開発思想や今後の展開も明らかに
JH Audio ジェリー・ハービー氏が語る新イヤホン「Siren Series」の“革新と継承”
■世界の一流ミュージシャン&エンジニアに広がる「JH Audioユーザー」
−− Siren Seriesはプロのミュージシャンにも愛用者が多いと聞きます。
JH:「Layla」は多くの著名マスタリングエンジニアがリファレンスのIEMとして使っています。最近ではオジー・オズボーンの作品のミキシングに使われたと聞きます。ミュージシャンにもミック・ジャガーやグウェン・ステファニーなどの愛用者がいます。「Roxanne」を使っているミュージシャンはU2、マドンナ、ボン・ジョヴィ、フー・ファイターズをはじめとするビッグネームたちです。また新たに本機を使いはじめたミュージシャンとして、ブルース・スプリングスティーンとEストリート・バンドや、キャリー・アンダーウッドの名前も挙げられます。「Roxanne」はまさに“Workhorse(馬車馬)”のように活躍するイヤホンとして、音楽業界のスタンダードになりつつあります。
−− ジェリー・ハービーさんご自身は、最近の音楽の傾向をどう感じていますか。
JH:ハイレゾはこのまま全世界的に定着すると思います。テレビの映像がSDからHDになって、今ではまた元のSDに戻ることは想像すらできませんが、音楽もまた同じようになっていくでしょうね。特にじっくりと聴くための音楽はハイレゾが当たり前になるはずだし、音楽業界もその動向を推進しています。ストレージメディアが安価になったので容量の大きなハイレゾ音源が手元に保存しやすくなったことも普及を後押ししています。ブロードバンドが普及して、インターネットの帯域幅が広がったことで、高音質音楽ストリーミングもブレイクする可能性があります。
−− Astell&KernブランドとのコラボレーションはJH Audioにどんなメリットをもたらしましたか。
JH:イヤホンの究極的な役割は、ソースの良さを忠実に引き出すことです。だから、本当にいい音を楽しむためにはベストなミュージックプレーヤーが不可欠です。Astell&Kernのプレーヤーは私が知る限り、いま手に入れられる最高の製品だと思います。JH Audioのプロダクトと完璧な組み合わせだと言えるでしょう。私たちのパートナーシップは日々熟成されています。私はAstell&Kernのオープンな企業風土や、良いプロダクトをつくることに情熱を捧げているスタッフに敬意を抱いていますし、互いにベストな製品をつくろうという意志を共有しています。
私自身、初期の「AK120」以来、Astell&Kernのプレーヤーは全てリファレンスとして使ってきました。今回の来日旅行にも、機内に「AK380」と専用ポータブルヘッドホンアンプを携えて「Layla」をAKのバランス接続でつないで音楽を聴いていました。この組み合わせによるサウンドは最高です!新しいSiren SeriesにはAstell&Kernのプレーヤーによるバランス接続にも最適な2.5mm/4pinケーブルが付属しているので、ぜひAKシリーズのユーザーにも注目してほしいですね。
−− 今回発表されたのはユニバーサルモデルですが、ノズルまでフルメタルボディになったことで、カスタムIEMとして展開する際のハードルが上がったのではないでしょうか。
JH:実はフルメタルボディをベースにしたカスタムIEMの製作にも既に着手しています。来年には特殊金属にチャレンジした、とてもクールなカスタムIEMを発表する計画があります。JH Audioには最高のサウンドと、難しい技術にチャレンジして素晴らしい成果を挙げてきた実績があります。今回発表したユニバーサルモデルをご覧いただいても分かる通り、メタルブロックからの削り出し加工でなければ、このシェルのセクシーな曲線は出せません。最高の「オトコのジュエリー」をつくってしまったという自負があります! 技術の先端を捉える感度はいつも高く保ちながら、これからもずっと新しいことへ積極的にチャレンジしていきたいと意欲を燃やしています。
−− ありがとうございました。