独立電源も採用。フォノイコにも注力

マランツ、出力400Wの旗艦プリメイン「PM-10」。フルバランス/BTL構成などセパレート技術を凝縮

公開日 2017/01/17 10:00 編集部:小澤貴信
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ボリュームには、L/R独立のフルバランス4連電子ボリューム「リニアコントロール・ボリューム」を採用。これはSC-7S2以来、10年にわたってマランツのトップエンド機で実装されてきたものだ。

電子ボリュームをL/R独立配置して、こちらもフルバランス構成とした

このボリューム機構は、MICRO ANALOGSYSTEM社の高精度電子ボリューム素子「MAS6116」を2基と、HDAM-SA3による電流帰還型アンプ回路で構成。デジタル制御の可変ゲインアンプによってボリュームをコントロールする。また、ゼロクロス検出によるゲイン切り替えにより、ボリューム操作時のクリックノイズ発生も排除している。

独自の複数台ボリューム連動機能「F.C.B.S」にも対応。最大4台までのPM-10のボリュームを連動させることができる。これにより複数のPM-10を使ったバイアンプ・ドライブやマルチアンプ・ドライブ、サラウンドシステムの構築が可能となっている。

プリおよびL/Rパワーのそれぞれに独立電源を採用

本機は1筐体のプリメインアンプにもかかわらず、プリ部、そしてパワーアンプ部のL/Rにそれぞれに独立電源を採用したことも特徴だ。

電力が比較的小さいプリアンプに対しては、PFC巻き線の大型トロイダルトンランス(L/R共通:計1基)を搭載。整流回路には、新採用の超低リーク電流ショットキーバリアダイオード、平滑回路にはマランツカスタムによる新開発のニチコンブロックコンデンサー(6,800μ×2)を搭載する。

プリ部に採用された電源トランス

こちらはプリ部のブロックコンデンサー

大電力を必要とするパワーアンプには、L/R独立で大容量スイッチング電源(Hypex SMPS)を採用。左右チャンネルの干渉も排除している。また、後述するようにスイッチングアンプから発生するノイズに対しても万全の対策を施した。

パワーアンプ用のスイッチング電源


コンスタント・カレントフィードバック・フォノイコライザー

PMC/MM入力対応のフォノ入力を搭載。低域から高域までサウンドキャラクターが変化しないことを特徴とするコンスタント・カレントフィードバック・フォノイコライザーを内蔵する。MCについては、High/Lowでインピーダンスを切り替えることができる。

フォノイコライザー基板

一般的なNFB型フォノイコライザーは、RIAA特性を得るため高い周波数には深く、低い周波数には浅く負帰還をかけるため、周波数帯域によって音質が変化するという問題があるとのこと。一方でコンスタント・カレントフィードバックフォノイコライザーでは、オープンループ時の周波数特性をRIAAカーブとして、CR型のRIAAネットワークを介して帰還をかけることで、負帰還量を全帯域で一定としている。その結果、低域から高域までサウンドキャラクターが変化しないフォノイコライザーを実現できたという。

特に微弱な信号を扱うフォノイコライザー回路は、専用の銅メッキ鋼板+ケイ素鋼板によるシールドケースに収めることで、外来ノイズからの影響も排除している。

フォノ入力の各インピーダンスは、MMが2.6 mV/47kΩ、MC Lowが280μV/10Ω、MC Highが280μV/50Ωとなる。

徹底したノイズコントロールを施す

スイッチング電源を採用したことで気になるのは、発生するノイズへの対策だが、本機では徹底したノイズコントロールを行ったという。具体的には、リアパネルやシャーシにはシールド効果の優れた銅メッキ鋼板を採用。各回路間にも銅メッキ鋼板やケイ素鋼板によるシールド版を配置して相互干渉を抑えている。

背面パネルにも銅メッキ鋼板を採用

さらに内部配線には、リスニングテストを繰り返しながら効果的なポイントにフェライトコアを配置してノイズを低減。また電源回路にはチョークコイルを追加して電源ラインからのノイズ流入を防いでいる。

次ページ難産だったが、結果として納得いくまで音質を追い込めた

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
新着記事を見る
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー196号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.196
オーディオアクセサリー大全2025~2026
特別増刊
オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX

本ページからアフィリエイトプログラムによる収益を得ることがあります

NEWS
AV&ホームシアター
オーディオ
モバイル/PC
デジカメ
ホビー&カルチャー
過去のニュース
RANKING
イヤホン・ヘッドホン
AV機器売れ筋
さらに見る
AWARD
VGP
DGPイメージングアワード
DGPモバイルアワード
オーディオ銘機賞
オーディオアクセサリー銘機賞
アナロググランプリ
REVIEW
レビュー
コラム
注目製品クローズアップ
優秀録音ハイレゾ音源レビュー
さらに見る
連載
折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト
高橋 敦のオーディオ絶対領域
山本 敦のAV進化論
角田郁雄のオーディオSUPREME
今週の発売新製品
アニソンオーディオポータル
さらに見る
INTERVIEW
インタビュー記事一覧
さらに見る
BRAND
注目ブランド情報
MAGAZINE
オーディオアクセサリー
analog
ホームシアターファイル
プレミアムヘッドホンガイド
プレミアムヘッドホンガイドマガジン
雑誌定期購読
雑誌読み放題サービス
メルマガ登録
SHOPPING
PHILE WEB.SHOP
通販モール