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【特別企画】QCシリーズの進化を語る濃密インタビュー

ノイズキャンセリング・マスターに訊く、ボーズ“ノイキャン史”と新モデル「QC35」の強さ

公開日 2016/07/01 10:30 インタビュー:山本 敦
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ボーズから、新しいノイズキャンセリング・ヘッドホンの最上位機「Bose QuietComfort 35 wireless headphones(以下、QC35)」が発売された。同社初の、ノイズキャンセリング機能とBluetooth機能を両方搭載するモデルだ。

Bose QuietComfort 35 wireless headphones(QC35)

今回Phile-webでは、本製品の日本発売にあわせてアメリカから来日していた米Bose CorporationのHeadphone Lead Research Engineer ダン・ゲイジャー氏に、個別インタビューを実施した。

ダン・ゲイジャー氏。マサチューセッツ工科大学にて制御システムやアナログ回路設計の研究に従事し、1981年に電気工学の理学士号と理学修士号を取得している人物。1980年にボーズに入社してからは、主にアコースティック・ノイズキャンセリングの開発に携わり、旅客機のパイロット向けや軍用、コンシューマー向けアコースティック・ノイズキャンセリングヘッドセットに向けた電子・音響・システムの設計を担当してきた。自身も音響関連を含めて特許を25個所有している

ゲイジャー氏は、1980年にボーズに入社してから、主にアコースティック・ノイズキャンセリングの開発に携わり、ノイズキャンセリング・ヘッドセット用の電子・音響・システム設計を担当。いわば、ボーズにおけるノイキャン技術開発の黎明期から携わってきた人物だ。そんな同氏に、ボーズのノイズキャンセリングの歴史と、最新モデルであるQC35の強みについて直撃した。


<目次>
■ ノイキャンのマスターが語る、ボーズのノイズキャンセリング史
■ 初の一般向けNCヘッドホン「QC」初代機の衝撃と、その後のイノベーション
■ QC35は、QuietComfortとSoundLinkの開発リソースを共有して実現
■ 前世代モデルとは違う、QC35の音質の秘密とは?
■ スマートな本体デザイン/ワイヤレス化なのにバッテリーは長寿命化
■ QC30の“可変ノイキャン機能”、ヘッドホンへの搭載はあるか?


■“ノイキャンのマスター”に訊く! ボーズのノイキャン史と最新モデルQC35の魅力

−− 今回のインタビューでは、新しいノイズキャンセリング・ヘッドホン「QC35」を中心に、ボーズが誇るノイズキャンセリング技術についてお話を伺いたいと思います。まず、ゲイジャーさんが現在、ボーズ内でどのように製品開発に関わっているのか教えて下さい。

ゲイジャー氏: 私は、現在は直接の製品開発に従事しているわけではありません。研究開発の方に携わっており、これからの新しいヘッドホンに搭載する技術そのものを開発しています。

ゲイジャー氏は、新しいヘッドホンに搭載する技術そのものを開発している

−− ちなみにノイズキャンセリングの開発に関しては、入社以来ずっと担当されているのですか?

ゲイジャー氏: そうですね、完全に一番最初からではありませんが、黎明期から携わっています。最初にボーズのノイズキャンセリング技術のアイデアが生まれたのが1978年で、私が入社したのはその2年後、1980年でした。そのときからずっとです。これまでに世に出た、ノイズキャンセリング・ヘッドホン“QuietComfort(以下、QC)”シリーズの全モデルに関わってきました。

−− では、そんなゲイジャーさんに、ぜひボーズのノイズキャンセリングの歴史について教えて頂きたいと思います。…といってもかなり長い歴史だと思うのですが、いくつかのターニングポイントやマイルストーンについてご紹介頂けますか? 特にコンシューマー向けのQCシリーズについて詳しく聞きたいです。

ゲイジャー氏: わかりました。ではQCシリーズの前に、少し古いお話をしましょう。

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