【特別企画】QCシリーズの進化を語る濃密インタビュー
ノイズキャンセリング・マスターに訊く、ボーズ“ノイキャン史”と新モデル「QC35」の強さ
■前世代モデルとは違う、QC35の音質の秘密とは?
−− 続いてオーディオ面についても伺いたいと思います。これは私の感想ですが、QC25はフラットバランスで高域がクリアだったのに対して、QC35は中域や低域のレスポンスやクリアさに注力しているように感じました。新しいタイプの音楽にフィットする音作りなのではないかと。
ゲイジャー氏: 音作りについてはそれほど大きく変えていないのですが、恐らくボリュームによって聴こえ方が変わったのだと思います。というのも、QC35では、大音量時と小音量時でそれぞれにイコライジングを変えているんです。例えば小音量時では低域に対する聴覚が鈍くなりますので、それに対応するため、ミッドレンジを維持しながら低域を強めに出し、音楽を快適に聴いて頂けるような新しいイコライジングを投入しています。
−− そうなのですね。私は、QC35の音はとても活き活きしていて、力強くて、パワフルで、シンプルに言うととても好きです。
ゲイジャー氏: ありがとうございます。音質面については、チームにサウンドデザイナーがいて、彼らがそのイコライゼーションを行っています。
サウンドデザインについては、自然であることを第一としています。演奏されたそのままを伝えるということです。どんな環境でも、大音量時でも小音量時でも、同じように音楽を楽しめるように作っています。
■ボーズがこのタイミングでノイキャン+Bluetoothヘッドホンを出した理由
−− ちなみに今回のQC35は、ボーズとして初めてのノイズキャンセリング+Bluetoothを両立させたモデルです。ただ、他社からは同じフィーチャーを備えたモデルがすでに発売されていたことも事実です。ボーズからの発売がこのタイミングになったのには、どういう理由があったのでしょうか?
ゲイジャー氏: 配慮した質問の仕方をしていただいてありがとうございます。要するに「なぜもっと早く出さなかったのか?」ということですよね。申し上げたいのは、Bluetoothは主に利便性のためのものであるということです。ものすごく便利ですが、ただ単にBluetooth機能を追加しただけでは、ワイヤード接続時と比べて音質に妥協せざるを得ない部分がありました。
そこで我々は、これまでのQCシリーズで実現してきたものを全て妥協せず、Bluetoothで実現するためにどうすればよいかを考える必要がありました。しかも、Bluetooth機能とそれ以外のデジタル機能を統合する必要があり、それをヘッドホンというコンパクトなプロダクトの中に入れ込む必要があったのです。その部分の開発に時間が掛かりました。
−− なるほど、ノイズキャンセリングに妥協せずワイヤレス化を実現するための期間だったということですね。Bluetooth性能に関しては、NFC機能も搭載してしっかり利便性も確保されていますよね。
ゲイジャー氏: ええ。Bluetoothのペアリングは多少煩わしいところがありますが、NFCを使えば簡単です。さらに専用の「Bose Connect app」アプリを活用すれば、より簡単にペアリングできるようにしています。