タブレットの新基準となるか
【レビュー】「iPad mini」の実力をチェック − 優れたバランス感覚のアップル新タブレット
■iPad miniの使い勝手を様々な状況で検証する
ディスプレイを含めた全体の操作感覚、処理速度について見ていこう。前述したとおり、iPad miniに搭載されているプロセッサーはA5。iPhone 5のA6や第4世代iPadのA6Xなどに比べると旧世代のものだ。
とは言え、操作感覚でもたつく印象はほとんどない。ウェブブラウザ「Safari」の表示速度も高速で、スクロールへの追従、ピンチイン/ピンチアウトのズーム操作のスピード感もキビキビしており、とても快適だ。ベンチマークを取ったらA6やA6Xとの差は大きいようだが、実使用における操作感にスピード不足は感じられない。
もちろん、重いアプリの処理や起動速度などには若干差が出るが、気になるほどではない。たとえば悪名高いアップル純正の地図アプリ「マップ」で建物を3D表示させ、二本指でぐるぐる回転させてみても、フレームレートが落ちてカクついたりすることは一切無い。
A5という前世代のプロセッサーを採用していることで処理性能に不安を感じるという方には、その必要はないとお伝えしたい。ただし絶対的な性能が高いわけではないので、もしヘビーなアプリをガンガン使い倒すことが主目的ならば、第4世代iPadを選択すべきだ。
7.9インチという画面サイズ、4対3というアスペクト比も、使い勝手の良さに大きく寄与していると感じる。
Androidを搭載した7インチタブレットは、Nexus 7に代表されるようにディスプレイのアスペクト比が16対10のものが多いが、これだと横持ちした際に画面の上下が狭くなり、表示できる情報量がかなり少なくなる。それだけでなく縦持ちした際にも、やはり画面の狭さが気になる。好みの問題もあるかもしれないが、筆者は、余裕を持って様々な操作を行えるこの画面サイズとアスペクトに好感を持った。この画面サイズであれば、たとえば当サイトのような情報量が多めのサイトであっても、PCサイトビューでストレスなく閲覧できる。
ウェブ閲覧以外の用途も確かめてみた。iPad miniは、iPad向けに最適化された膨大なアプリがそのまま利用できる。これは、まだタブレット向けのアプリの数が少ないAndroidタブレットにはないアドバンテージだ。
まずは映像プレーヤーとしての実力を確認。サードパーティー製アプリ「AV Player」を使い、4Mbps程度の1,920×1,080のMPEG-4 AVC/H.264映像を再生してみたところ、なんなく再生が行えた。画質は再三書いているとおり、Retinaディスプレイではないので解像感は物足りない。HD/フルHDコンテンツのディテールが再現できないのは何とも残念なところだ。
なお本機はステレオスピーカーを搭載しているのだが、音質は物足りない。第3世代iPadと比べて帯域が狭く、ディテールの表現力も甘い。残念なのは声の帯域が聞き取りづらいことで、映画やドラマのセリフが引っ込んで聞こえ、何を言っているのかよく分からないということが起きがちだ。筐体の薄型化によって音が犠牲になったものと考えられる。本機で映画を楽しむのであれば、ヘッドホンを用意することをおすすめする。