【特別企画】山之内正が徹底聴き比べ
比較検証! アイ・オーの“高音質設計”NAS「RockDiskNext」でどこまで音が変わるのか?
本機はどのNASと組み合わせても重心が低くスケールの大きなサウンドを再現する。一方、NASごとの再生音の違いは主に音場の立体感の違いとして聴き取ることができ、アコースティックなソースでは聴感上のS/Nにも差が出る場合があった。
空間の広がりはNAS-Bがひとまわり大きく、遠近感を正確に描写する点にも好感をもった。一方、再生音のダイナミックレンジを忠実に引き出すという点ではRockDiskNextとNAS-Aにメリットがある。この2機種はオーケストラの低弦から力強い響きを引き出し、ジャズのピアノトリオのドラムとベースを他の2つのNASよりもインパクトの強い音で再現して見せたのが印象的だ。この2機種に比べるとNAS-Bは低音の量感が若干軽めになるものの、すっきりとした見通しの良さを確保していて、このプレーヤーの良さをストレートに聴き取ることができた。NA-11S1はそれぞれのNASの個性を鳴らし分ける能力が高く、ハイエンド機ならではのきめ細かい描写能力をそなえている。
なお、NAS-Cは本機でドライブの存在は認識するものの、音楽フォルダが表示されず、再生できなかった。
今回試聴した再生機のなかで最も低価格な製品だが、誇張のない素直な音調にファイル再生のメリットをはっきり聴き取ることができた。NA-11S1に比べるとNASごとの音の違いは少なめなのだが、音調は4機種それぞれ微妙に異なっており、興味深い。NAS-Cは音調が明るめでリズムが際立つ傾向があり、活発な印象を受けるが、エッジを強めたり、付帯音が乗ることはない。
一方、NAS-Bは4機種のNASのなかでひときわ落ち着いた音調を再現し、安心して音楽に浸ることができた。独奏ピアノは低音と高音のバランスが自然で、レガートのなめらかさを印象付ける。RockDiskNextはそのなめらかさが音調だけでなく音色のグラデーションの豊かさにまで及んでいる印象で、演奏の陰影の深さを忠実に再現。ボーカルは4つのNASのなかでは一番豊かな表情を聴き取ることができた。
NAS-AはNAS-Cに近い音調だが、派手な印象ではない。リズム楽器の鮮明な粒立ちを引き出すなど、曲によってはメリットが実感できるといった印象だった。
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