iPhoneの牙城を崩せるか
世界市場を狙うソニーエリクソン「Xperia」 − 商品企画担当者が語る製品コンセプトと今後の展開
■Xperiaのデザインコンセプトとは?
一条:デザインは日本で行ったのですか?
西村:そうです。ただし組織としてはグローバルでやっていて、たまたま日本にいたデザイナーがアサインされただけです。とは言え、実際の開発は日本人の割合が高くなっており、Xperiaには日本人の粘り強さが活きていると思います。
一条:それは、最後まで粘り強く詰めるというようなことですか?
西村:ええ。やはり大規模な開発なので、けっこう苦しいんですが、そこを日本人ならではの粘り強さで、妥協せずにこだわりを持って、自分たちの思っているようなものに仕上げることができたと思います。
デザインはXperiaの4つのフィーチャーのなかの1つです。このモデルのデザインランゲージのキーワードは、デザイナーによれば「ヒューマン・カーヴァチャー」と「プレシジョン・バイ・テンション」というもので、それを実際のデザインに落とし込んでいます。
ヒューマン・カーヴァチャーというのは文字通り、人間的な美しいカーブです。3Dの曲線を複雑に組み合わせて、どの面をとっても単純なカーブにならないようにしています。持ったときに人間が美しいと思えるような親和性のある曲線を目指しています。かつ、4インチの大型ディスプレイの大きさを感じさせないようにしています。
携帯電話ですので、幅にはある程度の制約があります。一方でコミュニケーションエンターテイメントということで、我々としてはフルワイドの液晶を入れるべきだと。これらの条件から、ほかのスマートフォンと結果的に同程度の幅となり、液晶がワイドであるため、筐体は長めになっています。
側面はかなり細いので、エンジニアが設計するのは大変だったようです。またバッテリーは交換可能で、長時間の使用にも対応できます。
一条:iPhoneは滑りやすいため、個人的にはケースに入れないと持ち運びたくない感じですが、Xperiaは本体だけでも持っていて安心感がありますね。
西村:ボディカラーは白と黒があるのですが、白は艶っぽい感じ、黒はマットで質感を大事にするなど、色を変えるだけでなく、仕上がりも変えています。また、LEDライトの色も変えるなど、細かい部分も変えています。
どちらも、背面がヒューマン・カーヴァチャーで持ちやすい人間的な曲線を持つ一方、ディスプレイのある表面はプレシジョン・バイ・テンションということで、スパッとフラットになっています。
一条:デザインも凄いですが、それを実現したエンジニアも凄いですね。
本体を1回転させたところ。側面の傾斜がなだらかで優雅だ
マイクも標準付属する。日本国内向けはイヤフォンがカナル式の密閉度が高いものになる
■強化ガラスで強固にカバーされたディスプレイ
西村:Xperiaは、ディスプレイの表面に強化ガラスを採用していることも特徴です。
一条:それはサイバーショットなどと同じものですか?
西村:完全に同じではありませんが、そのような技術を活かして使っています。また、万が一ガラスが割れたときにも飛び散らないようなシートを仕込んでおり、これはスマートフォンとしては珍しいのではないでしょうか。これも日本的な、細かい配慮と言えるかも知れません。何かあったときに、お客様に迷惑がかからないようにしたいですから。
一条:液晶のクオリティについてはどうでしょう。たとえば、最近のサイバーショットなどはフォトフレームにも使われている高画質なTruBlack液晶を搭載していますが。
西村:それとは違うものです。利用シーンが異なるので、必ずしもデジカメなどと同じ液晶を使えばいいというものではないと思います。想定される使用環境のなかで最適と思える液晶ディスプレイを採用しています。