タブレットの新基準となるか
【レビュー】「iPad mini」の実力をチェック − 優れたバランス感覚のアップル新タブレット
■iPad miniのカメラ性能を検証
iPad miniは背面に5メガピクセル/f 2.4の「iSightカメラ」を装備している。Nexus 7は背面カメラを装備していないので、大きなアドバンテージだ。その実力を確かめてみた。
まず昼間に木を撮影。iPhone 5と比べるとディテールの描き込みも足らず、色も浅いので、全体的に立体感がないのっぺりとした写真になってしまうのだが、タブレットのカメラ機能と考えたら十分及第点を与えられるレベルにある。
夜景の撮影は、iPhone 5に加えて第3世代iPadも加えた3機種で比較してみた。圧倒的に優秀なのはiPhone 5で、暗部のノイズをかなりうまく抑え込んでいる。次いで第3世代iPad。ノイズはかなり浮いてくるが、輪郭などはシャープで、良好な描写力を実現している。iPad miniはこの3機種の中ではもっとも結果が悪く、暗部にノイズが盛大に発生し、ディテールも潰れてしまった。
とは言っても、iPhone 5は数あるスマートフォンの中でも、暗所撮影能力がかなり高いモデルである。クオリティを重視するならiPad miniをメインカメラとして使用するのは厳しいかもしれないが、スナップを気軽に撮影するといった用途には十分活用できるレベルだ。タブレットの付加機能として捉えるのであればまったく問題ない。なお本機は、1080pの動画撮影も可能となっている。
iPad miniを1週間使って得られた結論は、冒頭ですでに述べた。もっとも残念なポイントはディスプレイで、やはりRetinaディスプレイに対応して欲しかったというのが本音だ。ただし、それ以外の製品の出来映えは素晴らしい。筐体の大きさ、重さ、画面サイズなどすべてがちょうどよく、バランス感覚に非常に優れたウェルメイドな製品という印象だ。
筆者はこれまで、通勤電車の中でiPhoneを使う機会が多かったが、iPad miniを手に入れてからは、モバイルWi-Fiルーターの電源を入り切りする一手間をかけてでも、iPad miniを使いたいと思うようになった。今後Wi-Fi+セルラーモデルが発売されたら、割賦が利用できるので、より手に入れやすくなるだろう。iPad miniの機動性と常時接続の親和性は非常に高そうなので、余裕があればセルラーモデルも積極的に検討したい。
iPadの購入を検討している方がいたら、家庭内での使用がメインなら通常のiPadが良いだろうが、外出先へ頻繁に持ち歩くならiPad miniを強く推したい。個人的にはiPad miniを「iPad」として、これまでのiPadは「iPad big」などに名称を変更すべきだと思う。少し大げさと思われるかもしれないが、そのくらいiPad miniの実力を高く評価している。