公開日 2024/12/20 06:30
兄弟モデル「MA910SR」との個性の違いに注目
Maestraudio「MA910SR DC」は “弦楽器もいいが声もいい”。天然杉がもたらす音質を徹底レビュー!
鳥居一豊
Maestraudio(マエストローディオ)の “MA910Sシリーズ” は、独自のセラミックオーディオ技術を使用したIEM(インイヤーモニター)。「MA910S」を初代モデルとして、バランス接続に対応した「MA910SB」、リケーブルに対応しフェイスプレートをアルミとした「MA910SR」が登場してきているが、今回はフェイスプレートに道南杉を採用した「MA910SR DC」が登場。MA910SRとともに聴き比べてみることにした。
MA910SR DCは、“リアリティのある弦楽器の音の再現” を目指したモデル。道南杉という木材をフェイスプレートに採用するところも、いかにも楽器のように木材を採り入れ、その響きが加わった音をイメージする人が少なくないかもしれない。
厳密に言うとそれは違う。なんと、木材の持つハニカム状の孔を吸音材として用いているというのだ。マエストローディオでは、これを「SAHP(Sound Absorbing Honeycomb Pores、サープ)」と呼んでいる。
樹木は根から吸い上げた水を幹を通して枝葉に送るための維管束の集合で、顕微鏡などで見ると無数のハニカム構造の孔を持っている。この構造を利用して吸音材として活用するのが「SAHP」技術。フェイスプレートの内側には最適に設計された吸音孔が空いていて、ハウジング内部の音を吸音孔を通して樹木の孔に入り、最適な吸音が行われる仕組みだ。
このため、製品によるバラツキが生じないように、樹木の繊維孔が均一な針葉樹、そして繊維方向にねじれのない杉材を選択。さまざまな杉材を試した結果、日本の北限で育つ道南杉が選定された。そして、樹木の繊維質に影響の少ない塗装を行い、フェイスプレートに採用している。
MA910SRでは、ハウジング内で発生した音から生じる振動の伝播がより早い方が情報量の豊かな音になるため、アルミ製フェイスプレートを採用していたが、これとは違う発想で木製フェイスプレートが採用されている。このため、MA910Sから採用されていた音響デバイスの「HDSS」は搭載していない。HDSSはハウジング内の圧力を均一化し、再生音や残響、定在波の影響をなくして音の歪みや濁りを抑制する技術のこと。
MA910SR DCとMA910SRとの大きな違いはこれだけで、10mm径グラフェンコートダイナミックドライバーに独自のセラミックオーディオテクノロジーによる新発想パッシブ型トゥイーター「RST」を組み合わせたドライバー構成は共通。そして、Pentaconn earコネクターを採用してリケーブルに対応している点も共通だ。
MA910SR DCを見てみると、ハート型のハウジング形状こそ同じだがフェイスプレートが木目になっているのでかなり印象は異なる。指で軽く叩いてみても柔らかく指に馴染み、MA910SRのカチカチとした硬い触り心地とは異なる。木材の質感がよく出た塗装のため見た目も自然な風合いだ。
今回の試聴は、qdcのコンパクトなポータブルDAC「QD1」を組み合わせて行った。QD1はスティック状のコンパクトなサイズながらも、DACチップにCiruss Logic社のCS43198を2つ使ったデュアルDACとするなど、音質・機能ともに優れた製品だ。再生機器はMac miniで、再生アプリはAudirvana ORIGINだ。Mac miniのUSB出力をQD1に接続して聴いている。
■北海道産天然杉のフェイスプレートこそ、音質を左右する重要技術
MA910SR DCは、“リアリティのある弦楽器の音の再現” を目指したモデル。道南杉という木材をフェイスプレートに採用するところも、いかにも楽器のように木材を採り入れ、その響きが加わった音をイメージする人が少なくないかもしれない。
厳密に言うとそれは違う。なんと、木材の持つハニカム状の孔を吸音材として用いているというのだ。マエストローディオでは、これを「SAHP(Sound Absorbing Honeycomb Pores、サープ)」と呼んでいる。
樹木は根から吸い上げた水を幹を通して枝葉に送るための維管束の集合で、顕微鏡などで見ると無数のハニカム構造の孔を持っている。この構造を利用して吸音材として活用するのが「SAHP」技術。フェイスプレートの内側には最適に設計された吸音孔が空いていて、ハウジング内部の音を吸音孔を通して樹木の孔に入り、最適な吸音が行われる仕組みだ。
このため、製品によるバラツキが生じないように、樹木の繊維孔が均一な針葉樹、そして繊維方向にねじれのない杉材を選択。さまざまな杉材を試した結果、日本の北限で育つ道南杉が選定された。そして、樹木の繊維質に影響の少ない塗装を行い、フェイスプレートに採用している。
MA910SRでは、ハウジング内で発生した音から生じる振動の伝播がより早い方が情報量の豊かな音になるため、アルミ製フェイスプレートを採用していたが、これとは違う発想で木製フェイスプレートが採用されている。このため、MA910Sから採用されていた音響デバイスの「HDSS」は搭載していない。HDSSはハウジング内の圧力を均一化し、再生音や残響、定在波の影響をなくして音の歪みや濁りを抑制する技術のこと。
MA910SR DCとMA910SRとの大きな違いはこれだけで、10mm径グラフェンコートダイナミックドライバーに独自のセラミックオーディオテクノロジーによる新発想パッシブ型トゥイーター「RST」を組み合わせたドライバー構成は共通。そして、Pentaconn earコネクターを採用してリケーブルに対応している点も共通だ。
MA910SR DCを見てみると、ハート型のハウジング形状こそ同じだがフェイスプレートが木目になっているのでかなり印象は異なる。指で軽く叩いてみても柔らかく指に馴染み、MA910SRのカチカチとした硬い触り心地とは異なる。木材の質感がよく出た塗装のため見た目も自然な風合いだ。
■生き生きとした生楽器、広がる音場が豊かに響く
今回の試聴は、qdcのコンパクトなポータブルDAC「QD1」を組み合わせて行った。QD1はスティック状のコンパクトなサイズながらも、DACチップにCiruss Logic社のCS43198を2つ使ったデュアルDACとするなど、音質・機能ともに優れた製品だ。再生機器はMac miniで、再生アプリはAudirvana ORIGINだ。Mac miniのUSB出力をQD1に接続して聴いている。
- トピック
- イヤホン