トップページへ戻る

レビュー

HOME > レビュー > レビュー記事一覧

公開日 2025/01/08 06:30
【オーディオアクセサリー銘機賞2025】受賞モデル

プロ機とコンシューマー機の「いいとこ取り」。ティグロンの最新スピーカースタンドを徹底レビュー!

林 正儀
ティグロンより、スピーカースタンドの新たな提案が登場した。独自のマグネシウム制振材を活用した「プロフェッショナル・スタンドシリーズ」である。コストパフォーマンスを徹底追求したこのスタンドは、本年度の「オーディオアクセサリー銘機賞2025」でも絶大な評価を獲得した。その魅力を林 正儀氏がレビューする。

TIGLON スピーカースタンド「プロフェッショナル・スタンドシリーズ」。右は高さ30cmの「PA-30Pro」(61,600円・ペア/税込)。左はJBL等の中型スピーカーやセンタースピーカーなどに活用できるスピーカーベースで、高さ60cmの「MGT-60Pro」(69,300円・ペア/税込)

■コンシューマーとプロ向けの音作りを融合させた新機軸



昨今スピーカースタンドの新製品が少ないなかで、「オーディオアクセサリー銘機賞2025」にて受賞を果たしたティグロンのプロフェッショナル・スタンドシリーズはジャンルとしても、製品としても非常に貴重な存在だ。同社のマグネシウム制振技術とスタジオ用の技術を融合させた新たなシリーズだが、改めて経緯を振り返っておく。

ブランドの原点は2004年登場の世界初マグネシウムスタンド、「MGT」だ。数々の有名スピーカーに採用されているのは周知だろう。スタジオ向けの「RKST」も20年の実績を持ち、音楽スタジオ経由で販売していた。コンシューマーとプロとでは音作りも異なる。このふたつを統合し、価格もよりリーズナブルとして新たに発売されたのが今回のプロフェッショナル・シリーズだ。

その技術的なベースは、昨年15周年モデルとして大きな話題となったスピーカースタンド、「RTS」である。ルームチューニングの機構を持たせた新発想で、「スピーカーを仮想的に宙に浮かせる」ことをコンセプトに音質を徹底追求。天/底板の材質から塗装、ネジ類に至るまで妥協なく追い込んだ渾身の作品で、昨年度の銘機賞にて特別賞に輝いている。

プロフェッショナル・シリーズは、ルームチューニング機能を省略したオーソドックスな構成だ。グレード的にはスタンダードクラスだが、部屋の環境に併せて吸音することもなく、リファレンスになり得る実力機と私は見た。

スピーカースタンドは高さ50cm、60cm、70cm、90cmの4種類をラインアップ

本機では天板/底板/マグネシウム支柱を最上位のRTSと共通化。細部まで入念なつくりで、支柱内部の珪砂をD-REN Proで培った特殊防振ゴムに変えたり、ネジも炭素鋼に強化したそうだ。

さらに同シリーズからはスピーカーベースも登場した。JBLなどの中型機やサブウーファー、あるいはセンタースピーカー用のスピーカーベースで、こちらはマグネシウムスピーカーベース「PA」をもとに、同じく支柱内部の特殊防振ゴムや連結部のネジ、全体の塗装まで大幅に刷新したものとなる。

スピーカーベース。2004年に登場した世界初マグネシウムベースであるPAを基本に支柱内部の防振材を珪砂から新素材の「特殊制振ゴム」に変更。さらに連結部のネジや全体の塗装を大幅に刷新している

■解像度やフォーカスを基軸に、開放感やリアルな音場を加味



いずれもサイズ別に4タイプを用意。次世代型のスタンド&ベースという位置付けで、まずスタンドから聴いてみた。不要共振や付帯音が消え、すっきりと静寂でありながら音楽のエネルギーを失わない。出てくるのは音源だけといえそうなニュートラル系のサウンドだ。信頼のおける安定した再現性が第一印象で、基本的には解像度やフォーカス重視だが、そこにプロの開放感やリアルな音場感を加味したようなシリーズになっている。

ジャンルを問わず音楽そのものが純化されるようで、わかりやすいのがピアノやヴォーカルだ。キーシンのライヴ録音。これがきらめくような輝きで、高速打鍵が小気味よく一音一音が明快に立ち上がる。減衰もきれいでリリースの美しさを実感させた。余韻にも魂が乗るようだし、聴けば聴くほど琴線に触れるのだ。

女性ヴォーカルではクラシックもジャズも、微妙な声の抑揚やブレスが生々しい。弱音域での効果は絶妙といえそうだ。SN感のレベルが違う。ここまで雑味や付帯音が消えたのか……。遠近がよりクリアに見えるようで、バックバンドと一体化された弾むジャズの快楽を満喫させてくれた。

オーケストラは細部がバランスよく整理され、その輪郭もくっきり描かれる方向だ。レンジ的には低域まで過不足なく伸びやかなピラミッドバランス。これによりナチュラルな立体感を引き出していた。ピークで頭打ちにならないのも好ましい。改めてプロフェッショナル・スタンドの能力を再認識した次第だ。

スピーカーベースの方はサイズは天板・底板ともに100W×400Dmm。高さは7、13、20、30cmの4タイプだ。中型ブックシェルフのJBL「43シリーズ」がうまくおさまりドッシリと安定する。プロシリーズらしい、低音のしまったキレのあるサウンドが得られる。低域の妙な強調やハイにおける硬質感がなく、音楽ジャンルに左右されないのもスタンドと同様である。しっかりとフォーカスを整え、プロのリアルな音場感と両立させる現代バージョンとしての効果である。

進化を遂げたティグロンのスタンド&ベースシリーズは幅広いユーザーに満足していただけるであろう。

■スピーカースタンド ラインナップ(価格はペア・税込)
・高さ50cm「MGT-50Pro」 68,200円
・高さ60cm「MGT-60Pro」 69,300円
・高さ70cm「MGT-70Pro」 70,400円
・高さ90cm「MGT-90Pro」 83,600円

■スピーカーベース ラインナップ(価格は2本・税込)
・高さ7cm「PA-7 Pro」 52,800円
・高さ13cm「PA-13 Pro」 55,000円
・高さ20cm「PA-20 Pro」 57,200円
・高さ30cm「PA-30 Pro」 61,600円
※スピーカー1台につき2本使用。2chシステムで使用する場合は2セット(計4本)必要

(提供:ティグロン)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.194』からの転載です

関連リンク

新着クローズアップ

クローズアップ

アクセスランキング RANKING
1 <CES>オンキヨー、モダンなHi-Fiオーディオ “Iconシリーズ” 発表。ネットワークプリ/プリメイン、パワーアンプの3機種
2 デノン新フラグシップSACDプレーヤー「DCD-3000NE」を聴く。ベテラン評論家も「信念とあくなき探究心を実感」
3 <CES>JBL、目覚まし時計型スピーカー新モデル「Horizon 3」。スマホアプリ対応でもっと便利に
4 テクニクス「EAH-AZ100」最速レビュー。オーディオファン待望の “磁性流体ワイヤレス”をさっそく聴いた
5 <CES・パナソニック>テクニクスの新しい最上位TWS「EAH-AZ100」もお披露目。北米復活のビエラ、4K有機EL・液晶テレビを一斉発表
6 Amazon Prime Video「アニメタイムズ」が2ヶ月99円で見放題!1月13日まで
7 Shokz、“業界初”テクノロジー搭載の新ながら聴きイヤホン「OpenFit 2」発表。1/16発売、税込約2.6万円
8 <CES>オンキヨー、パワードスピーカー「Creator Series」を海外発表。HDMI ARC搭載モデルも
9 新世代「JBL」を告げる驚異的コストパフォーマンス。「Stage 2シリーズ」3モデルをレビュー
10 Qi2ワイヤレス充電規格が “v2.1” アップデート。マグネットなしでも位置合わせ容易に
1/9 12:23 更新

WEB