[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第115回】究極のフィット感と遮音性!カスタムIEM(イヤモニ)を作ろう
■カスタムIEMの特長
イヤモニは前述のような成り立ちと用途があるため、優れた遮音性と明瞭な音質が絶対条件だ。そこはカスタムもユニバーサルも変わりない。ではカスタムとユニバーサルでは何が大きく異なるのか? それはフィットの精度や確度だ。
ユニバーサルタイプは、イヤーピース部分を交換可能として複数の形状や大きさや素材のイヤーピースを用意することで、個人個人の耳の形や大きさへのフィットを図っている。
このアプローチの弱点は、「複数」にも限度があり、例えば大きさはS・M・Lの3段階だったりすること。耳の穴の大きさがその段階の隙間に入ってしまう人には、最適なフィットを提供できないのだ。なのでユニバーサルタイプは「あるユーザーの耳には90%フィットするけど他のあるユーザーの耳には80%しかフィットしないということが起こり得て、遮音性や音質はそのフィット度に比して上下してしまう」というのが厄介なところと言える。90%とかの数字はもちろんテキトーなので曖昧に受け取っておいてほしい。
対してカスタムは、個人個人の耳型を採取した上でそれに合わせて製作するので、個人個人の耳におよそ確実にフィットする。また曖昧な数字で表現すると、カスタムなら「そのユーザーの耳には確実に95%フィットする」みたいな感じだ。
するとどうなるか? そのイヤモニの本来の遮音性、本来そのように聴こえてほしいとして設計されたその音質、それらが95%も発揮されるのだ! …いや数字がテキトーなので説得力は弱いだろうが。
反面、当然ながら各個人の耳型に合わせてカスタム製作されたカスタムイヤーモニターは、その個人の耳にしかフィットしない。他の人ではほぼ装着不能だ。なのでカスタムを製作購入した暁にはそれに「漆黒の協奏曲(ダークネスコンチェルト)」等の名前を付け、友人に「そんなすごいイヤホンなの? ちょっと聴かせてよ」と言われた際には、「ククク…この『漆黒の協奏曲(ダークネスコンチェルト)』は俺にしか装着できない魔器。お前には扱えん」と対応してほしい。
とか言われても「漆黒の〜とか名付けたくてもそのカスタムの色と自分の好きな色が合ってないと気分が乗らないだろ!」と思っただろうが、カスタムIEMは多くのモデルでカラーもカスタムできる。「世界を拒否する究極の遮音性」と「自分にしか装着できない究極の特別製」を好みの色と名前で味わってほしい。