公開日 2023/12/30 07:00
5月のミュンヘン・ハイエンドのレポートで速報されていたように、DALIがハイエンドのワイヤレスヘッドホン「IO-12」を発表した。国内導入については未定ということだが、ここではDALI本社から直接評価用に送ってもらったユニットを用いてレビューする。なお、国内で必要な技適等は取得してある。
IO-12は海外ではすでに発売されていて、価格は999ユーロ(US$1500)と、他のワイヤレスヘッドホンとは一線を画した製品だ。
その設計哲学は、ヘッドホンをDALIのスピーカー技術で開発するというものだ。DALIのプロダクト責任者であるKrestian Pedersen氏は次のように語ってくれた。「私たちのヘッドホンに対するアプローチは、ヘッドホンはスピーカーであるというもので、ハイファイ・スピーカーに関する知識をすべてIOヘッドホンに適用しようとしています。私たちがラウドスピーカーで使用しているのとまったく同じサウンド・デザインの原則に従っており、同じチームによって開発・調整されているのです」。
実際にこのことは、DALIの主要技術であるSMCパーツの採用から目立ちにくい遮音性設計まで、IO-12のほぼ全てに渡って貫かれている。
IO-12の特徴は、まずDALIが高級スピーカーで採用しているSMC技術を初めてヘッドホンに採用したことだ。SMC技術とはなにかを理解するためには、中学の理科を少し思い出してほしい。
ダイナミック型ドライバーは磁場の変動によって振動板を動かすため、中学で習った電磁誘導の法則によって誘導電流の一種である渦電流が発生する。これはドライバーの中でノイズとなりSN比を下げる。さらにこの電流が発生することでアンペールの法則から磁力を生じてしまい元の磁場を逆に歪める。つまり不要な電流が生じた上に元の磁力が正しくなくなるという悪循環の問題を引き起こしてしまう。
DALIのSMC技術はこの磁力と電力の相互干渉問題を解決するための技術だ。SMC(Soft Magnetic Compound)とは、砂鉄のような鉄の粒子を絶縁コーティングして、それを成形したドライバーのパーツである。SMCパーツは磁性を有するが絶縁されているので、ノイズの発生を防ぐことができる。結果としてSN比が向上し、音の歪みが減少する。
もう一つのSMC技術のポイントは適用される周波数帯域だ。再度立ち戻ると、高い周波数である中高音域において磁力の変動回数が多くなるわけなので、SMC技術は中音域から高音域にかけて効果が大きい。図はDALIの技術白書からの引用だが、2kHz以上の中音域から高音域で効果が大きいことが分かる。
このことからクロスオーバーでハイカットされることがない、ヘッドホンのフルレンジドライバーで使用されることでSMC技術はより本領発揮ができるとも言えるだろう。つまりIO-12のポイントは、単にヘッドホン製品で初めてSMC技術を適用しただけではなく、初めてSMC技術がフルレンジドライバーに適用された製品だということだ。
DALIの知見が発揮されているのはSMC技術だけではない。一般的なヘッドホンは簡略化のために振動板のエッジが固定されているが、IO-12ではスピーカーのようなフリーエッジが採用されている。またマグネットはスピーカーのようにボビン(芯材)を採用し、最適な磁力特性を持たせている。
ドライバーは50mmというダイナミックドライバーとしては大口径の振動板が採用されている。振動板は非常に軽量で強固なペーパーファイバーを採用することで良好な内部損失特性を有している。DALIのスピーカーではウッドファイバーを採用しているが、ヘッドホンにおいてはウッドファイバーだと重すぎるために、似た特性を持つペーパーファイバーを採用しているとのことだ。
IO-12で特筆することはパッシブでの遮音性がとても高いことだ。ハウジング設計にも低共振エンクロージャーのスピーカーのノウハウが生かされている。吸収材のフェルトパッドはDALIの最新スピーカーであるKORE EVO-Kのハイブリッド・トゥイーターに、同様の目的で使用されているものと同じ素材で製造されているということだ。
まさにPedersen氏のいう通りに、IO-12はDALIのラウドスピーカーで使用しているのとまったく同じサウンド・デザインで設計がなされていると言えるだろう。
そしてIO-12はデジタル面においても妥協がない。
分類するとIO-12はアクティブノイズキャンセリング(ANC)搭載の密閉型ワイヤレスヘッドホンである。しかしIO-12はワイヤレスで使用するほかに様々な使い方が可能で、さらにそれぞれに特化した設計がなされている。接続モードは4通りで、Bluetoothワイヤレス、USBデジタル有線、アナログ有線・アクティブ(電源オン・DSP使用可能)、アナログ有線・パッシブ(電源オフ時)である。これらは接続に応じて自動的にモード変換されるので面倒はない。
Bluetoothワイヤレスモードにおいて対応コーデックはAAC、aptX、aptX HD、aptX Adaptiveである。電源を投入すると男性の声で音声ガイダンスが聞こえてくるが、この声質がとても良い。これは音声ガイダンスの音源が一般的なチップ音声ではなく、デンマークの俳優/声優であるリンフォード・ブラウン氏の音声を録音使用しているからだ。この音源はDALI社内で録音・ミキシングされたという凝りようだ。
USBを使用したデジタル有線ケーブル接続モードにおいては、IO-12はDAC内蔵ヘッドホンとして機能するのでより高音質で楽しむことができる。IO-12では独立したD級アンプが搭載されていて、フルブリッジのBTL構成が採用されている。
アナログケーブルでの入力モードでは、ADCでデジタルに変換されてデジタル接続と同等に扱われる。つまりこの場合にもANCを使用することができる。電源が切れているときにアナログケーブルを接続するとパッシブモードになり、電池がなくなっても音楽を聴くことができる。
またIO-12には内蔵イコライザーとして、Hi-Fiモードと低音を増強するBassモードの2つのサウンドモードオプションが搭載されている。これらのイコライザーモードはハードボタンで切り替えることができる。再生操作も全て右イヤカップのハードボタンで行え、バッテリー残量もカラーインジケーターでイヤカップに表示される。また操作は手袋をしたままでも操作でき、寒い天候での使用にも耐えるという点がデンマーク製らしいところだ。
パッケージには本体とセミハードケースが付属している。ケースは頑丈で、DALIのロゴに高級感を感じる。本体はチョコレートブラウン色のシックなカラーリングで高級感があるデザインだ。電車で大人が使用していても違和感を感じないだろう。操作感に関してはボタン位置が十分離れているため使いやすい。
装着してみると側圧はわりと強めでしっかりと押さえるタイプだ。また本革のイヤパッドが大変に柔らかく、吸い付くようにフィットする。装着するとANCがなくてもかなり高い遮音性を感じる。これまでの密閉型でもトップクラスの遮音力があることは間違いない。本体の重さは370gなのでそう重くは感じない。
音質に関してはSMC技術の効果が存分に発揮されたかのような新しい音の世界が楽しめる。まず電源を入れてBluetoothワイヤレス接続で音を出すと、声や楽器音の透明感がいままで聴いたことがないほど鮮明で美しく感じられる。まるで心が震えるように美しい音色だ。前述したようにSMC技術は中音域から高音域にかけて効果が特に高いわけだが、フルレンジのドライバーによってそのポテンシャルがフルに発揮されていると感じられる。
次に驚くのは音空間全体に深みがあり、驚くほど豊かで立体的なサウンドであることだ。厚みがある低音がそれを支えていて、大口径振動板がたくさん空気を動かしているようなたっぷりした量感が感じられる。音の細かな表現力が音空間を豊かにしているのも良い。
音の印象を端的にまとめると、リスニング寄りの音楽的で躍動感のあるサウンドだ。それでいて細かな再現力も一際高い。分厚い低音を基底にして音が無数に立体的に広がって浮かび上がり、鳴り響く中高域の音が透明で美しいと感じられる。美しく有機的なサウンドはDALIのスピーカーを想起させるかもしれない。
低音の迫力とスケール感、中高域の美しさが両立しているので、女声ヴォーカルが入るサントラのような音楽では感動的とも言えるような体験が楽しめる。
次にUSBデジタル接続でIO-12をiPhone 15 Pro Maxと接続すると、音空間が一回り広くなり音像はよりシャープになる。たしかに一層音の再現力が高くなる。元のワイヤレスの音質傾向がそのまま良くなる感じだ。
電源オンのアクティブ状態で3.5mmアナログケーブルを最新DAPのAstell & Kern「KANN Ultra」と組み合わせてみると、元のワイヤレスの音質傾向に加えてKANNの力強いサウンドが合わされて再生される。きちんとソースのDAPの音を反映しながら、IO-12の内蔵アンプの音の個性が発揮されるのが面白い。
ANCは電車騒音の中で試しても十分な効果があるが、騒音を加味してもANCを切っている方が良音質だと感じる。もともとANCは音質に悪影響を与える可能性があるが、IO-12ほどの細かな音再現力ではそれがよく分かる。IO-12は非常に高い遮音性を持っているので電車の中でANCを切っても特に不快になるわけではない。
先日撮影のために長時間電車に乗った時にIO-12を持ち出したが、この美しい音楽空間に浸っていたらあっという間に目的地に着いた。よく訪問する駅だが危うく乗り越しそうになるほどに音の世界に没入していた。IO-12はもっと聴いていたいと思わせる有機的な音楽の魅力が感じられるヘッドホンだ。
ヘッドホンはスピーカーとは異なりルームアコースティックに左右されないので、まさにDALIが理想と考える音がダイレクトに出てきているのだろう。いうならばIO-12はオーディオメーカーDALIがトータルに設計した持ち運べるリスニングルームなのだ。
「ハイファイ・スピーカーの知識をすべて投入」
DALIのハイエンド・ワイヤレスヘッドホン「IO-12」を先行レビュー!
佐々木喜洋DALIのスピーカー技術を応用し開発されたワイヤレスヘッドホン
5月のミュンヘン・ハイエンドのレポートで速報されていたように、DALIがハイエンドのワイヤレスヘッドホン「IO-12」を発表した。国内導入については未定ということだが、ここではDALI本社から直接評価用に送ってもらったユニットを用いてレビューする。なお、国内で必要な技適等は取得してある。
IO-12は海外ではすでに発売されていて、価格は999ユーロ(US$1500)と、他のワイヤレスヘッドホンとは一線を画した製品だ。
その設計哲学は、ヘッドホンをDALIのスピーカー技術で開発するというものだ。DALIのプロダクト責任者であるKrestian Pedersen氏は次のように語ってくれた。「私たちのヘッドホンに対するアプローチは、ヘッドホンはスピーカーであるというもので、ハイファイ・スピーカーに関する知識をすべてIOヘッドホンに適用しようとしています。私たちがラウドスピーカーで使用しているのとまったく同じサウンド・デザインの原則に従っており、同じチームによって開発・調整されているのです」。
フルレンジドライバーにSMC技術を活用
実際にこのことは、DALIの主要技術であるSMCパーツの採用から目立ちにくい遮音性設計まで、IO-12のほぼ全てに渡って貫かれている。
IO-12の特徴は、まずDALIが高級スピーカーで採用しているSMC技術を初めてヘッドホンに採用したことだ。SMC技術とはなにかを理解するためには、中学の理科を少し思い出してほしい。
ダイナミック型ドライバーは磁場の変動によって振動板を動かすため、中学で習った電磁誘導の法則によって誘導電流の一種である渦電流が発生する。これはドライバーの中でノイズとなりSN比を下げる。さらにこの電流が発生することでアンペールの法則から磁力を生じてしまい元の磁場を逆に歪める。つまり不要な電流が生じた上に元の磁力が正しくなくなるという悪循環の問題を引き起こしてしまう。
DALIのSMC技術はこの磁力と電力の相互干渉問題を解決するための技術だ。SMC(Soft Magnetic Compound)とは、砂鉄のような鉄の粒子を絶縁コーティングして、それを成形したドライバーのパーツである。SMCパーツは磁性を有するが絶縁されているので、ノイズの発生を防ぐことができる。結果としてSN比が向上し、音の歪みが減少する。
もう一つのSMC技術のポイントは適用される周波数帯域だ。再度立ち戻ると、高い周波数である中高音域において磁力の変動回数が多くなるわけなので、SMC技術は中音域から高音域にかけて効果が大きい。図はDALIの技術白書からの引用だが、2kHz以上の中音域から高音域で効果が大きいことが分かる。
このことからクロスオーバーでハイカットされることがない、ヘッドホンのフルレンジドライバーで使用されることでSMC技術はより本領発揮ができるとも言えるだろう。つまりIO-12のポイントは、単にヘッドホン製品で初めてSMC技術を適用しただけではなく、初めてSMC技術がフルレンジドライバーに適用された製品だということだ。
DALIの知見が発揮されているのはSMC技術だけではない。一般的なヘッドホンは簡略化のために振動板のエッジが固定されているが、IO-12ではスピーカーのようなフリーエッジが採用されている。またマグネットはスピーカーのようにボビン(芯材)を採用し、最適な磁力特性を持たせている。
ドライバーは50mmというダイナミックドライバーとしては大口径の振動板が採用されている。振動板は非常に軽量で強固なペーパーファイバーを採用することで良好な内部損失特性を有している。DALIのスピーカーではウッドファイバーを採用しているが、ヘッドホンにおいてはウッドファイバーだと重すぎるために、似た特性を持つペーパーファイバーを採用しているとのことだ。
IO-12で特筆することはパッシブでの遮音性がとても高いことだ。ハウジング設計にも低共振エンクロージャーのスピーカーのノウハウが生かされている。吸収材のフェルトパッドはDALIの最新スピーカーであるKORE EVO-Kのハイブリッド・トゥイーターに、同様の目的で使用されているものと同じ素材で製造されているということだ。
まさにPedersen氏のいう通りに、IO-12はDALIのラウドスピーカーで使用しているのとまったく同じサウンド・デザインで設計がなされていると言えるだろう。
無線・有線接続に対応しモードも自動で切り替わる
そしてIO-12はデジタル面においても妥協がない。
分類するとIO-12はアクティブノイズキャンセリング(ANC)搭載の密閉型ワイヤレスヘッドホンである。しかしIO-12はワイヤレスで使用するほかに様々な使い方が可能で、さらにそれぞれに特化した設計がなされている。接続モードは4通りで、Bluetoothワイヤレス、USBデジタル有線、アナログ有線・アクティブ(電源オン・DSP使用可能)、アナログ有線・パッシブ(電源オフ時)である。これらは接続に応じて自動的にモード変換されるので面倒はない。
Bluetoothワイヤレスモードにおいて対応コーデックはAAC、aptX、aptX HD、aptX Adaptiveである。電源を投入すると男性の声で音声ガイダンスが聞こえてくるが、この声質がとても良い。これは音声ガイダンスの音源が一般的なチップ音声ではなく、デンマークの俳優/声優であるリンフォード・ブラウン氏の音声を録音使用しているからだ。この音源はDALI社内で録音・ミキシングされたという凝りようだ。
USBを使用したデジタル有線ケーブル接続モードにおいては、IO-12はDAC内蔵ヘッドホンとして機能するのでより高音質で楽しむことができる。IO-12では独立したD級アンプが搭載されていて、フルブリッジのBTL構成が採用されている。
アナログケーブルでの入力モードでは、ADCでデジタルに変換されてデジタル接続と同等に扱われる。つまりこの場合にもANCを使用することができる。電源が切れているときにアナログケーブルを接続するとパッシブモードになり、電池がなくなっても音楽を聴くことができる。
またIO-12には内蔵イコライザーとして、Hi-Fiモードと低音を増強するBassモードの2つのサウンドモードオプションが搭載されている。これらのイコライザーモードはハードボタンで切り替えることができる。再生操作も全て右イヤカップのハードボタンで行え、バッテリー残量もカラーインジケーターでイヤカップに表示される。また操作は手袋をしたままでも操作でき、寒い天候での使用にも耐えるという点がデンマーク製らしいところだ。
パッケージには本体とセミハードケースが付属している。ケースは頑丈で、DALIのロゴに高級感を感じる。本体はチョコレートブラウン色のシックなカラーリングで高級感があるデザインだ。電車で大人が使用していても違和感を感じないだろう。操作感に関してはボタン位置が十分離れているため使いやすい。
音楽的で躍動感のあるサウンド。透明度高い中高域も魅力
装着してみると側圧はわりと強めでしっかりと押さえるタイプだ。また本革のイヤパッドが大変に柔らかく、吸い付くようにフィットする。装着するとANCがなくてもかなり高い遮音性を感じる。これまでの密閉型でもトップクラスの遮音力があることは間違いない。本体の重さは370gなのでそう重くは感じない。
音質に関してはSMC技術の効果が存分に発揮されたかのような新しい音の世界が楽しめる。まず電源を入れてBluetoothワイヤレス接続で音を出すと、声や楽器音の透明感がいままで聴いたことがないほど鮮明で美しく感じられる。まるで心が震えるように美しい音色だ。前述したようにSMC技術は中音域から高音域にかけて効果が特に高いわけだが、フルレンジのドライバーによってそのポテンシャルがフルに発揮されていると感じられる。
次に驚くのは音空間全体に深みがあり、驚くほど豊かで立体的なサウンドであることだ。厚みがある低音がそれを支えていて、大口径振動板がたくさん空気を動かしているようなたっぷりした量感が感じられる。音の細かな表現力が音空間を豊かにしているのも良い。
音の印象を端的にまとめると、リスニング寄りの音楽的で躍動感のあるサウンドだ。それでいて細かな再現力も一際高い。分厚い低音を基底にして音が無数に立体的に広がって浮かび上がり、鳴り響く中高域の音が透明で美しいと感じられる。美しく有機的なサウンドはDALIのスピーカーを想起させるかもしれない。
低音の迫力とスケール感、中高域の美しさが両立しているので、女声ヴォーカルが入るサントラのような音楽では感動的とも言えるような体験が楽しめる。
有線では一層音の再現力が高まる。DALIの理想の音を味わえる
次にUSBデジタル接続でIO-12をiPhone 15 Pro Maxと接続すると、音空間が一回り広くなり音像はよりシャープになる。たしかに一層音の再現力が高くなる。元のワイヤレスの音質傾向がそのまま良くなる感じだ。
電源オンのアクティブ状態で3.5mmアナログケーブルを最新DAPのAstell & Kern「KANN Ultra」と組み合わせてみると、元のワイヤレスの音質傾向に加えてKANNの力強いサウンドが合わされて再生される。きちんとソースのDAPの音を反映しながら、IO-12の内蔵アンプの音の個性が発揮されるのが面白い。
ANCは電車騒音の中で試しても十分な効果があるが、騒音を加味してもANCを切っている方が良音質だと感じる。もともとANCは音質に悪影響を与える可能性があるが、IO-12ほどの細かな音再現力ではそれがよく分かる。IO-12は非常に高い遮音性を持っているので電車の中でANCを切っても特に不快になるわけではない。
先日撮影のために長時間電車に乗った時にIO-12を持ち出したが、この美しい音楽空間に浸っていたらあっという間に目的地に着いた。よく訪問する駅だが危うく乗り越しそうになるほどに音の世界に没入していた。IO-12はもっと聴いていたいと思わせる有機的な音楽の魅力が感じられるヘッドホンだ。
ヘッドホンはスピーカーとは異なりルームアコースティックに左右されないので、まさにDALIが理想と考える音がダイレクトに出てきているのだろう。いうならばIO-12はオーディオメーカーDALIがトータルに設計した持ち運べるリスニングルームなのだ。