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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第36回】電源無しで音質向上ってホント? 中村製作所「AClear Porta」をガッツリ試す

公開日 2013/03/01 13:45 高橋敦
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■パッシブ型で音質向上する秘密「アイソレーション・トランス」

ではこのアイテム、電源も必要とせずどういった理屈で音を良くしてくれるというのだろうか。

それを実現しているのは「アイソレーション・トランス」というパーツだ。本機には左右の信号経路にそれぞれ1基のアイソレーション・トランスが仕込まれていて、信号はそれを通過してからヘッドホンに送り出される。

ここからはちょっと分かり難い話になるが、ざっくりと説明させて頂こう。アイソレーション・トランスとは、2つのコイルを1組にしてコアと呼ばれる鉄芯に装着したパーツ。2つのコイルの間は厳重に電気的に絶縁(アイソレーション)されており、2つのコイルの間に電気信号それ自体は通らない。

このトランスに入力された音声の電気信号はまず1つめのコイルに送り込まれる。するとコイルの働きによって電気エネルギーは磁気エネルギーに変換される。その磁気エネルギーはコアを介して2つめのコイルに送り込まれ、そこで今度は磁気エネルギーから電気エネルギーに変換。電気的な音声信号に復元されて出力される。

中村製作所のウェブサイトより、アイソレーション・トランスの概要図。電気→磁気→電気という変換を経て信号を伝達する

アイソレーション・トランスによるその処理の効果は、ノイズ成分の低減。入力側と出力側のコイルが電気的には絶縁されていることで、特に高周波ノイズを効果的に遮断することができる。つまり本機は、「音声信号に混入している、音声信号の周波数帯域よりも高い周波数のノイズ」を効果的に除去してくれるのだ。音声信号に対する浄水器的な効力を持っていると考えてもらうとわかりやすいだろうか。

そしてポータブルプレーヤーやスマートフォンのヘッドホン出力からの信号には、内部の様々なデジタル回路に由来する高周波のデジタルノイズが混入している。つまりそれらを除去できる本機がそこで効果を発揮するというわけだ。

なお本機には前述のように左右各1基のアイソレーション・トランスが搭載されているが、その左右のトランスの特性は全数検査によってマッチングされている。左右の特性がズレていて定位が崩れるといったことがないようにとのことだが、この手頃な価格帯でのそのこだわりっぷりには感嘆する。

そんなこだわりの本機には当然のごとく「Made In Japan」の文字が記されている

さて理屈はおおよそわかった。ならば聴いてみよう。プレーヤーはiPhone 5、イヤホンはSHURE「SE535」。その間に本機を挟むとどうなるか?

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