公開日 2024/06/13 10:00
【特別企画】オーディオテクニカ渾身のモデルをディスカッション!
今までにない、だけど間違いない。オーディオテクニカの新ワイヤレスヘッドホン「ATH-S300BT」をだいせんせいが語る
工藤寛顕(だいせんせい)/(聞き手:ファイルウェブ編集部)
オーディオテクニカから、ワイヤレスヘッドホンのニューモデル「ATH-S300BT」が6月21日に発売される。コンセプトは「MY STYLE,MY STANCE.」、ターゲット層は10代後半から20代全般と、「ファッションアイテムとしてのヘッドホン」を強く打ち出したモデルとなっている。
コンセプト、そしてそのビジュアルは、これまでのオーディオテクニカのプロダクトとは趣を異にする物に仕上がっている。その一方で、オーディオテクニカが手掛けるからこそヘッドホンとしての作り込みは万全。その両輪のどちらかが欠けていると成り立たない、レベルの高い製品だということに気付かされる。
そんな今までにないコンセプトのニューモデルを、イヤホン専門店の元販売員も活かし現在も多数のイヤホン/ヘッドホンを取材するライターの“だいせんせい”こと工藤寛顕氏が発売前にチェック。その魅力をファイルウェブ編集部員に存分に語ってくれた。
だいせんせい オーディオテクニカからのワイヤレスヘッドホンの新モデル「ATH-S300BT」ですけど、何を差し置いてもぱっと見でびっくりしたのは、デザインというのが正直なところですね。オーディオテクニカのヘッドホンのデザインと言えば「あのマーク(オーディオテクニカマーク)」がとにかく印象にあるじゃないですか。
プロユースのモニターヘッドホンでもタウンユースのモデルでも、付いていないモデル無かったんじゃないかな……。それこそ安価なモデルからハイエンドなモデルまで例外なく目立つところに入っているので、ATH-S300BTにはそれだけ「思い切ったな」というところを感じましたね。
松原 なるほど。
だいせんせい 基本的にどのモデルにも共通の意匠として大きく「あのマーク」が刻まれるので、今回のATH-S300BTについては「ファッションアイテムとしてのヘッドホン」を押し出していくという意気込みの表れなんじゃないかなと。
だからこそはっきりと、 “オーディオテクニカのイメージを感じさせないデザイン” という風に仕上げたように思いますね。これがどう受け入れられるかはわかりませんけど、感触としてはとても面白いなって思いました。
岡本 ハウジングもそうですけど、ヘッドバンドの部分にもブランド名が書かれてないですもんね。
だいせんせい ハウジングとバンドの間に「あのマーク」とブランドロゴが小さく入ってるくらいですからね。本当に主張が少ない……! でも純粋にモノとしての作りが良いです。スイーベルの静かな動きだったり、しっかりとしたスライダー、優れた装着感なんかは、デザインにおける主張こそ少ないですけど、しっかりと「オーディオテクニカのヘッドホン」をしています。ちなみにこれまでオーディオテクニカに対する印象ってどうですか?
松原 ブランドイメージとして「これを買っておけば」みたいな安心感みたいなものはありますね。
岡本 オーディオテクニカから発売されていることもあってATH-S300BTは、それこそブランドイメージで若い人たちに受け入れられやすいと思います。
松永 逆にだいせんせいから見た「オーディオテクニカ」というメーカーはどういった認識なのか興味あります。
だいせんせい 特にポータブルの分野に限れば、「最初に触れるメーカー」というイメージがまずすごく強いですよね。ライト層への訴求力はかなり強いと思います。その一方で、ウッドハウジングを使用した超ハイエンドヘッドホンなんかも併売しているので隙がない。
松永 最初に触れるという話をしていて思い出しましたが、大学上がりたての頃ハウジングが四角いヘッドホン(「ATH-SQ505」)を着けてました。赤色のモデルです。その次はSOLD BASSの「ATH-WS50」使っていて、在学中に計4機オーディオテクニカさんのヘッドホン使っていたみたいです。過去を遡って勝手に懐かしくなっていますが……。
実際プレーヤーに直繋ぎみたいな使い方をしていたので、仰る通りびっくりするくらいライト層に刺さっています。この点に関しては完全ワイヤレスイヤホンというジャンルのアイテムも登場してきて、ことさら補強されているのかな、とも思います。
だいせんせい 刺さってましたねえ(笑)。四角いハウジングのモデルなんかもそうですけど、ATH-S300BTも面白い形状してますよね。オーディオテクニカのヘッドホンってどちらかというとモニターヘッドホンライク寄りの形をしているイメージがあったので、「オーディオテクニカのヘッドホン像」を刷新しているイメージがあります。
松原 我々が思う以上に、メーカーとしては色々変えてきた感じですね!
だいせんせい 恐らくATH-S300BTは、オーディオテクニカを知らない人にリーチする機種で、結構ストレートなデザインの勝負。そういう意味では若い子たちに手を取ってもらいやすいデザインに仕上がっているのかなと。あとは、ここ2,3年で「ヘッドホンのファッションアイテム化」も進んで、「ヘッドホンを着ける」という敷居は下がったと思います。
ブランドのデザインが明確に出ている機種だと、そういったムーブメントが一段落した後だと「流行ってたよね」と、ちょっと古く見えちゃうんじゃないかと思うんですけど、ATH-S300BTは良い意味で主張が強くない。何年も使ったとしても「流行ってたアレじゃん」ってなりにくい。過去形にならない、汎用性のあるデザインに巧くまとめているなという印象ですね。
松原 過去形にならないプロダクトというのは、オーディオテクニカというメーカーのコンセプトにもマッチしてきてそうなポイントですよね。
だいせんせい その通りだと思います。長く使ってもらいたいという工夫がデザインにも表れてますよね。あと、デモ機はベージュをお借りしていたんですけど、初めて見るブラックも良いですね。両カラーともに価格以上の高級感が出てるなあ。
岡本 ハウジング周りの人造大理石調の加工、これも良いアクセントを出していると思います。オーディオテクニカの製品で柄を入れる例ってイメージとしてありますか?
だいせんせい 「迷彩柄」みたいなパターン塗装はあるかもですが、あんまり柄を入れる印象はないですね。ハイエンド機の木目削り出しだったり、金属のヘアライン加工などのイメージはありますが、ここも面白い要素だと思います。
ちなみに、指摘してもらったATH-S300BTのデザインで使用されているのは、主にインテリアなどで使用されるterrazzo(テラゾー)柄という物で、製造の工程で1台として同じパターンにならない、という工夫が施されてるとのことです。この手のこだわりも、値段以上に高見えするポイントなんじゃないかなと!
岡本 1台として同じ柄がない、「自分だけのヘッドホン」というところも使っていて愛着が湧くのもすごく良いと思います。
コンセプト、そしてそのビジュアルは、これまでのオーディオテクニカのプロダクトとは趣を異にする物に仕上がっている。その一方で、オーディオテクニカが手掛けるからこそヘッドホンとしての作り込みは万全。その両輪のどちらかが欠けていると成り立たない、レベルの高い製品だということに気付かされる。
そんな今までにないコンセプトのニューモデルを、イヤホン専門店の元販売員も活かし現在も多数のイヤホン/ヘッドホンを取材するライターの“だいせんせい”こと工藤寛顕氏が発売前にチェック。その魅力をファイルウェブ編集部員に存分に語ってくれた。
■「あのマーク」は何処に? デザインに見るオーディオテクニカの思い切り
だいせんせい オーディオテクニカからのワイヤレスヘッドホンの新モデル「ATH-S300BT」ですけど、何を差し置いてもぱっと見でびっくりしたのは、デザインというのが正直なところですね。オーディオテクニカのヘッドホンのデザインと言えば「あのマーク(オーディオテクニカマーク)」がとにかく印象にあるじゃないですか。
プロユースのモニターヘッドホンでもタウンユースのモデルでも、付いていないモデル無かったんじゃないかな……。それこそ安価なモデルからハイエンドなモデルまで例外なく目立つところに入っているので、ATH-S300BTにはそれだけ「思い切ったな」というところを感じましたね。
松原 なるほど。
だいせんせい 基本的にどのモデルにも共通の意匠として大きく「あのマーク」が刻まれるので、今回のATH-S300BTについては「ファッションアイテムとしてのヘッドホン」を押し出していくという意気込みの表れなんじゃないかなと。
だからこそはっきりと、 “オーディオテクニカのイメージを感じさせないデザイン” という風に仕上げたように思いますね。これがどう受け入れられるかはわかりませんけど、感触としてはとても面白いなって思いました。
岡本 ハウジングもそうですけど、ヘッドバンドの部分にもブランド名が書かれてないですもんね。
だいせんせい ハウジングとバンドの間に「あのマーク」とブランドロゴが小さく入ってるくらいですからね。本当に主張が少ない……! でも純粋にモノとしての作りが良いです。スイーベルの静かな動きだったり、しっかりとしたスライダー、優れた装着感なんかは、デザインにおける主張こそ少ないですけど、しっかりと「オーディオテクニカのヘッドホン」をしています。ちなみにこれまでオーディオテクニカに対する印象ってどうですか?
松原 ブランドイメージとして「これを買っておけば」みたいな安心感みたいなものはありますね。
岡本 オーディオテクニカから発売されていることもあってATH-S300BTは、それこそブランドイメージで若い人たちに受け入れられやすいと思います。
松永 逆にだいせんせいから見た「オーディオテクニカ」というメーカーはどういった認識なのか興味あります。
だいせんせい 特にポータブルの分野に限れば、「最初に触れるメーカー」というイメージがまずすごく強いですよね。ライト層への訴求力はかなり強いと思います。その一方で、ウッドハウジングを使用した超ハイエンドヘッドホンなんかも併売しているので隙がない。
松永 最初に触れるという話をしていて思い出しましたが、大学上がりたての頃ハウジングが四角いヘッドホン(「ATH-SQ505」)を着けてました。赤色のモデルです。その次はSOLD BASSの「ATH-WS50」使っていて、在学中に計4機オーディオテクニカさんのヘッドホン使っていたみたいです。過去を遡って勝手に懐かしくなっていますが……。
実際プレーヤーに直繋ぎみたいな使い方をしていたので、仰る通りびっくりするくらいライト層に刺さっています。この点に関しては完全ワイヤレスイヤホンというジャンルのアイテムも登場してきて、ことさら補強されているのかな、とも思います。
だいせんせい 刺さってましたねえ(笑)。四角いハウジングのモデルなんかもそうですけど、ATH-S300BTも面白い形状してますよね。オーディオテクニカのヘッドホンってどちらかというとモニターヘッドホンライク寄りの形をしているイメージがあったので、「オーディオテクニカのヘッドホン像」を刷新しているイメージがあります。
松原 我々が思う以上に、メーカーとしては色々変えてきた感じですね!
だいせんせい 恐らくATH-S300BTは、オーディオテクニカを知らない人にリーチする機種で、結構ストレートなデザインの勝負。そういう意味では若い子たちに手を取ってもらいやすいデザインに仕上がっているのかなと。あとは、ここ2,3年で「ヘッドホンのファッションアイテム化」も進んで、「ヘッドホンを着ける」という敷居は下がったと思います。
ブランドのデザインが明確に出ている機種だと、そういったムーブメントが一段落した後だと「流行ってたよね」と、ちょっと古く見えちゃうんじゃないかと思うんですけど、ATH-S300BTは良い意味で主張が強くない。何年も使ったとしても「流行ってたアレじゃん」ってなりにくい。過去形にならない、汎用性のあるデザインに巧くまとめているなという印象ですね。
松原 過去形にならないプロダクトというのは、オーディオテクニカというメーカーのコンセプトにもマッチしてきてそうなポイントですよね。
だいせんせい その通りだと思います。長く使ってもらいたいという工夫がデザインにも表れてますよね。あと、デモ機はベージュをお借りしていたんですけど、初めて見るブラックも良いですね。両カラーともに価格以上の高級感が出てるなあ。
岡本 ハウジング周りの人造大理石調の加工、これも良いアクセントを出していると思います。オーディオテクニカの製品で柄を入れる例ってイメージとしてありますか?
だいせんせい 「迷彩柄」みたいなパターン塗装はあるかもですが、あんまり柄を入れる印象はないですね。ハイエンド機の木目削り出しだったり、金属のヘアライン加工などのイメージはありますが、ここも面白い要素だと思います。
ちなみに、指摘してもらったATH-S300BTのデザインで使用されているのは、主にインテリアなどで使用されるterrazzo(テラゾー)柄という物で、製造の工程で1台として同じパターンにならない、という工夫が施されてるとのことです。この手のこだわりも、値段以上に高見えするポイントなんじゃないかなと!
岡本 1台として同じ柄がない、「自分だけのヘッドホン」というところも使っていて愛着が湧くのもすごく良いと思います。
こだわりはデザインだけでなく随所に至るまで。再生サウンドもチェック!
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