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新製品「Babyface PRO」の開発背景も説明

RMEのポリシーは「データに対して正確な音」。開発者が設計思想を語り尽くす

公開日 2015/08/28 11:40 季刊ネットオーディオ編集部
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最新モデル「Babyface PRO」ではバスパワーをさらに強化

― 今回のBabyface Proもさることながら、Fireface 802などの新製品は、新しいデザインで質感もかなり高いものとなりましたね。このデザインの変更には、何か意味はあるのですか?

カーステンズ サウンドのテイストもそうですし、色々な部分で新しい時代となった、ということですね。

ホルトマン あるエンジニアが、今回のBabyface Proでも採用されているスティール・ボール・ブラスティングという仕上げに着目してきたんです。この仕上げは、本当に傷にも強いですし、腐蝕にも強いものです。ですので、仮に10年Babyface ProやFireface 802を使い続けても、この部分は同じような質感をキープしていると思います。そうした耐久性の実現も、新しいデザインコンセプトの採用の大きな理由です。

発売されたばかりのBabyface PRO。価格は99,800円(税抜)

― よくコンシューマーの世界では、筐体を良くすると音質的に有利という話もあるのですが、そういう観点ではいかがでしょうか?

カーステンズ Babyface Proに限っていれば、旧Babyfaceよりも色々な面で進化しています。なかでも、特に苦労した部分はバスパワーで動作させなくてはならない、ということだったんです。ですので、消費電力の問題というのは常に付きまとう問題となるんですね。消費電力をいかに抑えつつつ、音質的にもフィードバックするか、ということがテーマとなるわけです。

Babyface Proでは新しい電源ジェネレーターを装備したことで、内部で使用できるAD/DAコンバーターの選択肢も大きく広がりました。また、ヘッドフォンもBabyface Proの性能を最適に発揮できるような改良を施しています。ただし、これらを実現するためには、できる限り精度の高い筐体を用意して、極限まで部品を詰める必要があったんです。だからこそ、Babyface Proはアルミ削り出しの筐体を採用したんです。

Babyface PROにおいては筐体の強化に非常に注力したという

― つまり、結果的には音質に結びついたとしても、筐体そのものが云々という問題ではなく、クオリティの実現のために必要だった、ということですね。ところで、今回のBabyface Proも192kHz/24bitのPCM専用機となっています。日本のオーディオファイルの間ではDSDフォーマットが高い注目を集めていて、海外ブランドからもDSDネイティブ再生に対応した機器はDAコンバーターとしては多く見受けられますが、PCM専用機としたことについて理由はありますか?

カーステンズ DSDのマーケットは、実際のところ非常に小さいものだと感じています。ごく一部のオーディオファイルにだけ向けたものだと思うんですね。ちなみに、約10年前までは192kHz/24bitというスペックも誰も使っていませんでした。それと同じことが言えると思うんです。例え対応したとしても、99%の人は使うことなく終わってしまうと思います。

それと、もしDSDネイティブ再生に対応させようとした場合、そのためだけに消費電力の大きいチップを使わなければいけなくなったり、コスト面や性能面でもいくつか犠牲を払う必要がでてきてしまいます。つまり、DSDネイティブ再生をサポートすることで、どれだけの人がそのメリットを享受できるのか、ということを考えた場合、私達が考える理想的なオーディオデバイスとしてはデメリットが大きいと判断しました。

ホルトマン 他にも、例えば通信手段としてもThunderboltやDanteなど新しい方式が出てきています。それらやDSD、そして32bit対応にしても、「RMEがやろうとしていることに必要なことなのか」ということを第一に考えているんです。もちろん、技術的には難しいことではありませんので、RMEとしてはいつでも対応させることは可能です。しかし、DSDはノイズシェーピングというノイズを高域に追いやる方式を採っているので、きちんとフィルタリングをしないとスピーカーを破損することもありますし、32bitについては現在のDAコンバーターではそのメリットを享受できるスペックを持ったDACチップは存在しません。

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