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【特別企画】山之内正が徹底聴き比べ

比較検証! アイ・オーの“高音質設計”NAS「RockDiskNext」でどこまで音が変わるのか?

公開日 2013/11/26 11:12 取材・執筆/山之内 正
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RockDiskNextの再生音はDSD音源から振幅の大きさ、余韻の伸びやかな広がりを引き出し、特に5.6MHz音源の空間スケールの大きさにアドバンテージがある。PCM音源はどの音域も密度が高く、特に独奏ピアノから厚みのある音を引き出すことに感心した。オーケストラは一体感を保ちながら起伏の大きなサウンドを再現し、弱音とフォルテシモの間の幅の広さは4機種のなかで上位1、2を争う。

PCM音源ではNAS-Bが空間の大きさで他をリードし、超低域への伸びの深さや大量の空気が動く躍動感を余裕をもって再現した。RockDiskNextはそれに迫る空間表現を引き出すが、どちらかというと高密度に音がまとまる傾向があり、ジャズのアンサンブルから緊密なテンションの高さを引き出してくる。

NAS-Aは低音の厚いバランスに魅力があるが、解像感や基本的な情報量はやや物足りない。ただし、パーカッションなどリズム楽器は鮮明で、実在感と力強さに不満はない。NAS-Cは一音一音の輪郭が明瞭で、エッジの利いた描写に特徴がある。ジャズやロックとの相性が良さそうだが、弦楽器やボーカルはもう少し柔らかさやなめらかさが欲しいと感じた。余韻の密度があまり高くないためか、全体にドライな音調になりがちな点も気になった。



最初にRockDiskNextを組み合わせ、DSD音源を聴いた。オーケストラとプエンテ・セレステどちらも前後の遠近感を精密に再現し、立体的なサウンドステージが展開する。リズムの造形をしっかり再現するので演奏にそなわる本来の躍動感が伝わり、活発な印象を受ける。TA-DA5800ESはマルチチャンネルDSD音源にも対応するため、Channel Classicsのサイトからダウンロードした5ch音源(ワーグナー)を再生してみた。音場が一気に広がることに加え、ステレオ以上に演奏の抑揚の大きさをダイレクトに実感することができ、サラウンド再生の可能性をあらためて思い知らされた。

PCMのステレオ音源は細部を積極的に描き出す克明なサウンドで、ブランデンブルク協奏曲はソロ楽器の鮮明な音像とチェンバロが刻むリズムの対比が印象的だ。PCMで聴いた2Lの96kHz/24bitマルチチャンネル音源(モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲)は密度の高い包囲感を再現し、その濃密な音場のなかに浮かぶ独奏ヴァイオリンはとても鮮度が高い。

NAS-AはPCMマルチチャンネル音源の見通しの良さに持ち味があり、空気が活発に動くイメージがある。低音は空気をたっぷり含み、基音の音域に伸びやかな開放感が漂っている。

鮮鋭感と質感の両立という点ではNAS-Bも引けをとらない。音の立ち上がりは非常に速いのだが、エッジを際立たせるような強調感はなく、とても素直な音調を実現している。96kHz/24bitのマルチチャンネル音源は重心の低いバランスと押し出し感の強いアクティブな鳴り方に特徴がある。NAS-Cは各楽器のバランスを正確に再現し、どちらかというと端正な印象の音調だ。TA-DA5800ESにそなわる躍動感や鮮度の高さとは少し方向が異なるが、一つひとつの音の質感は高い。

次ページ続いて、ネットワークプレーヤー2機種と組み合わせて比較試聴

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