11.2MHz DSD、768kHz PCMに対応
RME初のDSD対応AD/DAコンバーター「ADI-2 Pro」。バランス駆動ヘッドホンアンプ搭載
シンタックスジャパンは、同社が取り扱うRMEの新製品発表会を本日8日に開催。11.2MHz DSDや768kHz PCMに対応したAD/DAコンバーター兼ヘッドホンアンプ「ADI-2 Pro」など、4製品を発表した。
■「ADI-2 Pro」− 11.2MHz DSD対応。独自のバランス駆動ヘッドホンアンプ搭載
「ADI-2 Pro」は、2016年4月に開催されたmusikmesse 2016で発表されたモデルで、今回日本での発売が正式にアナウンスされた。価格は現時点では未定だが、20万円程度になる見込みとのこと。日本では2016年内の発売を予定している。
ADI-2 Proは、2ch対応のA/D・D/Aコンバーター「ADI-2」の後継モデル。2ch対応のA/D・D/Aコンバーターという基本コンセプトは従来から踏襲しつつ、RMEとして初めてDSDに対応。11.2MHz DSDや768kHz PCMへの対応に加え、バランス駆動にも対応した高性能ヘッドホンアンプ、全アナログ回路をバランス構成とするなど、オーディオ用途での使用も強く意識された製品だ。
高いジッター抑制能力を持つ独自のクロック技術「SteadyClock III」や、FPGAを用いたDSPプロセッシングなどRMEならではの技術要素も継承。プリアンプ機能も備える。筐体はハーフラックサイズで、電源は外部電源アダプターで供給を行う。
発表会にはREMの創業者であり現在も開発トップを担うマティアス・カースティンズ氏、プロダクトマネージャーであるマックス・ホルトマン氏が登場。ADI-2 Proの詳細について語ってくれた。
本機はD/Aコンバーター、A/Dコンバーターの両方で、11.2MHzまでのDSD、768kHzまでのPCMに対応する。DSD再生については“ダイレクトDSDモード”を搭載し、DoPによるDSDネイティブ再生が可能だ。なお、ダイレクトDSDモード時には、プリアンプ機能が使用できず出力は固定となる(デジタル・ボリュームコントロールにはPCM変換が必要となるため)。
ASIOによるネイティブ再生はサポートしていないが、その理由については「ASIOは伝送チャンクが小さい点などいくつかの課題があり、DoPでネイティブのデータが伝送できるなら必要ないと判断した」とのことだ。
11.2MHz DSDや768kHz PCMへの対応について、特にA/Dコンバーターとして録音を行う場合には、組み合わせる録音ソフトウェア側の対応が限られている現状にマティアス氏は言及。「これは卵と鶏の関係です。我々がまずはハードを用意しましたので、これからはソフトも多く登場してくるでしょう」と述べた。RMEによる「DIGICheck/Grobal Record」については、近日中に768kHz PCMに対応するとのこと
なお、これまでのRMEのUSBオーディオインターフェースは、専用ドライバーおよびミキサーソフト「TotalMix FX」を利用してパソコンと組み合わせる形態をとっていたが、ADI-2 Proはクラスコンプライアンス・モードによる動作が前提となる。よって、MacやiOSとの接続において専用ドライバーは不要。Windowsについては、同社が専用ドライバーを用意する。
DACチップには、AKM「AK4490」を2基搭載。2系統のステレオ出力に1基ずつ用いている。フィルターの切替にも対応する。
ADCチップには、786kHzまで対応の4ch仕様 AKM「AK5574」を採用。4ch仕様のADCチップをデュアルモノで用いることで、2chアナログ入力において3dBのノイズ低減が可能になったという。
オペアンプやコンデンサーの部品選定にもこだわったとのこと。オペアンプはヘッドホン用にTI製「OPA1602」、それ以外の用途にはTI製「OPA1688」を用いた。A/Dコンバーター部のコンデンサーには、ニチコン製の「Bi-polarized “nichicon MUSE” Acoustic seriesを採用している。
アナログ・ライン出力は、ステレオXLR端子を1系統、ステレオTRSフォーン端子を1系統搭載する。デジタル入出力は光・ADAT端子、付属のブレイクアウトケーブルの接続AES/EBUおよびS/PDIFに対応するD-SUB端子を備える。
音質を考慮して回路基板の構成にも配慮した結果、本機では10層基板を採用。これにより信号経路を最短化して不要な配線を省略でき、よりシンプルで機能的な回路構成が可能になったという。マティアス氏は「通常の基板で4層程度、コンピューターのマザーボードで6層程度が普通ですが、オーディオファイルも納得できる性能を実現するために、10層構造の回路基板をあえて採用しました」とその性能に自信を見せていた。
また、内部のアナログ回路はD/Aコンバーター部からA/Dコンバーター部まで全てバランス構成としている。また、全回路をバランス構成/DCカップリングとしたことで、コンデンサーの使用を最小限としている。
これら回路の改善により、本機はS/N:124dBA、THD:-110dB 0.00003%、周波数特性:0Hz〜120kHzという特性を実現したという。
マティアス氏は、こうしたシンプルかつ高性能な基板構成はRMEだからこそ可能だと説明。「たとえばUSB入力のボードは、他のメーカーの製品に比べてかなり小さいです。RMEはドライバーまで自社で開発しているので、USB入力の回路が小さくて済みます。また、多くの機能やコンポーネントをFPGAに組み込むことができるため、パーツ点数も少なくて済みます。こうした点も音質において優位です」と述べた。
「Extreme Power」と名付けられたヘッドホン出力は、ステレオ標準端子を2系統搭載。出力の大きさと低歪みを両立することを実現したことが特徴だという。スペックについてもインピーダンス:0.1Ω、S/N:120dB、THD:>110dB、最大出力レベル:+22dBu、最大出力:2.2W/chを実現。「ボリュームをフルにしても、ノイズが聞こえません」とその性能をアピールしていた。
バランス駆動は、ステレオ標準端子を2系統用いる方式で、オリジナル設計のバランス回路を採用した。具体的には、バランス駆動時のみ、DACをL/Rchで1基ずつ(合計2基)使用。そして、各chを+/−の電気信号で駆動するために必要なフェーズインバートを、一般的なバランス駆動回路のようにアナログ領域で行うのではなく、デジタル領域(FPGA)の処理で行っている。これによりアナログの工程を少なくでき、よりロスの少ない信号伝送が可能になるという。
またアンバランス駆動/バランス駆動それぞれにおいて、「Hi-Power」モードを用意。低インピーダンスのイヤモニから、600Ωにおよぶハイインピーダンスのヘッドホンまで幅広いモデルを十分に駆動できるように配慮した。
自らヘッドホンアンプ開発に携わったマティアス氏は、「ADI-2 Proではリファレンスになるヘッドホンアンプを実現することを目指しました」とコメント。本機の開発を前に、自身の趣味もあって40機におよぶ他社ヘッドホンアンプを試聴し、実際に測定も行ったという。しかし自分の満足できるサウンドを持つ製品に出会えず、さらに多くの製品がカタログスペックに満たない性能であったため、自身で理想のヘッドホンアンプを作ることを決意した、とその開発背景も明かしてくれた。
ヘッドホンでスピーカー・リスニングに近い再現を行う「バイノーラル・クロスフェード」機能も搭載。こちらはその効き具合を4段階で調整することができる。ヘッドホンおよび鼓膜を守るため、ヘッドホンを接続すると自動でリレー回路が働き、ボリュームがミュートになった状態から3秒かけて設定ボリュームへと上がる機能も備えている。
本体には5バンドのEQが内蔵され、本体のディスプレイとノブを使って詳細な設定を行うことが可能。こちらの機能とは独立して、高域と低域をフロントノブで個別に調整する機能も搭載している。
各機能の切替など操作は、本体ノブとディスプレイを使って行える。本体ディスプレイには音量や30バンドのスペクトルアナライザーも表示できる。
■旗艦USBオーディオインターフェース「Fireface UFX Pro+」や
MADI対応の「MADIface Pro」も登場
発表会では、RMEとして初めてThunderbolt/USB3.0対応を行い、MADI機能も搭載したRMEの旗艦USBオーディオインターフェース「FireFace UFX+」と専用コントローラー「ARC USB」、Baby Face ProをベースにMADI機能を搭載した「MADIface Pro」も発表された。いずれも、やはり4月開催のmusikmesse 2016で披露されたモデルの日本導入が正式発表されたかたちだ。
■「Fireface UFX+」
価格未定(35万円前後の見込み) 8月中盤〜9月頃発売予定
■「ARC USB」
価格未定 8月中盤〜9月頃発売予定
■「MADIface Pro」
価格未定 8月中盤〜9月頃発売予定
■「ADI-2 Pro」− 11.2MHz DSD対応。独自のバランス駆動ヘッドホンアンプ搭載
「ADI-2 Pro」は、2016年4月に開催されたmusikmesse 2016で発表されたモデルで、今回日本での発売が正式にアナウンスされた。価格は現時点では未定だが、20万円程度になる見込みとのこと。日本では2016年内の発売を予定している。
ADI-2 Proは、2ch対応のA/D・D/Aコンバーター「ADI-2」の後継モデル。2ch対応のA/D・D/Aコンバーターという基本コンセプトは従来から踏襲しつつ、RMEとして初めてDSDに対応。11.2MHz DSDや768kHz PCMへの対応に加え、バランス駆動にも対応した高性能ヘッドホンアンプ、全アナログ回路をバランス構成とするなど、オーディオ用途での使用も強く意識された製品だ。
高いジッター抑制能力を持つ独自のクロック技術「SteadyClock III」や、FPGAを用いたDSPプロセッシングなどRMEならではの技術要素も継承。プリアンプ機能も備える。筐体はハーフラックサイズで、電源は外部電源アダプターで供給を行う。
発表会にはREMの創業者であり現在も開発トップを担うマティアス・カースティンズ氏、プロダクトマネージャーであるマックス・ホルトマン氏が登場。ADI-2 Proの詳細について語ってくれた。
本機はD/Aコンバーター、A/Dコンバーターの両方で、11.2MHzまでのDSD、768kHzまでのPCMに対応する。DSD再生については“ダイレクトDSDモード”を搭載し、DoPによるDSDネイティブ再生が可能だ。なお、ダイレクトDSDモード時には、プリアンプ機能が使用できず出力は固定となる(デジタル・ボリュームコントロールにはPCM変換が必要となるため)。
ASIOによるネイティブ再生はサポートしていないが、その理由については「ASIOは伝送チャンクが小さい点などいくつかの課題があり、DoPでネイティブのデータが伝送できるなら必要ないと判断した」とのことだ。
11.2MHz DSDや768kHz PCMへの対応について、特にA/Dコンバーターとして録音を行う場合には、組み合わせる録音ソフトウェア側の対応が限られている現状にマティアス氏は言及。「これは卵と鶏の関係です。我々がまずはハードを用意しましたので、これからはソフトも多く登場してくるでしょう」と述べた。RMEによる「DIGICheck/Grobal Record」については、近日中に768kHz PCMに対応するとのこと
なお、これまでのRMEのUSBオーディオインターフェースは、専用ドライバーおよびミキサーソフト「TotalMix FX」を利用してパソコンと組み合わせる形態をとっていたが、ADI-2 Proはクラスコンプライアンス・モードによる動作が前提となる。よって、MacやiOSとの接続において専用ドライバーは不要。Windowsについては、同社が専用ドライバーを用意する。
DACチップには、AKM「AK4490」を2基搭載。2系統のステレオ出力に1基ずつ用いている。フィルターの切替にも対応する。
ADCチップには、786kHzまで対応の4ch仕様 AKM「AK5574」を採用。4ch仕様のADCチップをデュアルモノで用いることで、2chアナログ入力において3dBのノイズ低減が可能になったという。
オペアンプやコンデンサーの部品選定にもこだわったとのこと。オペアンプはヘッドホン用にTI製「OPA1602」、それ以外の用途にはTI製「OPA1688」を用いた。A/Dコンバーター部のコンデンサーには、ニチコン製の「Bi-polarized “nichicon MUSE” Acoustic seriesを採用している。
アナログ・ライン出力は、ステレオXLR端子を1系統、ステレオTRSフォーン端子を1系統搭載する。デジタル入出力は光・ADAT端子、付属のブレイクアウトケーブルの接続AES/EBUおよびS/PDIFに対応するD-SUB端子を備える。
音質を考慮して回路基板の構成にも配慮した結果、本機では10層基板を採用。これにより信号経路を最短化して不要な配線を省略でき、よりシンプルで機能的な回路構成が可能になったという。マティアス氏は「通常の基板で4層程度、コンピューターのマザーボードで6層程度が普通ですが、オーディオファイルも納得できる性能を実現するために、10層構造の回路基板をあえて採用しました」とその性能に自信を見せていた。
また、内部のアナログ回路はD/Aコンバーター部からA/Dコンバーター部まで全てバランス構成としている。また、全回路をバランス構成/DCカップリングとしたことで、コンデンサーの使用を最小限としている。
これら回路の改善により、本機はS/N:124dBA、THD:-110dB 0.00003%、周波数特性:0Hz〜120kHzという特性を実現したという。
マティアス氏は、こうしたシンプルかつ高性能な基板構成はRMEだからこそ可能だと説明。「たとえばUSB入力のボードは、他のメーカーの製品に比べてかなり小さいです。RMEはドライバーまで自社で開発しているので、USB入力の回路が小さくて済みます。また、多くの機能やコンポーネントをFPGAに組み込むことができるため、パーツ点数も少なくて済みます。こうした点も音質において優位です」と述べた。
「Extreme Power」と名付けられたヘッドホン出力は、ステレオ標準端子を2系統搭載。出力の大きさと低歪みを両立することを実現したことが特徴だという。スペックについてもインピーダンス:0.1Ω、S/N:120dB、THD:>110dB、最大出力レベル:+22dBu、最大出力:2.2W/chを実現。「ボリュームをフルにしても、ノイズが聞こえません」とその性能をアピールしていた。
バランス駆動は、ステレオ標準端子を2系統用いる方式で、オリジナル設計のバランス回路を採用した。具体的には、バランス駆動時のみ、DACをL/Rchで1基ずつ(合計2基)使用。そして、各chを+/−の電気信号で駆動するために必要なフェーズインバートを、一般的なバランス駆動回路のようにアナログ領域で行うのではなく、デジタル領域(FPGA)の処理で行っている。これによりアナログの工程を少なくでき、よりロスの少ない信号伝送が可能になるという。
またアンバランス駆動/バランス駆動それぞれにおいて、「Hi-Power」モードを用意。低インピーダンスのイヤモニから、600Ωにおよぶハイインピーダンスのヘッドホンまで幅広いモデルを十分に駆動できるように配慮した。
自らヘッドホンアンプ開発に携わったマティアス氏は、「ADI-2 Proではリファレンスになるヘッドホンアンプを実現することを目指しました」とコメント。本機の開発を前に、自身の趣味もあって40機におよぶ他社ヘッドホンアンプを試聴し、実際に測定も行ったという。しかし自分の満足できるサウンドを持つ製品に出会えず、さらに多くの製品がカタログスペックに満たない性能であったため、自身で理想のヘッドホンアンプを作ることを決意した、とその開発背景も明かしてくれた。
ヘッドホンでスピーカー・リスニングに近い再現を行う「バイノーラル・クロスフェード」機能も搭載。こちらはその効き具合を4段階で調整することができる。ヘッドホンおよび鼓膜を守るため、ヘッドホンを接続すると自動でリレー回路が働き、ボリュームがミュートになった状態から3秒かけて設定ボリュームへと上がる機能も備えている。
本体には5バンドのEQが内蔵され、本体のディスプレイとノブを使って詳細な設定を行うことが可能。こちらの機能とは独立して、高域と低域をフロントノブで個別に調整する機能も搭載している。
各機能の切替など操作は、本体ノブとディスプレイを使って行える。本体ディスプレイには音量や30バンドのスペクトルアナライザーも表示できる。
■旗艦USBオーディオインターフェース「Fireface UFX Pro+」や
MADI対応の「MADIface Pro」も登場
発表会では、RMEとして初めてThunderbolt/USB3.0対応を行い、MADI機能も搭載したRMEの旗艦USBオーディオインターフェース「FireFace UFX+」と専用コントローラー「ARC USB」、Baby Face ProをベースにMADI機能を搭載した「MADIface Pro」も発表された。いずれも、やはり4月開催のmusikmesse 2016で披露されたモデルの日本導入が正式発表されたかたちだ。
■「Fireface UFX+」
価格未定(35万円前後の見込み) 8月中盤〜9月頃発売予定
■「ARC USB」
価格未定 8月中盤〜9月頃発売予定
■「MADIface Pro」
価格未定 8月中盤〜9月頃発売予定
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