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<山本敦のAV進化論>第13回

「スマートウォッチ」はどれだけ使える? − 米Martianの新モデルをテスト

公開日 2014/06/18 10:36 山本敦
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アナログ時計にスマート機能を“ちょい足し”するという、Martian Watchesの商品コンセプトは、スマートウェアの成長過渡期らしい荒削りなコンセプトかもしれない。だが、多くの人がいつも手首に着けている腕時計をベースに、ひっそりとスマートな機能をユーザーに寄り添わせ、じわじわと実感させるという手法は一つの立ち位置として納得がいく。

世界のスマートウェア市場は活況を呈している。このことは、6月の上旬に台湾で開催された「COMPUTEX TAIPEI」と、その翌週に上海で開かれた「Mobile Asia Expo」を取材して実感した。どちらの会場でもモバイル端末と、それに連携するスマートウェアが一つのハイライトになっていた。最後に、その中から目に付いた製品をいくつか紹介しよう。

台湾のエイサーは8月からグローバル展開する5インチのAndroidスマートフォン「Liquid Jade」とともに、スマートバンド「Liquid Leap」をバンドル展開する。シンプルなデザインの本体にグレースケール表示のタッチパネルディスプレイを設け、歩数計や睡眠サイクルのモニター機能、ノーティフィケーションやメディアプレーヤーなど流行の機能を一通り揃える。スマートウェア側の表示は極力簡易なものにして、スマートフォンアプリの「Leap Manager」でアクティビティを細かく参照できるというスタイルは王道を行くものだ。ただし、軽量なリストバンド形状の本体にも時計などが表示でき、実用性もあるので飽きずに使い続けられる。女性にも負担無く装着できるサイズ感だ。

エイサーのスマートウェア「Liquid Leap」は8月に発売予定


スマートウェア単体での表示は極力シンプルにして、アプリで細かい表示や設定ができるようにしている

台湾のメーカーPhyodeが商品化したスマートバンド「with-me」は、バンドの表・裏に心拍数センサーを内蔵している。裏側は手首の皮膚に密着させ、表側に人差し指をタッチして3分間心拍数を計測すると、専用アプリ「W/me」がユーザーの自律神経のコンディションや体力年齢を解析してくれるというユニークな機能が特徴だ。

Phyodeのスマートバンド「with-me」。銀色の部分が心拍数センサー

本体にはドット液晶も搭載。時計としての基本的な仕様も抑えている

測定結果をもとに、ユーザーの健康度アップを促すコーチングメニューも充実している。画面に表示されるクジラのキャラクターが水面を上下する間隔に合わせ、呼吸のリズムを整えることで自律神経のバランスを改善したり、体力年齢も若返らせる効果も得られるという。コーチングメニューの基礎には気功とヨガのトレーニング法が応用されているそうだ。

心拍数を測定した結果から自律神経のステータスや体年齢などが表示される機能が面白い

クジラが波に浮かんだり隠れたりするので、その動きに合わせて呼吸を整えるエクササイズ

韓国の大手通信キャリアであるSKテレコムは、「ICT+α」をテーマにモバイル関連の先端技術とユーザーのライフスタイルをつなぐ提案型の製品とサービスの開発に注力している。

一例となる「Health-On」は、SKテレコムとソウル大学校のジョイントベンチャーであるHealth Connect社が開発したソーシャルヘルスケアサービスだ。同社が開発したAndroid用アプリに、Misfit社が開発したリストバンドタイプのフィジカルアクティビティーモニター「SHINE」を組み合わせて、ユーザーのアクティビティデータをSKテレコムのクラウドサーバーに蓄積していく。運動や食事に関する活動履歴も蓄えていくと、スマートフォンのアプリ上で健康状態を良好に維持するための運動メニューや食事管理のプログラムなどがプッシュされるというサービスだ。

Misfit社のフィジカルアクティビティーモニター「SHINE」とペアで使う

韓国SKテレコムの「Health-On」アプリは、ユーザーのプロファイルを解析して、健康に関連する情報をプッシュするサービスを実現している


台湾のメーカーDXGのフィットネスに注力したスマートウェア

こちらは香港メーカーOmateのスマートウォッチ「TrueSmart」。本体に3GのSIMを入れて通信や通話もできるAndroid 4.2ベースのスマートウォッチ。かなり厳しいが、ソフトウェアキーボードで文字入力もできる

このようにキャラの立った製品がある一方で、スマートウェアの人気に乗じて、取りあえず流行っている機能を乗せただけの製品も多い。ただし、日本国内だけでなくアジアでも同等以上にスマートウェアが熱気を帯びつつあることは肌で実感できた。毎日身につけていたくなるような便利さやデザインを実現した製品が現れたら、爆発的に広がる可能性もある。私たちが毎日手首に身につけるものが、腕時計でなくなる日はすぐそこまで来ているのかもしれない。

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