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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第70回】高橋敦、ガチ購入第二弾!Resonessence LabsのDSD対応USB-DAC「CONCERO HP」

公開日 2013/12/20 13:47 高橋敦
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■様々な音源でCONCERO HPを聴き倒す!まずは上原ひろみとPerfumeから

上原ひろみさんのピアノ・トリオによる、ロックのフィーリングも強いアグレッシブな演奏が光る「MOVE」(公式ライブ映像)。この曲の冒頭でのピアノは、前述の「水晶のような音色」を特に感じられる場面だ。ピアノの鍵盤を想像させるような、硬質で落ち着いた輝きが頭に浮かぶ。

ドラムスは全てのパーツがバランスよく存在感を発揮する。太鼓は膨らまない引き締まった太さ。特にスネアドラムは、硬質なのだがガチンとした硬さではなく、胴の木の感触も伝わってくる。USB-DAC部分が際立つ製品ではあるが、このあたりではヘッドホンアンプとしての駆動力も発揮されているだろう。

スネアはその裏面に金属の共鳴弦が張られており、それも音色の重要な成分だ(録音時には裏面にもマイクを立ててその成分をミックスする場合も多い)。その成分の聴こえ方もバランスがよく、弦が震えて皮に当たる様子まで想像させる。またもちろん、ハイハットシンバルのダイナミクスや開閉のニュアンスも精密に、いわゆる高解像度に伝えてきてくれる。

スネアの裏面だとかハイハットの精密感だとかを並べたが、そういった接写的な描写力を高いレベルで備えつつ、全体を見渡したときの俯瞰的な描写力も好印象だ。ドラムスだけを抜き出しても各パーツのバランスがよいのと同様に、アンサンブル全体のバランスもよい。

例えばベースは音像を膨らませずにフラットにローエンドまで伸びている様子で、フレーズの音域が大きく動いても常に安定した音程感や太さを維持する。これもアンプとしての力が十分であることの証だ。そのため存在感が薄れることも悪目立ちすることもなく、アンサンブルでの収まり具合が常に適度だ。

また音像の膨らみが必要十分に止められていることは全ての楽器に共通なので、おかげで音と音の間、余白が残され、俯瞰したときの見通しがよい。

続いてPerfumeの曲からハードなエレクトロサウンド「Enter the Sphere」と、ボーカル処理が神!な「Baby cruising Love」(後者の公式MV)。

まず「Enter the Sphere」では、シンセサイザーのエッジ感が秀逸!硬くドライにザクザクしたエッジ感ではなく、倍音豊かで芳醇なエッジ感が再現される。高域の再現性に癖がなく上まで綺麗に伸びていることを感じさせる。

この曲はドッカンと盛大に響くバスドラムが曲を支配するが、そのドッカンと盛大な感じは出しつつも、しかしそれがぶわっと広がりすぎて全体を曇らせるようなことにはしない。フォーカスが定まってスパッとした音圧のある音になっている。ここも主にはアンプの力だろう。

続いての「Baby cruising Love」は、ボーカルのまさに定位とエフェクトが超絶的に決まっている曲だが、その再現性は見事。三人の声が様々な定位で現れては消える様子、その声のディレイの美しさと、文句なしだ。

アコースティックな演奏と録音の再生では、自然な響きの減衰の美しさにこだわる方は多いだろう。それとは別と言えば別だが、エレクトロなサウンドでのディレイやリバーブの再現性もまた極めて重要だ。ミュージシャンやエンジニアはある意味ではアコースティックの場合よりも意図的にそれらを制御している。それはなるたけ忠実に受け取りたい。このシステムならそれが可能だ。

次ページ続いて坂本真綾と乃木坂46を聴く

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