公開日 2024/11/15 07:00
110周年機をベースに現フラグシップの技術を多数投入
妥協なきデノン “もうひとつの旗艦AVアンプ”。「AVC-A10H」がデノンサラウンドアンプのあらたな一章を告げる
大橋伸太郎
デノンから新たなプレミアムAVアンプ「AVC-A10H」が登場した。“The second flagship” をコンセプトとする本機は、2020年の110周年機「AVC-A110」をベースとしつつ、現フラグシップ「AVC-A1H」のノウハウを多数投入。2番手という言葉では片付けられないアンプだ。デノンAVアンプをよく知る大橋伸太郎氏が本機の実力に迫る。
デノン「AVC-A10H」は、A1Hに準じて並び立つ “The second flagship” (第2の旗艦機種)として企画開発された。一方、ラインナップ上では好評を博したアニバーサリーモデル「AVC-A110」、レギュラーライン最上位の「AVC-X8500HA」に置き換わる位置付けである。
A10Hは外装色を別にすればA110、そのベースになったX8500Hと似ており、事実3機種の外形寸法は同じ(434W×195H×482Dmm)で共通シャーシであることがわかる。13ch一体型15chプリアウトの構成、モノリスコンストラクションのパワー部、天板を外した時の内部のレイアウトもほとんど共通だ。
しかし、A10Hから音出しすると、その音質は筆者がリファレンスとして常用のX8500H、短期間試用したA110とまったく別物である。はるかにたくましくスケール雄大になったことがわかる。内容面はA1Hから始まった新しい系列に属するアンプなのだ。A10Hは従来のデノン上位モデルとどこが違うのか。
デノンは「A」を冠する条件に次の4つを挙げる。
1.圧倒的な物量
2.特別なオーディオパーツの採用
3.美・細部へのこだわり
4.Made in Shirakawa
外観こそ承前だが、その中身はすみずみまで新しい。枚挙にいとまがないのだが具体的にみていこう。EI型トランスのコアは容量こそA110と同じだが巻線がOFCになっている。デノンがOFCを使うのは主にHi-Fiアンプのトランスで、AVアンプでの採用はA1Hだけである。
ブロックコンデンサーは容量こそX8500HAやA110で採用のものと同じ22000μFだが、内部構造はこの3モデルですべて違う。X8500HAはXシリーズで共通して採用の標準的構造、A110はテンションが最も緩い構造、A10Hはこの2種から進化させたA1Hと同じ構造のものになっている。パワーアンプ部はA1H同様の差動一段AB級だが、トランジスタはA1Hと同じもの、コンデンサーは新規で選び直した。
デジタル部、プリ部はX8500HA/A110から大きく変更され共通要素はもはや少なく、A1Hと同じ構造で最新パーツを採用、基板のコンパクト化による信号経路の短縮を果たし、A1Hと同じDACの構成等、最新仕様になっている。
基板間の接続はケーブルレス化が進み、ボードトゥボードという基板で結線している。さらにリーケージフラックス/オーディオ回路セパレーターを、電源トランスとデジタル部を含むプリ部の間に採用した。これはケイ素鋼板と黒色塗装鋼板、プラスティック板を組み合わせたもの。
本機は13.4ch(プリアウト15.4ch)構成でグラウンドレベルはフロントワイドを含む最大9chまで、ハイトスピーカーはセンターハイトやトップサラウンドを含む最大8chまで接続できる。フロントLRのスピーカー駆動に4台のパワーアンプを使用するバイアンプモードに加え、センター、サラウンドを含む5chのスピーカーをバイアンプ駆動する「5chフルバイアンプ機能」を搭載する。
サブウーファープリアウトは4系統装備し、音量レベルと距離を個別に設定できる。4系統すべての音質が同じ「スタンダード」と各サブウーファー近傍のスモール設定のスピーカーの低音を代行する「指向性」の2モードを選択できる。
デジタル部は32bit対応プレミアムステレオDACを9基搭載、これはAVC-A1Hと本機だけ。セレクター部は8K/60Hz、4K/120Hz映像信号対応のHDMI入力7系統、出力2系統装備。ゾーン出力まで含めたすべてがHDCP2.3に対応する。これもAVC-A1Hと同等のハイスペックだ。
デノン「AVC-A10H」は、A1Hに準じて並び立つ “The second flagship” (第2の旗艦機種)として企画開発された。一方、ラインナップ上では好評を博したアニバーサリーモデル「AVC-A110」、レギュラーライン最上位の「AVC-X8500HA」に置き換わる位置付けである。
A10Hは外装色を別にすればA110、そのベースになったX8500Hと似ており、事実3機種の外形寸法は同じ(434W×195H×482Dmm)で共通シャーシであることがわかる。13ch一体型15chプリアウトの構成、モノリスコンストラクションのパワー部、天板を外した時の内部のレイアウトもほとんど共通だ。
しかし、A10Hから音出しすると、その音質は筆者がリファレンスとして常用のX8500H、短期間試用したA110とまったく別物である。はるかにたくましくスケール雄大になったことがわかる。内容面はA1Hから始まった新しい系列に属するアンプなのだ。A10Hは従来のデノン上位モデルとどこが違うのか。
■最上位「AVC-A1H」に肉薄する “セカンドフラグシップ”AVアンプ
デノンは「A」を冠する条件に次の4つを挙げる。
1.圧倒的な物量
2.特別なオーディオパーツの採用
3.美・細部へのこだわり
4.Made in Shirakawa
外観こそ承前だが、その中身はすみずみまで新しい。枚挙にいとまがないのだが具体的にみていこう。EI型トランスのコアは容量こそA110と同じだが巻線がOFCになっている。デノンがOFCを使うのは主にHi-Fiアンプのトランスで、AVアンプでの採用はA1Hだけである。
ブロックコンデンサーは容量こそX8500HAやA110で採用のものと同じ22000μFだが、内部構造はこの3モデルですべて違う。X8500HAはXシリーズで共通して採用の標準的構造、A110はテンションが最も緩い構造、A10Hはこの2種から進化させたA1Hと同じ構造のものになっている。パワーアンプ部はA1H同様の差動一段AB級だが、トランジスタはA1Hと同じもの、コンデンサーは新規で選び直した。
デジタル部、プリ部はX8500HA/A110から大きく変更され共通要素はもはや少なく、A1Hと同じ構造で最新パーツを採用、基板のコンパクト化による信号経路の短縮を果たし、A1Hと同じDACの構成等、最新仕様になっている。
基板間の接続はケーブルレス化が進み、ボードトゥボードという基板で結線している。さらにリーケージフラックス/オーディオ回路セパレーターを、電源トランスとデジタル部を含むプリ部の間に採用した。これはケイ素鋼板と黒色塗装鋼板、プラスティック板を組み合わせたもの。
本機は13.4ch(プリアウト15.4ch)構成でグラウンドレベルはフロントワイドを含む最大9chまで、ハイトスピーカーはセンターハイトやトップサラウンドを含む最大8chまで接続できる。フロントLRのスピーカー駆動に4台のパワーアンプを使用するバイアンプモードに加え、センター、サラウンドを含む5chのスピーカーをバイアンプ駆動する「5chフルバイアンプ機能」を搭載する。
サブウーファープリアウトは4系統装備し、音量レベルと距離を個別に設定できる。4系統すべての音質が同じ「スタンダード」と各サブウーファー近傍のスモール設定のスピーカーの低音を代行する「指向性」の2モードを選択できる。
デジタル部は32bit対応プレミアムステレオDACを9基搭載、これはAVC-A1Hと本機だけ。セレクター部は8K/60Hz、4K/120Hz映像信号対応のHDMI入力7系統、出力2系統装備。ゾーン出力まで含めたすべてがHDCP2.3に対応する。これもAVC-A1Hと同等のハイスペックだ。