公開日 2018/07/04 08:00
音の“聞こえ方”はどう違うのか
「ゲーム向けヘッドホン」は普通のヘッドホンと何が違う? ゲームはもちろん、音楽や映画でも確かめた
編集部:押野 由宇
いま、ゲームが熱い。もちろん、昔から一定以上のゲーム熱はあるわけだが、最近は「PUBG」や「モンスターハンター」「スプラトゥーン」などの人気タイトルの勢いが凄まじく、またeスポーツを盛り上げようというムーブメントもブーストしている。
さて、その流れに乗って注目度が高まっているのが「ゲーム向けヘッドホン」だ。聞くところによると、各社一斉に売れ行きを伸ばしているという。ではゲーム向けのヘッドホンは、普通のヘッドホンとはどういった違いがあるのだろうか? 本稿では音楽リスニング、映像鑑賞、スマホゲーム、PCゲームにおける “聴こえ方” の差を確認してみたい。
●根本的な違いとして
ゲーム向けのヘッドホンは、正式には「ゲーミングヘッドセット」と呼ぶのが正解だろう。ざっくり言うと、ヘッドホンにマイクが付いているのが基本的な構成。さらにサラウンド機能やDAコンバーターを内蔵しているものがハイグレード製品としてラインナップされている。
FPSなどオンラインで複数人とチームプレイするタイプのゲームでは、ボイスチャット機能を使うことが多い。それに対応するのが「ゲーム向け」という1つの条件になるのだろう。またゲームのなかにはサラウンドで出力できるものがあるので、サラウンドに対応するのも頷ける。
だが、これって普通のヘッドホンでも可能では? という疑問が湧くのも当然かと思う。マイクは外付けのマイクで代用できるし、そのためのマイクも出てきた(「ModMic」)。「サラウンドヘッドホン」というジャンルだって昔からある。一体化しているメリットは大きいが、別々に組み合わせてもやりようはある。
そこでアピールされるのは、音作りの違いである。ゲームに求められる音の聴こえ方は、音楽鑑賞のそれとは少し異なるという。シビアなプレイには、音という要素が重要になってくる。例えば、いち早く敵の接近に気づくには、音楽的な聴こえの良さより別の要素が必要になる。
メーカーやモデルにより音作りの違いはあるが、基本的にそうした方向性は、どのメーカーに聞いても変わらない。こうした部分を前提に、それぞれの使用シーンにおける違いを確かめていきたいと思う。なおPC接続でイコライザーを変更できる場合は、すべてノーマル設定とした。
【音楽リスニング】
まずは通常のヘッドホンのメイン用途であろう、音楽リスニングでの違いを確かめた。いくつかのゲーミングヘッドセットで確認したが、どれもハウジングと耳の周りにできる空間に音を響かせる傾向がある。通常のヘッドホンはいわゆる頭内定位で、頭のなかで音が鳴っている感じがあるが、ゲーミングヘッドセットでは、耳元で音が鳴っている感覚が強い。
音の広がりとしては開放型ヘッドホンに近いが、それよりも空間が狭く、ハウジング周辺にまとめられているイメージだ。そして通常のヘッドホンとは異なる聴こえ方ながら、明確な空間表現力を感じさせる。
定位がしっかりしており、音は混濁せず分離が良い。各楽器それぞれの音色を聴かせてくれる。オーケストラも位置関係が分かりやすいが、演奏されているホールが小さくなるという感じだ。
なおPC上の音楽再生ソフトによっては、サラウンド対応のゲーミングヘッドセットを接続した際にステレオ出力を選択しないと、自動でサラウンド出力を選択してしまい、正常に再生されないので注意したい。
【スマホゲーム】
続いてスマホゲームだ。色々とジャンルはあるが、ここではリズムゲームをプレイしてみた。先に結論を言えば、音楽リスニングとは比べ物にならないほど明らかな “聴こえ方” の違いがあった。
まずスマホやタブレットのスピーカー直出しに比べ、イヤホン/ヘッドホンを用いた際には音質向上がメリットとして語られることが多い。これは小型化が求められるデバイスでは、搭載するスピーカーに限界があることが要因だろう。
それもあって、ゲーム向けか否かを問わず、スピーカーからヘッドホンに代えることでまず音が良くなる。そして声の聞き取りやすさはゲーミングヘッドセットに軍配が上がる。アドベンチャー/ストーリーモードなどのボイス主体で楽しめるパートでは、キャラクターの声がクリアで、雑味なく聞き取れる。ボリュームを上げてもBGMがうるさくなく、無理している感がないので聞き疲れもしない。
実際にリズムゲームのパートをプレイしてみると、「ゲーム向け」に対して抱いていたイメージが変わってくる。低音がブーミーといったことはなく、かなりフラットな傾向だ。モニターヘッドホンに近いナチュラルさがある。そして “シャンシャン” がハッキリとする。リズムは取りやすいし、ボーカルも耳にスッと入ってくるのはメリットだが、ノリノリでプレイするには物足りなさがあるかもしれない。
一方でFPSタイプのゲームでは、大きな違いを感じられるポイントとしてSEの存在がある。迫力のある音作りのヘッドホンでは、豪快な爆発音などインパクトがあるが、どこで何が起きているのか分からない “パニックもの” のようになる。モニターヘッドホンでは、「パンッ」という1発の銃声が背景に溶け込むように、わずかにぼやけている。ゲーミングヘッドセットは、足音でもエンジン音でも銃声でも、どのSEも極めてハッキリ聞こえるのだ。これはゲームプレイ時における大きなアドバンテージになるだろう。
さて、その流れに乗って注目度が高まっているのが「ゲーム向けヘッドホン」だ。聞くところによると、各社一斉に売れ行きを伸ばしているという。ではゲーム向けのヘッドホンは、普通のヘッドホンとはどういった違いがあるのだろうか? 本稿では音楽リスニング、映像鑑賞、スマホゲーム、PCゲームにおける “聴こえ方” の差を確認してみたい。
●根本的な違いとして
ゲーム向けのヘッドホンは、正式には「ゲーミングヘッドセット」と呼ぶのが正解だろう。ざっくり言うと、ヘッドホンにマイクが付いているのが基本的な構成。さらにサラウンド機能やDAコンバーターを内蔵しているものがハイグレード製品としてラインナップされている。
FPSなどオンラインで複数人とチームプレイするタイプのゲームでは、ボイスチャット機能を使うことが多い。それに対応するのが「ゲーム向け」という1つの条件になるのだろう。またゲームのなかにはサラウンドで出力できるものがあるので、サラウンドに対応するのも頷ける。
だが、これって普通のヘッドホンでも可能では? という疑問が湧くのも当然かと思う。マイクは外付けのマイクで代用できるし、そのためのマイクも出てきた(「ModMic」)。「サラウンドヘッドホン」というジャンルだって昔からある。一体化しているメリットは大きいが、別々に組み合わせてもやりようはある。
そこでアピールされるのは、音作りの違いである。ゲームに求められる音の聴こえ方は、音楽鑑賞のそれとは少し異なるという。シビアなプレイには、音という要素が重要になってくる。例えば、いち早く敵の接近に気づくには、音楽的な聴こえの良さより別の要素が必要になる。
メーカーやモデルにより音作りの違いはあるが、基本的にそうした方向性は、どのメーカーに聞いても変わらない。こうした部分を前提に、それぞれの使用シーンにおける違いを確かめていきたいと思う。なおPC接続でイコライザーを変更できる場合は、すべてノーマル設定とした。
【音楽リスニング】
まずは通常のヘッドホンのメイン用途であろう、音楽リスニングでの違いを確かめた。いくつかのゲーミングヘッドセットで確認したが、どれもハウジングと耳の周りにできる空間に音を響かせる傾向がある。通常のヘッドホンはいわゆる頭内定位で、頭のなかで音が鳴っている感じがあるが、ゲーミングヘッドセットでは、耳元で音が鳴っている感覚が強い。
音の広がりとしては開放型ヘッドホンに近いが、それよりも空間が狭く、ハウジング周辺にまとめられているイメージだ。そして通常のヘッドホンとは異なる聴こえ方ながら、明確な空間表現力を感じさせる。
定位がしっかりしており、音は混濁せず分離が良い。各楽器それぞれの音色を聴かせてくれる。オーケストラも位置関係が分かりやすいが、演奏されているホールが小さくなるという感じだ。
なおPC上の音楽再生ソフトによっては、サラウンド対応のゲーミングヘッドセットを接続した際にステレオ出力を選択しないと、自動でサラウンド出力を選択してしまい、正常に再生されないので注意したい。
【スマホゲーム】
続いてスマホゲームだ。色々とジャンルはあるが、ここではリズムゲームをプレイしてみた。先に結論を言えば、音楽リスニングとは比べ物にならないほど明らかな “聴こえ方” の違いがあった。
まずスマホやタブレットのスピーカー直出しに比べ、イヤホン/ヘッドホンを用いた際には音質向上がメリットとして語られることが多い。これは小型化が求められるデバイスでは、搭載するスピーカーに限界があることが要因だろう。
それもあって、ゲーム向けか否かを問わず、スピーカーからヘッドホンに代えることでまず音が良くなる。そして声の聞き取りやすさはゲーミングヘッドセットに軍配が上がる。アドベンチャー/ストーリーモードなどのボイス主体で楽しめるパートでは、キャラクターの声がクリアで、雑味なく聞き取れる。ボリュームを上げてもBGMがうるさくなく、無理している感がないので聞き疲れもしない。
実際にリズムゲームのパートをプレイしてみると、「ゲーム向け」に対して抱いていたイメージが変わってくる。低音がブーミーといったことはなく、かなりフラットな傾向だ。モニターヘッドホンに近いナチュラルさがある。そして “シャンシャン” がハッキリとする。リズムは取りやすいし、ボーカルも耳にスッと入ってくるのはメリットだが、ノリノリでプレイするには物足りなさがあるかもしれない。
一方でFPSタイプのゲームでは、大きな違いを感じられるポイントとしてSEの存在がある。迫力のある音作りのヘッドホンでは、豪快な爆発音などインパクトがあるが、どこで何が起きているのか分からない “パニックもの” のようになる。モニターヘッドホンでは、「パンッ」という1発の銃声が背景に溶け込むように、わずかにぼやけている。ゲーミングヘッドセットは、足音でもエンジン音でも銃声でも、どのSEも極めてハッキリ聞こえるのだ。これはゲームプレイ時における大きなアドバンテージになるだろう。
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