鴻池賢三がレビュー
AQUOSは次のステージへ−ネット強化のフラグシップ機で新たな幕開けを体験
■シャープ独自開発の液晶パネルが高画質化のキモ
機能面でのトピックスが多く、それらの紹介が先行したが、もちろん画質や音質も着実に進化している。
まず、基本となるのはやはり液晶パネル。開口率が高く、明るさ、コントラスト比、省エネを両立するシャープ独自のUV²A液晶技術は、新開発の液晶材料や新セル構造、を採用し、さらなる高速応答が可能になった「ハイスピードUV²A」へと進化した。
■残像やクロストークが大幅に低減し“ベールが剥がれた”3D画質
LV3ラインに比べ、クロストークを約70%低減したとするその3D映像は、ダイナミックで官能的なコントラスト表現とキレの良さが持ち味だ。黒を主体とする背景に、蛍光体が浮かび上がるシーンが印象的なトロンレガシー3Dを視聴したが、暗部は豊かな階調表現を維持しつつ、沈み込みは充分で、質感の高い黒が表現できている。
その黒を背景に、鋭いピークを伴う幻想的な青や赤の蛍光色が良く映える。実際にネオンサインを見るかのようなリアリティーが感じられるのだ。これは絶対的な映像の明るさ、パネルのコントラスト性能の高さに加え、残像やクロストークが低減されて画がクリアになった事で、動きの激しい蛍光体の輝きがより透明感を増した結果だろう。ベールを一枚剥いだという表現が分かりやすいかもしれない。700万対1というコントラスト比が堪能できる。
また、今回のテストでは、何の予備知識も無くメガネを手に取ったのだが、その瞬間、明らかに軽く感じて驚いた。後で資料を参照すると、わずか40gで、従来に比べ40%の軽量化を達成したとの事で納得した。装着感も高級眼鏡フレームメーカーとの協業を謳うだけあり、違和感がほぼ無く、これも新しい感覚だった。映画となれば長時間の視聴が前提となる。地味に感じるかもしれないが、メガネの装着感の改善は非常に有意義な取り組みと言えるだろう。
■2D画質も向上。動画解像度が上がりTHXモードも用意
2D画質の向上にも注目したい。今回のL5ラインでは、3D映像のみならず、2D映像も液晶パネルの240Hz駆動化が行われた。ハイスピードUV²Aおよびバックライトスキャンとの組み合わせにより、残像感が一層軽減され、動画の解像感が向上した。透明感や奥行きが感じられ、クアトロンの4原色効果が存分に味わえる上質な映像だ。また映画の視聴に際しては、制作者の意図を忠実に再現するTHXモードもぜひ試して欲しい。
■ARSSやDuoBassで音質対策もバッチリ
音質面では、画面を取り囲む8つのスピーカーで、画と音の一体化を狙うARSSや、低振動で豊かな低音を再現するDuoBassが引き続き採用されている。
一般的なアンダースピーカーの場合、大画面になるほど画面中央とスピーカー部の距離が長くなり、画と音が乖離しがちである。音をおろそかにしている大画面テレビが多い中、ARSSのような取り組みは貴重だ。
またDuoBassもさらに進化。LV3ラインに比べスピーカーボックスの容量が約10%向上し、超低域の質感再現にも余裕が感じられる。セリフに耳を澄ますと、ボディーが感じられナチュラルな様子がわかるはずだ。総じてフラッグシップモデルにふさわしい、ハイファイライクな音が楽しめる。