)、パワーアンプ(KLIMAX/AKURATE/MAJIK)、スピーカー(104Cを除く)、EXAKTBOX(EXAKTBOX SUBを除く)、ORGANIKアップグレード。複数製品の組み合わせで60万円以上となる場合も対象となる。
【UTOPIKアップグレード対応製品】
・KLIMAX DS (全モデル)
・KLIMAX DSM (全モデル)
・KLIMAX RENEW DS
・KLIMAX SYSTEM HUB (全モデル)
・SELEKT DSM
・AKURATE DS (全モデル)
・AKURATE DSM (全モデル)
・AKURATE SYSTEM HUB
・MAJIK DS (全モデル)
・AKURATE EXAKTBOX 6 10
・UNIDISK 1.1 2.1 SC
・AKURATE CD
・AKURATE KONTROL (全モデル)
キャンペーンの詳細、アップグレードの段取りについては、お近くのオーディオ専門店にお問い合わせを。
(提供:リンジャパン)