タブレットの新基準となるか
【レビュー】「iPad mini」の実力をチェック − 優れたバランス感覚のアップル新タブレット
続いて電子書籍を閲覧してみるが、やはりディスプレイの解像度が足りないこともあって、率直に言って読みづらいという印象が拭えない。来年か、それとも何世代後かはわからないが、iPad miniがRetinaディスプレイを搭載したら、その有用性は大きく高まることだろう。
さて、iPad miniで特筆したい事の一つに、ソフトウェアキーボードの打ちやすさがある。特に縦持ちでQWERTY配列のキーボードを表示し、両手で入力すると、キーとキーの間隔がちょうど良く、かなり入力しやすい。慣れたらかなり高速に文字入力が行えそうだ。
ほかにもいろいろと試す中で「これは」と膝を叩いたのがゲームである。iPadでゲームを遊ぶ際、両手で持ってプレイすることが多いが、通常のiPadを両手で持ち続けるとかなり腕が痛くなるし、ボタン類を押す際の指の移動距離も大きく、操作しづらい。たとえばサッカーゲーム「FIFA 13」などでこれが顕著だ。
iPad miniでゲームをプレイすると、7.9インチの画面サイズが心地よく視界に収まり、画面全体を見渡しやすい。しかもスマートフォンの画面サイズでは得られない迫力も同時に感じられる。これだけならほかの7インチタブレットでも同様だが、iPad miniの場合はベゼルが狭いこともあって、特にボタンが押しやすい。PS3などゲーム専用機のコントローラーと同じような感覚でiPad miniをホールドし、操作できるのだ。
筆者はこれまで様々なゲームを購入してきたが、iPadの重さがネックとなり、ほとんどプレイしていないタイトルがどんどん溜まってしまっていた。iPad miniがあれば、これらのゲームを快適に消化できそうだと感じている。
発熱についても触れておこう。今回、比較的プロセッサーパワーを消費しがちなゲームを数十分間遊んでも、筐体が不快なほど熱くなることはなかった。第3世代iPadの場合、素手で持つのをためらうほどの発熱があったが、iPad miniではそのようなことは皆無だ。これはA5チップを採用したメリットだろう。
ほかにiPad miniの利点を強く実感したのが、電車など交通公共機関での使用時だ。通常のiPadはかなり筐体が大きく目立つので、何となく気後れしてしまうが、iPad miniは手帳を広げる感覚で手に持つことができる。実際に通勤電車の車内で使ってみても、まったく周囲の注意を引くことはなく、快適に使うことができた。目立ちたがり屋の方は別にして、無用な注目を集めたくないという方には嬉しいポイントだ。