公開日 2024/05/04 07:30
自室の限られた空間にヘッドホンやイヤホン、ヘッドホンアンプやポータブルプレイヤーなどなどを、できるだけたくさん、できるだけ高密度に、できるだけ使いやすくレイアウトしたい。それはヘッドホン&イヤホン、デスクトップオーディオなど、省スペースなパーソナルオーディオを楽しむマニアの多くが共通して思い描く夢のひとつだろう。筆者もそれを思い描いてきた一人だ。
そして、リアルに思い描くことは実現するッ! 筆者がたどり着いた俺だけのマッハッ……ではなくて、パーソナルオーディオ環境の省スペース化の切り札がこれだッ!
こちらのオーディオ設置システム的なものの支柱になっているのは、実はマイクスタンド。言わずもがな、本来はマイクを適切なポジションにセッティングするためのスタンドだ。
しかしマイクスタンド向けにはその使い勝手を向上させる各種アクセサリーが展開されており、そこには「モニターヘッドホンやイヤモニを置くためのヘッドホンハンガー」「小型ミキサーや小物打楽器などを置くためのトレイ」も含まれている。
前者はもちろんオーディオでもそのままの用途で活躍。後者にも、デスクトップUSB-DAC/ヘッドホンアンプやDAP、ワイヤレスイヤホンなどを置くのにちょうどよいサイズ感の製品があったりする。
そしてマイクスタンドには高さがあるので、そのハンガーやトレイを高さ方向に立体的に大量設置可能。一般的な高さ160cmほどのストレート型スタンドで、ヘッドホンハンガーだけなら最大8個くらいはいけるだろう。さらにその積載量を発揮できる土台として、マイクスタンドは重量級のベース部による十分な安定性、安心感も備えている。
マイクスタンド+ヘッドホンハンガー+トレイは、ヘッドホンやイヤホンを手の届く場所に大量に並べておきたい!デスクトップオーディオ環境はコンパクトに凝縮したい!といった、パーソナルオーディオ周りの願望に応えてくれるオーディオ設置システムとして、十分な可能性を秘めている。
少なくとも筆者は、これのおかげで「デスクに置くオーディオ機器はパワードモニタースピーカーのみ(他はすべてマイクスタンドに移設)」という、すっきりとした環境を実現できた。
なお、マイクスタンドと同じく高さ方向への多段設置を実現できるアイテムとしては他に、いわゆる「縦型突っ張り棒」がある。ホームセンターで販売されているようなアレだ。アレも棒の太さがマイクスタンドに近いものであれば、マイクスタンド用アクセサリーを普通に流用できる。
だが筆者のおすすめはやはりマイクスタンド。というのも実は、筆者は以前まさに突っ張り棒にヘッドホンハンガーやトレイを設置していた。そして、その突っ張り棒に感じていた不便や不安の解消手段としてマイクスタンドを選び、移住したという経緯があるのだ。
突っ張り棒システムの不便さとして大きかったのは、気軽には移動できないこと。例えばトレイ上に新しい機器を導入したとき。それに手を伸ばして操作しやすいようにデスクと設置システムの位置関係を調整し直したくなったのだが、それが難しかった。
ヘッドホンや機器をフル装備したままでの移動は、突っ張り棒システムだと事故りそうで不安感が強い。移動時にはオーディオシステムを一旦バラして退かす必要がある。対してマイクスタンドシステムは、注意深くしっかり持って動かしさえすれば、事故る危険性はさほど感じられずに移動しやすい。
設置安定性を十分に確保できているかの判断の難しさも、突っ張り棒システムで不安だった部分だ。というかその判断を誤り、限界を超えた突っ張り棒システムが未明に急に倒壊したことが、筆者が突っ張り棒システムを離れた決定打だったりする。もちろん本来の用途ではないところに勝手に流用した上に過剰積載した結果なので、突っ張り棒側には何の非もないことだが。
その点マイクスタンドは軽く揺らしてみればその感触で現状での安定性をおおよそ把握できるし、積載許容量も突っ張り棒より余裕がある印象。筆者のマイクスタンドシステムには現状、倒壊した突っ張り棒システムに設置していた時よりさらに多くのヘッドホンや機器が設置されているが、直近の震度4の地震でも何の問題もなしだった。
あとこれは気分的な問題だが、突っ張り棒は当然、床から天井いっぱいまで伸びる。実際に設置しているとその天井付近の部分が視覚的に意外と邪魔だった。天井付近へのハンガーやトレイの設置は重心バランスの観点からよろしくない。つまりそこは役立たずなくせに視覚的にうるさいだけの場所になってしまっていたのだ。
対して一般的なマイクスタンドは90cmから160cm前後の伸縮式。必要十分な高さに調整して設置、使用できる。
ということで、筆者大満足のマイクスタンド&アクセサリーによるオーディオ設置システム。続いてはその製品選びのポイントや、筆者が実際に使用している製品を紹介しよう。
まずはシステムの支柱となるマイクスタンド。いくつかの形状種類があるが、今回の用途に適するのはまっすぐ上に伸びる「ストレート型」だ。前述のように最短90cm前後から最長160cm前後の伸縮式で、必要に応じた高さにして使用できる。
またマイクスタンドは床に設置するベース部の形状にも「円形ベース」「三脚ベース」という種類がある。円形ベースは直径25-30cmほどの円形接地部に2-3kgほどの重量を持たせ、その重みで安定性を確保。対して三脚ベースは三方向に脚部を広げ、設置面積の広さで安定性を確保。
筆者のおすすめは円形ベースだ。理由のひとつめは設置面積の小ささ。ふたつめは、筆者が実際に使っているのがこちらのタイプなので、その安定性を実際の使用環境で確認できていること。
スタンドに大量のヘッドホンや機器を設置しても、スタンド最下部に十分な重量のある円形ベース型はスタンド全体の重心をスタンド下側にキープしてくれている。さすがに重量級大型アナログヘッドホンアンプとかを設置したらそちらに重心を持っていかれるだろうから、それは避けた方がよいだろうが。
で、筆者が実際に導入しているマイクスタンド、つまり今回の実例写真に写っているものは、K&M「26010B」という製品。実売税込6,000円程度から。
これに限らず、マイクスタンド分野で名の知れたブランドの製品でストレート型/円形ベース、全体重量3kg前後以上となると、だいたい5,000円前後からというのが目安になる。
ヘッドホンハンガーは安いものであれば700円程度からある。しかし筆者としては、2,000円程度になってしまうが、こちらもK&M「16080」をおすすめしたい。
というのもこちら、前方の切り込み形状が特徴的なのだが、実はその部分がイヤホンハンガーになっている。この形のおかげでイヤホンやプラグを引っ掛けた際の適度な固定力が確保されており、ぬるっとした形のところに引っかけるのと比べて滑り落ちにくい。筆者が長年使い続け、お値段分の価値はあり! と納得している製品だ。
とはいえお高いのは事実なので、複数設置するヘッドホンハンガーのうちメインポジションに設置するものはK&M 16080、他は安いやつで数を揃える! など、予算に応じた組み合わせで導入するのもよいだろう。
トレイは、そのトレイに置きたいものの大きさに合うサイズのものを選べばよい。ただし重量のある機器を設置する場合は特に、マウント部の安定感や堅牢感、精度などについてのレビューや口コミ情報をできるだけ集めて確認しておきたい。
筆者が使用しているのはON STAGE STANDS「MST1000」というトレイ。実売税込2,500円程度。
トレイ部の内寸は実測145mmちょい×220mmちょい。ポータブルからデスクトップをターゲットにしたDACやヘッドホンアンプなら、このサイズに収まる製品も多いだろう。また前述のように筆者は重量約1.4kgのモニターコントローラー、Heritage Audio「Baby RAM」をこのトレイに設置しているが、その重みに負ける感じも今のところない。
マイクスタンドとアクセサリーを揃えたらいよいよ組み上げだ。
ハンガーやトレイは、スタンドの前後左右の重心バランスもある程度考慮して配置した方がよいだろう。例えば筆者の場合、スタンド左側のトレイに重量約1.4kgのモニターコントローラーを設置しているので、ヘッドホンハンガー×3はそれと反対の右側に集中させることで重心バランスを調整している。
そのほか例えば、ヘッドホンから垂れるケーブルがトレイに設置した機器の操作ノブの邪魔になったりしないようになど、細々とした注意点もある。が、ハンガーもトレイも位置調整は簡単。不都合があればその都度調整して、時間をかけてベストなレイアウトに持っていけばよい。
そして一度ベストレイアウトが完成したとしても、新機材を導入すればそれはまた変わってくるし、何か便利そうなアクセサリーを新発見することもあるだろう。そういった際にいくらでも再構築していける自由度や拡張性も、マイクスタンドを利用した設置システムの強み。皆様にとっても長らく愛用できるものになってくれたなら嬉しい限りだ。
[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域 バックナンバーはこちら
[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第274回】
夢の環境を作り上げろ!「マイクスタンド」で作る、僕の考えた最強のオーディオ設置システム
高橋敦■省スペースオーディオの救世主は……マイクスタンド!
自室の限られた空間にヘッドホンやイヤホン、ヘッドホンアンプやポータブルプレイヤーなどなどを、できるだけたくさん、できるだけ高密度に、できるだけ使いやすくレイアウトしたい。それはヘッドホン&イヤホン、デスクトップオーディオなど、省スペースなパーソナルオーディオを楽しむマニアの多くが共通して思い描く夢のひとつだろう。筆者もそれを思い描いてきた一人だ。
そして、リアルに思い描くことは実現するッ! 筆者がたどり着いた俺だけのマッハッ……ではなくて、パーソナルオーディオ環境の省スペース化の切り札がこれだッ!
こちらのオーディオ設置システム的なものの支柱になっているのは、実はマイクスタンド。言わずもがな、本来はマイクを適切なポジションにセッティングするためのスタンドだ。
しかしマイクスタンド向けにはその使い勝手を向上させる各種アクセサリーが展開されており、そこには「モニターヘッドホンやイヤモニを置くためのヘッドホンハンガー」「小型ミキサーや小物打楽器などを置くためのトレイ」も含まれている。
前者はもちろんオーディオでもそのままの用途で活躍。後者にも、デスクトップUSB-DAC/ヘッドホンアンプやDAP、ワイヤレスイヤホンなどを置くのにちょうどよいサイズ感の製品があったりする。
そしてマイクスタンドには高さがあるので、そのハンガーやトレイを高さ方向に立体的に大量設置可能。一般的な高さ160cmほどのストレート型スタンドで、ヘッドホンハンガーだけなら最大8個くらいはいけるだろう。さらにその積載量を発揮できる土台として、マイクスタンドは重量級のベース部による十分な安定性、安心感も備えている。
マイクスタンド+ヘッドホンハンガー+トレイは、ヘッドホンやイヤホンを手の届く場所に大量に並べておきたい!デスクトップオーディオ環境はコンパクトに凝縮したい!といった、パーソナルオーディオ周りの願望に応えてくれるオーディオ設置システムとして、十分な可能性を秘めている。
少なくとも筆者は、これのおかげで「デスクに置くオーディオ機器はパワードモニタースピーカーのみ(他はすべてマイクスタンドに移設)」という、すっきりとした環境を実現できた。
■「突っ張り棒」ではなく「マイクスタンド」な理由
なお、マイクスタンドと同じく高さ方向への多段設置を実現できるアイテムとしては他に、いわゆる「縦型突っ張り棒」がある。ホームセンターで販売されているようなアレだ。アレも棒の太さがマイクスタンドに近いものであれば、マイクスタンド用アクセサリーを普通に流用できる。
だが筆者のおすすめはやはりマイクスタンド。というのも実は、筆者は以前まさに突っ張り棒にヘッドホンハンガーやトレイを設置していた。そして、その突っ張り棒に感じていた不便や不安の解消手段としてマイクスタンドを選び、移住したという経緯があるのだ。
突っ張り棒システムの不便さとして大きかったのは、気軽には移動できないこと。例えばトレイ上に新しい機器を導入したとき。それに手を伸ばして操作しやすいようにデスクと設置システムの位置関係を調整し直したくなったのだが、それが難しかった。
ヘッドホンや機器をフル装備したままでの移動は、突っ張り棒システムだと事故りそうで不安感が強い。移動時にはオーディオシステムを一旦バラして退かす必要がある。対してマイクスタンドシステムは、注意深くしっかり持って動かしさえすれば、事故る危険性はさほど感じられずに移動しやすい。
設置安定性を十分に確保できているかの判断の難しさも、突っ張り棒システムで不安だった部分だ。というかその判断を誤り、限界を超えた突っ張り棒システムが未明に急に倒壊したことが、筆者が突っ張り棒システムを離れた決定打だったりする。もちろん本来の用途ではないところに勝手に流用した上に過剰積載した結果なので、突っ張り棒側には何の非もないことだが。
その点マイクスタンドは軽く揺らしてみればその感触で現状での安定性をおおよそ把握できるし、積載許容量も突っ張り棒より余裕がある印象。筆者のマイクスタンドシステムには現状、倒壊した突っ張り棒システムに設置していた時よりさらに多くのヘッドホンや機器が設置されているが、直近の震度4の地震でも何の問題もなしだった。
あとこれは気分的な問題だが、突っ張り棒は当然、床から天井いっぱいまで伸びる。実際に設置しているとその天井付近の部分が視覚的に意外と邪魔だった。天井付近へのハンガーやトレイの設置は重心バランスの観点からよろしくない。つまりそこは役立たずなくせに視覚的にうるさいだけの場所になってしまっていたのだ。
対して一般的なマイクスタンドは90cmから160cm前後の伸縮式。必要十分な高さに調整して設置、使用できる。
■オーディオ向けマイクスタンド選びのポイントは?
ということで、筆者大満足のマイクスタンド&アクセサリーによるオーディオ設置システム。続いてはその製品選びのポイントや、筆者が実際に使用している製品を紹介しよう。
まずはシステムの支柱となるマイクスタンド。いくつかの形状種類があるが、今回の用途に適するのはまっすぐ上に伸びる「ストレート型」だ。前述のように最短90cm前後から最長160cm前後の伸縮式で、必要に応じた高さにして使用できる。
またマイクスタンドは床に設置するベース部の形状にも「円形ベース」「三脚ベース」という種類がある。円形ベースは直径25-30cmほどの円形接地部に2-3kgほどの重量を持たせ、その重みで安定性を確保。対して三脚ベースは三方向に脚部を広げ、設置面積の広さで安定性を確保。
筆者のおすすめは円形ベースだ。理由のひとつめは設置面積の小ささ。ふたつめは、筆者が実際に使っているのがこちらのタイプなので、その安定性を実際の使用環境で確認できていること。
スタンドに大量のヘッドホンや機器を設置しても、スタンド最下部に十分な重量のある円形ベース型はスタンド全体の重心をスタンド下側にキープしてくれている。さすがに重量級大型アナログヘッドホンアンプとかを設置したらそちらに重心を持っていかれるだろうから、それは避けた方がよいだろうが。
で、筆者が実際に導入しているマイクスタンド、つまり今回の実例写真に写っているものは、K&M「26010B」という製品。実売税込6,000円程度から。
これに限らず、マイクスタンド分野で名の知れたブランドの製品でストレート型/円形ベース、全体重量3kg前後以上となると、だいたい5,000円前後からというのが目安になる。
■ヘッドホンハンガー&トレイ選びのポイント
ヘッドホンハンガーは安いものであれば700円程度からある。しかし筆者としては、2,000円程度になってしまうが、こちらもK&M「16080」をおすすめしたい。
というのもこちら、前方の切り込み形状が特徴的なのだが、実はその部分がイヤホンハンガーになっている。この形のおかげでイヤホンやプラグを引っ掛けた際の適度な固定力が確保されており、ぬるっとした形のところに引っかけるのと比べて滑り落ちにくい。筆者が長年使い続け、お値段分の価値はあり! と納得している製品だ。
とはいえお高いのは事実なので、複数設置するヘッドホンハンガーのうちメインポジションに設置するものはK&M 16080、他は安いやつで数を揃える! など、予算に応じた組み合わせで導入するのもよいだろう。
トレイは、そのトレイに置きたいものの大きさに合うサイズのものを選べばよい。ただし重量のある機器を設置する場合は特に、マウント部の安定感や堅牢感、精度などについてのレビューや口コミ情報をできるだけ集めて確認しておきたい。
筆者が使用しているのはON STAGE STANDS「MST1000」というトレイ。実売税込2,500円程度。
トレイ部の内寸は実測145mmちょい×220mmちょい。ポータブルからデスクトップをターゲットにしたDACやヘッドホンアンプなら、このサイズに収まる製品も多いだろう。また前述のように筆者は重量約1.4kgのモニターコントローラー、Heritage Audio「Baby RAM」をこのトレイに設置しているが、その重みに負ける感じも今のところない。
■理想のオーディオ設置システムを組み上げよう!
マイクスタンドとアクセサリーを揃えたらいよいよ組み上げだ。
ハンガーやトレイは、スタンドの前後左右の重心バランスもある程度考慮して配置した方がよいだろう。例えば筆者の場合、スタンド左側のトレイに重量約1.4kgのモニターコントローラーを設置しているので、ヘッドホンハンガー×3はそれと反対の右側に集中させることで重心バランスを調整している。
そのほか例えば、ヘッドホンから垂れるケーブルがトレイに設置した機器の操作ノブの邪魔になったりしないようになど、細々とした注意点もある。が、ハンガーもトレイも位置調整は簡単。不都合があればその都度調整して、時間をかけてベストなレイアウトに持っていけばよい。
そして一度ベストレイアウトが完成したとしても、新機材を導入すればそれはまた変わってくるし、何か便利そうなアクセサリーを新発見することもあるだろう。そういった際にいくらでも再構築していける自由度や拡張性も、マイクスタンドを利用した設置システムの強み。皆様にとっても長らく愛用できるものになってくれたなら嬉しい限りだ。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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