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“4K BD”は「状況を見ながら判断」

【CES】ソニー高木SVPが語る、ハイレゾを軸とした“音のソニー”復活

公開日 2015/01/08 15:02 山本 敦
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■ハイレゾ配信の環境が整ってきた今、ニッチではない領域にハイレゾを拡大する

ー アメリカ市場ではアナログレコードも多少盛り上がりつつあり、商材としては無視できないスケールになりつつある。ソニーが手がける対象ではないのかもしれないが、今のアナログ市場をどうみているか。

高木氏:判断基準はその時々で変わると思う。いまはオーディオ事業の成功をプライオリティに置いている。ブランディングがしっかりとしなければ何をやっても成功に結びつかない。とすれば、ブランディングに即効性の高いものから実行していく。アナログは私個人的に興味ある分野だが、事業の中で取り組むかについてはプライオリティを見極めながら判断していく。

ー ソニーグループで展開しているオンラインサービスとの連携や、他のネットワーク系サービスの取り込みがこれからとても重要になってくると思う。他社に比べるとその道筋はある程度見えてきているのかもしれないが、ソニーグループ内のサービスと連携していく上でこれからどんな取り組みが必要なのか。ハードウェアという商品を売っていくためのサービス連携をどう捉えているか。

高木氏:基本的には各事業体のイニシアティブを尊重するスタンスをとっているが、ただし色々なサービスを受けたお客様が満足されるという意味合いでは、サービスに関しては“One of theme”であるという距離感にはならざるを得ない。グループ内で協力できることは最大限やるが、お客様が何を求めているかということにフォーカスを当てていきたい。自社グループだけで物事が完結する領域は限られている。プラットフォームというものは様々なメーカーやブランドが参加することで初めて成り立つ部分がある。特にオーディオはサービスがより広範に受けられることが商品価値につながるところがある。そこはきっちりとフォローしていきたい。

ー 北米でウォークマンをリブランディングしていくという話だが、時系列で今後どういうタイミングでどういうことをやっていくのか。これからの手の打ち方を教えて欲しい。

高木氏:ウォークマンは「オーディオ再生専用機」という位置付けで、ハイレゾ対応のスマートフォンと棲み分けながら展開したい。スマートフォンにもハイレゾ再生機能やストリーミング、ダウンロードの機能を持つものがあるが、それとは一線を画すような、スマートフォンでは聴けない高音質、できないレベルの進化が求められる。それを愚直に続けて行った結果として、全世界展開できるという意味で、北米に投入するZX2は新たなチャレンジになる。再生機の存在が、今後将来的にもずっと続くような進化に導いていくことが戦略の軸になると思う。

ウォークマンの新しいフラグシップモデル「NW-ZX2」を発表

ー ハイレゾが3割を超えたという話だが、SMOJ(ソニーマーケティング)の河野社長は昨年末に「ウォークマンは4台に1台をハイレゾ製品にしたい」とコメントされていた。現状はこれを超えたということか。ウォークマンのハイレゾ比率は年内にどれくらいにもっていきたいという目標はあるか。

高木氏:国内ではAシリーズを昨年の9月に発表、10月から販売している。こちらは2万円台からハイレゾプレーヤーが手に入るということで普及価格帯に広がった。若年層の方々にも早くからいい音に触れていただいて、趣味性の領域に入り込んでもらいたいという意図を持って作った製品だ。一方で「ハイレゾじゃなくていい」いう方もいるだろう。構成比五分五分ぐらいまではハイレゾにしたいが、全てを塗り替えたいという所までは考えていない。ハイレゾ対応機でなくてもプレーヤーの音質はこだわってつくっている。ハイレゾ対応ではない製品の普及を妨げないようにしたい。

ー ハイレゾが日本で普及してきた経緯を振り返ると、実際にユーザーが「体験」できたことで広がった部分がある。北米ではユーザーにハイレゾを体験できる機会をどのように与えていくのか。

高木氏:国内は商品展開のスピードと、店頭での体験でもが成功した。量販店のご協力をいただいてジャンル別の試聴コーナーを作ることができたのも大きい。一方で確かに欧米ではショップの協力が得られないこともあるだろう。アメリカについてはソニーのブラビアが、全米350店舗でソニーリテールエクスペリエンスを展開して4Kが一気に伸びた実績がある。このようなショップinショップの取り組みを検討していきたい。

ー 北米でハイレゾの展開を進めるうえで、通勤・通学時の電車移動がないことがハードルになると言われているが、人々のライフスタイルが異なる地域で、需要を掘り起こしていくための戦略立てはどう行っていくのか。

高木氏:アメリカでは通勤・通学需要がないのは確かだが、その分、スポーツや散歩など至る所で自由にモバイルで音楽を楽しむカルチャーがある。いわゆるアメリカ的なライフスタイルにフィットする商品展開にも今後力を入れていく。各地域にあったハイレゾの楽しみ方を提案していく。

ー 定額音楽配信サービスが主流化しつつあるが、これからハイレゾ配信をニッチに終わらせないための施策としてやるべきことはあるのか。

高木氏:ハイレゾのストリーミングがネットワークを通じて十分に通るような充実した帯域が敷かれている地域は既にある。そのような地域でサービスプロバイダーとの連携を強固にしていきたい。これまでハイレゾはニッチながらもずっと続いていた。昨今はネットワーク帯域がリッチ化され、製品の価格がより手頃になり、大容量記憶媒体も容量が増えてくるなど急速にハイレゾ配信の環境が整ってきた。ニッチだったサービスを普及させ、楽しんでもらうための展開を始めたのが今から約2年前。その成果がいま各地で出ている。ソニーが頑張る理由は、ニッチではない領域を始めようという思いからだ。

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