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<山本敦のAV進化論 第27回>様々な楽曲で音質チェック

【レビュー】スマホとつないで本領発揮! DAC内蔵ヘッドホン、ソニー「MDR-1ADAC」でハイレゾ再生

公開日 2014/10/01 12:41 山本 敦
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エレキやピアノの高域がとても煌びやかだ。ボーカルの押し出しが強く、中域の音もやや派手めな印象を受ける。ベースは量感もたっぷりとあって、厚手かつ濃いめ。筆者が普段使っているソニーの「MDR-1R」はアナログ接続のヘッドホンなので、本機との比較の対象としては最適ではないかもしれないが、敢えて音質の傾向を比べるのであれば、MDR-1Rのニュートラルなバランスに対して、MDR-1ADACは中低域の量感がプラスされて、高域はメリハリを強くしたハッキリ&クッキリとした音づくりを狙っているように感じた。

Xperia Z2を直接USBケーブルでつないでハイレゾが聴けるのが魅力的だ

ハイレゾ音源の再生では低域の透明度が上がり、アタックのスピード感が高まるとともに音のアラインメントがビシッと揃う。中低域を中心とした力強さを残したまま前後左右方向への広がりが増してくる印象だ。高域の伸びはやや中域の力強さに引っ張られているような感もあるが、メインボーカルやコーラスの高域は立体感が高まり、ライブ盤らしくオーディオエンスの歓声や歌声もよく見晴らせるようになる。エレキギターの中高域はしなやかでロングトーンのサスティーンに粘りがある。

本曲の終盤では大量のタムやシンバルを使いながら、とにかく手数の多い超絶技巧を炸裂させるサイモン・フィリップスのドラムソロが堪能できる。やみくもに低域をブーストしただけのヘッドホンでは音が飽和してしまい、まるで巻き上がる砂埃に包まれたようにドラムスが何をしているのかが見えなくなってしまうのだが、本機ではディティールや空気感もしっかりと描きながら伸びやかでキレのあるプレイを聴かせてくれる。

ここで本機での音楽再生中の操作に関するTIPSを一つ紹介しておこう。デジタル接続でのリスニング中はスマートフォンのボリューム操作が効かなくなるので、ヘッドホン本体の右側ハウジング下側に搭載するダイヤルでボリュームを調整する。ダイヤルの回転が適度に硬いので、うっかり操作ミスでボリュームを上げ過ぎることはなさそうだ。

ボーカルは中島美嘉のアルバム「TRUE」から『WILL』(96kHz/24bit・FLAC)を聴いた。デジタルアンプの効果によって声の厚みが増して、輪郭のシャープさも際立ってくる。S/Nが高いので、ボーカル周囲の見晴らしがとてもクリアになる。ささやくように歌うオープニングからクライマックスでの熱唱まで、幅広い歌声のダイナミクスを描き分ける余裕がある。ナチュラルというよりも、やや温かみのある声質は本機の持ち味として捉えてもいいように思う。口元の微細な動きをリアルに再現する解像力も持ち合わせているが、ハイトーンでのエッジがやや強調気味に聴こえることもあった。

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