[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第36回】電源無しで音質向上ってホント? 中村製作所「AClear Porta」をガッツリ試す
始めに、「プレーヤー→ポタアン→NIP-01」を試してみる。
結果、もちろん狙い通りにポタアン効果でより力強く厚みのある音を手に入れることはできた。エレクトリックベースのぐいっという力感やブリッとした感触は、アンプの十分な力があってこそだ。
だがしかし、数珠繋ぎで経路が迂遠になった弊害か、NIP-01またはポタアンを単独で使用した場合よりも音色が鈍り、音場がすっと見通せる感覚も少し薄れたような… NIP-01単体またはポタアン単体の方が好ましいと感じた。残念…。
では気分と接続順序を入れ替えて、「プレーヤー→NIP-01→ポタアン」としたら何か変化はあるだろうか?
…実はさほどの変化は期待していなかったのだが、試してみたら思いのほかに変化があって驚いた。こちらの接続の方が明らかにクリアな印象なのだ。NIP-01単体での効果とポタアン単体での効果がちゃんと足し算されて発揮されている。これなら同時使用する意味もあるだろう。
なぜ接続順序によってそのような違いが生まれるのか。推測であるが、これはノイズ対策の原則のひとつである「ノイズは根元で絶て」に忠実に処理するのがやはり良い、ということではないだろうか。
「プレーヤー→ポタアン→NIP-01」の接続だと、ノイズ発生源であるプレーヤーとノイズ対策アイテムであるNIP-01の間にポタアンが挟まり、直接的な効果が弱まる。
対して「プレーヤー→NIP-01→ポタアン」の接続だと、プレーヤーの直後にNIP-01があり、プレーヤーで発生するノイズを根元近くで遮断できるので効果が大きい。…のではないだろうか。
理由は何にせよ、実感として後者の接続にこそメリットを感じられる。このアイテムに限らずオーディオ機器は、複数の接続順序や接続場所が考えられる場合、それぞれのパターンを試してみることでより適切な効果を得られることがある。そんなことも心に留めておきたいと改めて思った。
さてNIP-01。アイソレーション・トランスを活用した様々なオーディオアイテムで定評あるメーカーの製品だけに期待はしていたが、それに応えてくれる一品であった。イヤホン&ヘッドホンの再生音質をアップさせたい!でも重装備もバッテリーの心配もごめんだ!…そんな方はぜひチェックしてみてほしい。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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