タブレットの新基準となるか
【レビュー】「iPad mini」の実力をチェック − 優れたバランス感覚のアップル新タブレット
■質感が高い外観。ステレオスピーカーを初搭載
外観の仕上げも精度が高く、高級感がある。筐体はアルミニウムを一体成形する、アップルお得意のユニボディ技術を採用。さらに前面部が斜めにカットされ、その部分を光沢仕上げとすることでデザイン性を高めている。背面はメタリック仕上げで、ブラック&スレートの場合は、光の当たり加減で色合いが微妙に変化する、実に繊細な塗装が施されている。金属だがツルツルと滑りやすいということはなく、指掛かりも悪くない。難点を挙げるとすれば、背面に指紋や手汗の跡が付きやすいこと。気になる方はカバーを装着するなどして工夫しよう。
本体のボタンや端子の位置関係は従来のiPadと同様。上部右側に電源スイッチを備え、右側面の情報には、ロックスイッチとボリュームのアップダウンボタンを装備する。底部に目を移すと、中央にLightning端子を装備。その両脇にステレオスピーカーを備えている。なおステレオスピーカーを搭載するのはiPadとして初めてだ。
■「非Retina」のディスプレイの実力とは?
続いてディスプレイの性能を検証していこう。本機のディスプレイは前述の通り7.9インチで、解像度は1,024×768ピクセルのIPS液晶。画素密度は163ppiだ。
アップルはこの2年ほど、「Retina」という単語を強調してきた。Retinaは網膜の意味で、人間の目にはドットが判別できないほどの高解像度ディスプレイのことを、同社ではこう呼んでいる。iPadでいうと、この春登場した第3世代機、そしてiPad miniと同時に発売された第4世代機のディスプレイは、解像度が2,048×1,536ピクセル。画素密度は264ppiに達する。iPhone 5の326ppiに比べると低い数値だが、タブレットはスマートフォンに比べて少し離れた距離で使う場合も多く、その精細感は非常に高い。
iPad miniのディスプレイは、画素密度で言うとiPhone 3G/3GSと同じ数値ということになり、「Retina以前」に逆戻りした格好だ。実際の画面を見ても、iPhone 4以降、iPad 第3世代機以降のRetinaディスプレイに慣れた目には、そのドット感はかなり目立つ。たとえば7インチのNexus 7は1,280×800ピクセルと、それほど画素数が大きく変わるわけではないが、iPad miniの方が画面が大きいこともあって、解像度がことさら低く感じられるのだ。これまでRetinaディスプレイの革新性をたびたび強調していたアップルの製品だけに、この画面の粗さは残念だ。