<山本敦のAV進化論 第69回>
Ultra HD Blu-rayで「技術資産をフル活用」。パナソニック製プレーヤーの開発状況を聞く
■4K/HDR非対応の機器との互換性も確保
ここからは、改めてUltra HD Blu-ray規格の詳細についておさらいしていこう。
4K/HDRの膨大なデータ量をディスクに格納するため、従来は最大2層までだったBlu-rayディスクの記録容量を最大3層/100GBにまで増やし、転送レートを上げながら安定してデータを読み出せるようにするため「ゾーン」と呼ばれる記録技術を導入。ピーク時のAVデータの転送レートは128Mbpsにも上る。これらの技術進歩をディスクの構造を変えることなく実現している点にも注目したい。
Ultra HD Blu-rayのディスクが発売される頃には、解像度とHDRの有無により、4種類の異なるディスクが発売されることも知っておきたい。解像度は4KとフルHDに分けられ、それぞれにHDRの有り・無しで分類される。
HDRディスクについては、非対応プレーヤーで再生ができず、テレビに映らないということが起きないよう、プレーヤー側にHDR→SDR変換処理機能を搭載することも義務付けられている。だが変換処理の方法はUHD Allianceがルールを規定する範疇にないため、「この点の性能が画質に大きな効果をもたらすので、各社の画づくりのノウハウが生きてくる差別化ポイントになる」と小塚氏は流れを読んでいる。
HDRの処理技術については、オープン標準の「BDMV HDR」が「HDR10」という名称になり、必須化された。このほかにもドルビーやフィリップスが開発する独自のHDR技術もオプションとして採用される。この辺りに関する詳しい説明はPhile-webで折原一也氏が連載するレポートの中で詳しく紹介しているので、こちらも合わせてお読みいただきたい。
Ultra HD Blu-rayでのHDRは、標準技術をもとに構成された「HDR10」がベースになっている。これを基準にしながら、現在CEA(全米家電協会)が、テレビやプレーヤーなど4K/HDRの規格品質を満たす製品に向けて「HDR Compatible」というロゴプログラムを開始する準備も進められている。
もちろん、機器同士を接続するケーブルも4K/HDRに対応していなければならないが、こちらは既に対応する最新バージョンの「HDMI2.0a」が今春から始動している。ディスクにケーブル、テレビなど4K/HDRを取り巻く機器の認証規格が準備万端整い、Ultra HD Blu-rayまわりのエコシステムが着実に出来上がりつつあることを小塚氏は強調する。