鴻池賢三がレビュー
AQUOSは次のステージへ−ネット強化のフラグシップ機で新たな幕開けを体験
■省エネ性能も大幅向上。リモコンに「セーブモード」を搭載
先進の機能、画質や音質性能を中心に述べてきたが、それだけでは無い。省エネ性能は、シャープ独自の開口率が高く光を効率良く取り出せる液晶パネルと、高効率発光のLEDバックライトを組み合わせる事で、クラス最高峰の基礎能力を誇る。
さらに、ワンボタンで輝度を控えめに設定できる「セーブモード」の搭載で、より積極的な節電も可能だ。スタイリッシュな狭額縁化も、自社で液晶パネルの開発や製造を行うシャープの強みが活きている。狭額縁を活かした、直線が基調のデザインは、様々なインテリアに合わせやすいだろう。
液晶パネルにまでおよぶ高画質、こだわりの音質に加え、最先端のスマホ連携、ネットワーク機能、省エネ性能、デザイン性も備えた。それらを高い次元で融合させた総合力の高さが、L5ラインの魅力と言えるだろう。
■スマホ連携を強化した「未来」を感じる製品
現時点で、「スマートテレビ」や「スマホリンク」といった言葉に明確な定義は無い。裏を返せば、インターネットブラウザ機能を搭載しただけで「スマートテレビ」と呼んだり、スマートフォンをテレビリモコンの代用として使えるようにしただけで「スマホリンク」と呼んでも、間違いではない。
一方、L5ラインは現時点で“スマートテレビ”を名乗っていない。テレビやレコーダーといったAV機器を初め、スマートフォンやネットに繋がる各種端末を擁し、テレビに無限の可能性を見いだしているシャープならではの志の高さが伺える。
今回L5ラインに触れて気が付いたのは、機能ありきではなく、従来は複雑だった複数の機器の連携操作が、ユーザーを迷わせず、違和感を与えないよう、スマートに実装されている点だ。
それは、スマホのフリック操作で映像を飛ばしたり戻したりできるインターフェイスに象徴される。
ふつうは「この場合のみ転送指示を受け付ける」といった動作制限があるものだが、L5ラインはテレビを見ていても、ネットを閲覧している状態でも、原則としてすべての状態でスマホ操作を受け付ける。
テレビがどんな視聴状態であっても、スマホの映像をフリック操作一つでテレビに飛ばしたり戻したりできるのは、当たり前のようで新しい。インターフェイスが人間の思考に沿って適切にデザインされているので、不自然な印象を与えないのだ。
テレビとネットの垣根、テレビとスマートフォンの垣根、機器と人間の垣根。これらを感じさせない新しい使い勝手に、確かな未来を感じた。
(鴻池賢三)