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PR評論家・大橋伸太郎氏とマランツ・尾形好宣氏が対談

マランツ「MODEL M1」高評価の理由と開発秘話。「ピュアオーディオの新しい形」誕生の裏側に迫る!

公開日 2024/07/10 06:30 大橋伸太郎(構成:ファイルウェブ編集部)
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尾形 22cmありきというよりは、小型化に向けていろいろ取り組むうちに「これくらい小さくできそうだ」「じゃあせっかくなら半分を目指そう」という感じですね。

実は、もっと小型化しようと思えばできた部分もあります。例えば回路の周囲には空冷のために2cmくらいのスペースを設けているのですが、ファンを導入してこのスペースを詰めるなどですね。でも、ハイファイな音を実現させる上でファンは採用しませんでした。そのような、音に対する配慮も含めていまのサイズになった部分もあります。

取材時の様子

大橋 その音質面ですが、ポストフィードバック方式であったり4チャンネル分のパワーアンプをBTLで接続してブリッジ駆動するという構成は、アクサインのアンプを採用したことがトリガーだったのですか? それとも、今回の小型アンプに関してはこのやり方がベストであるという考え方だったのでしょうか?

尾形 回路に関しては基本的にアクサイン社の設計を採用した時点でもう方式として決まっていました。そのうえで我々としては、リサーチの段階で4チャンネル分搭載すれば8Ωで100Wが取れる、しかも小型サイズに入るという目途がついたので、じゃあやりましょう、ということです。

独自デジタルフィルター技術「MMDF」とスイッチング電源



大橋 デジタルフィルターには独自のフィルター技術「MMDF(Marantz Musical Digital Filtering)」を投入していますが、この点についても詳しくお話しいただけますか。。

尾形 自分たちで基板を作ったり部品を選ぶこともそうですが、他社のソリューションを採用してもそこに何か我々のオリジナリティを出したいなというのがどうしてもありまして。その一環として、DSPの中に、我々が長年培ってきたデジタルフィルターのアルゴリズムを入れてアプリから切り替えられる仕組みにしたんです。ご存知のようにデジタルフィルターはアルゴリズムで音が変わりますので。

大橋 Class Dアンプと言えばスイッチング電源とセットですが、SMPSという専用の電源回路を搭載していますね。これは今までも採用実績があったのでしょうか?

尾形 モデルごとに設計を見直す必要がありまして、今回に関してはL字型のものを新規に作り直しています。設計のベースみたいのものはありましたが、使用する電圧であったり基板に関してはやっぱりそれぞれにカスタムで作る必要がありますので、今回専用のスイッチング電源を新たに開発したという次第ですね。

専用のスイッチング電源を開発して搭載するなど音質面でのこだわりを随所に投入

若年層からもオーディオマニア層からも好評。「こんな反応の製品は初めて」



大橋 販売を開始して、お客さまの反応はどうですか? 特に女性が待ち望んでいたデザインと合理性なのではないかとお見受けしますが。

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