公開日 2022/12/23 06:30
【第42回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ
現代にタイムスリップした稀代の独裁者、あなたはこのコメディを笑うことができるか?
ミヤザキタケル
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2015年製作の『帰ってきたヒトラー』をご紹介します!
◇
『帰ってきたヒトラー』(2015年・アメリカ)
(配信:U-NEXT)
世界中で翻訳されたドイツのベストセラー小説を映画化。突如現代へとタイムスリップしたアドルフ・ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)。モノマネ芸人と勘違いされTV出演を果たすと、その立ち振る舞いが大ウケしてお茶の間の人気者に。しかし、世間は気付いていなかった。彼が本物のヒトラーであることを…。
過去の自分や若かりし頃の両親、未来の自分やまだ見ぬ子孫に遭遇する。もしくは、歴史改変を行うためか阻止するために奮闘するというのが、映画におけるタイムスリップものの主題になりがちだが、本作はそれらの道を歩まない。現代社会に適応していくヒトラーの姿を通し、今を生きる私たちへ警鐘を鳴らしていく。そして、その過程が面白くもあり恐ろしくもあるのだ。あくまでもフィクションであり、彼が歴史的大罪を犯した事実も消えないが、腐敗した現代の政治や社会問題に物申していく姿を目にする度、不思議と彼を好意的に感じられるようになっていく。
それはきっと、当時のドイツ市民が政界進出を果たした頃の彼に抱いた感覚に近しいもののはず。だからこそ、危険なのである。コメディではあるものの、迂闊に笑えない要素を孕んだ本作は、あなたの目にどう映るだろう。
(C)2015 Mythos Film Produktions GmbH & Co. KG Constantin Film Produktion GmbH Claussen & Wöbke & Putz Filmproduktion GmbH
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
『帰ってきたヒトラー』(2015年・アメリカ)
(配信:U-NEXT)
世界中で翻訳されたドイツのベストセラー小説を映画化。突如現代へとタイムスリップしたアドルフ・ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)。モノマネ芸人と勘違いされTV出演を果たすと、その立ち振る舞いが大ウケしてお茶の間の人気者に。しかし、世間は気付いていなかった。彼が本物のヒトラーであることを…。
過去の自分や若かりし頃の両親、未来の自分やまだ見ぬ子孫に遭遇する。もしくは、歴史改変を行うためか阻止するために奮闘するというのが、映画におけるタイムスリップものの主題になりがちだが、本作はそれらの道を歩まない。現代社会に適応していくヒトラーの姿を通し、今を生きる私たちへ警鐘を鳴らしていく。そして、その過程が面白くもあり恐ろしくもあるのだ。あくまでもフィクションであり、彼が歴史的大罪を犯した事実も消えないが、腐敗した現代の政治や社会問題に物申していく姿を目にする度、不思議と彼を好意的に感じられるようになっていく。
それはきっと、当時のドイツ市民が政界進出を果たした頃の彼に抱いた感覚に近しいもののはず。だからこそ、危険なのである。コメディではあるものの、迂闊に笑えない要素を孕んだ本作は、あなたの目にどう映るだろう。
(C)2015 Mythos Film Produktions GmbH & Co. KG Constantin Film Produktion GmbH Claussen & Wöbke & Putz Filmproduktion GmbH
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。 |
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