ソニーの技術を結集した「オールソニー」製品
「自分たちが欲しい商品を作った」 − ソニーのヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T1」開発者インタビュー
■コスト削減にも垂直統合ならではの摺り合わせが活きた
森:本気でマーケットを立ち上げたいという思いがあったので、価格についても内部で相当議論しました。一般のお客様にも「試してみよう」と思って頂ける価格をということで、ある程度戦略的な価格設定を行いました。
ーー この価格を実現するのは難しかったのではないでしょうか?
森:色々な工夫を重ねて何とか目標にたどり着いた、という感じですね。苦労しましたが、何とかここまで持ってこれたというのは、逆に先ほども申し上げた、ソニーならではの強みを発揮できた結果だと思います。
楢原:画質とコストを両立させるために、パネルの仕様だけでは無く周辺回路も含めてどう実現するか、関係者内で毎週徹底的な摺り合わせを行いました。
自社グループなので深いところまで議論を行うことができ、全体として垂直統合のメリットが活かせたと考えています。
ーー 企画から商品化まで苦労された点はありますか?
楢原:トップのGOサインを得るために試作機を作ったり、そもそもどういうコンセプトの商品にするか考えている時は苦労しましたが、それが固まって、GOが出てからは非常に早かったという印象です。商品企画の方も目指すところはがはっきりしていて、みんなが同じ価値観を共有していたので、わりとすんなり行ったと思います。
森:商品性自体は、プロトタイプのデモの評判が非常に良く、ネガティブな声はなかったので、バランスが取れたものを出せたらニーズはあるよね、という認識はありました。まあ、それを実行ベースに移すときには様々な苦労があったんですが、「そもそもこれを出して意味があるのか」という議論に戻るというようなことは全く無かったですね。
とにかく上手に作れば新しいものが生み出せると思っていたので、それをどうやってやればいいんだ、ということを考えて頑張りました。
ーー みなさん、この製品に「ソニー」を感じたんでしょうね。
森:そうかもしれませんね(笑)。プロトタイプを見せた社員から「そういえば、どうなりましたアレ」といった感じで聞かれることも多かったですし。気になる存在だったみたいですね。