タブレットの新基準となるか
【レビュー】「iPad mini」の実力をチェック − 優れたバランス感覚のアップル新タブレット
■iPad miniは308g。iPadの半分以下
タブレットのうちかなりの面積を占めるのがディスプレイで、その大きさ、解像度などは製品のクオリティと深く関連している。iPad miniの画面サイズは7.9インチ。他社の7インチ級タブレットよりも大きく、約8インチ級と言っても差し支えないだろう。
従来のiPadの画面サイズは9.7インチで、画面サイズの差は約1.8インチということになるが、数値以上にiPad miniの小ささを感じさせられる。これは画面の周りのベゼル(額縁)が狭く、特に縦持ち時の左右を狭額縁化したことが大きい。筆者の手のひらは、男性としては標準的なサイズだと思うが、背面を鷲づかみにして持つことも容易だ。なおiPad miniの正しい持ち方が一時ネットの話題となったが、個人的には筐体の下端を斜めに持ち、下から前に回した小指で本体を支えるという方法が一番しっくりくる。
筐体を横にする際は両手を使ってホールドすることになるが、この際の収まり感も極めて良好。両手の親指を前面に、残り4本の指を背面に回して固定するわけだが、非常に自然なスタイルでiPad miniを保持できる。絶妙なサイズバランスの恩恵だ。
iPad miniを語る上で重要なポイントがその軽さだ。iPad miniの持ちやすさも、その形状だけでなく、軽量性が寄与している部分が大きい。今回購入したWi-Fiモデルの質量は308g。通常のiPad Wi-Fiモデルは652gなので、半分以下の重さということになる。従来のiPadの重さに慣れていればいるほど、本機の軽さに驚くはずだ。
この軽さは、あらゆる場面でメリットとして実感される。すっと本体を持ち上げるたびに、想像を超えた軽さが実感され、1週間経ってもなかなかその感覚に慣れないほどだ。
通常のiPadを片手で持つと、少し時間が経つと腕が痺れはじめ、長時間持ったら筋肉痛を心配しなければならないほど重量感があるが、iPad miniであれば片手で持ち続けても、それほど疲労を感じない。特に通勤電車で立って使う際など、片手で吊革を持ち、もう片手で操作するといったシチュエーションを考えると、この「片手で長時間持っていられる」メリットは大きい。
なお、本機の308gという数字は、7インチ級タブレットの中で飛び抜けて軽いというわけではない。たとえばNECの“MEDIAS TAB”「N-08D」は約249gと、iPad miniと比べても圧倒的な軽さを実現している。また以前レビューしたGoogleの「Nexus 7」は340gで、ほぼ同程度。東芝の“REGZAタブレット”「AT570」は332gだ。
このように、ほかにもっと軽いタブレットや同程度の軽さのタブレットは存在するが、従来のiPadと比べると大幅に軽量化したことは事実。さらに画面サイズが7.9インチとほかの7インチ級モデルと比べて大きいことを考えると、その軽さはひときわ際立つ。
なお、iPad miniの本体の薄さは7.2mm。iPhone 5の7.6mmよりも薄く、これもかなりのインパクトがある。薄くても剛性感に不足はなく、側面から背面にかけてラウンド形状となっていることで、手に持った際のホールド感も良好だ。