[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第115回】究極のフィット感と遮音性!カスタムIEM(イヤモニ)を作ろう
実際にはどういうことになっているのかというと、店頭等には「カスタムの各モデルの設計をベースにユニバーサル化した試聴機」が用意されている。カスタムの設計をできるだけ活かしつつ、普通のイヤーピース方式に落とし込んだものだ。これで試聴は何とか行える。
ただしもちろん、ユニバーサルに落とし込まれた試聴機でそのカスタムモデル本来の力の全てを体感できることはない。そこは各自の想像力と、お店の人の経験(助言)とかに頼って当たりを付けていくしかないのだ。
とはいえ「ユニバーサル試聴機でしか試聴できない」という条件は、カスタムのどのモデルでも同じこと。試聴環境としての条件は揃っている。ならば各モデルの音の方向性や水準を推し量る材料としては十分に役立ってくれることだろう。
なおメーカーやモデルごとの個性については「すべて『イヤーモニター』なんだから、どれもステージモニター系の、フラットバランスをベースにしつつ、ポイントを押さえた帯域調整とかで明確さを強めて聴き取りやすくした感じではあるんでしょ?」というのが、当然の受け取り方だろう。実際にその受け取り方で大きくは外れていない。
ただそれにしても、メーカーやミュージシャンの考え方次第で音の違いはある。極端な例だと「UE Vocal Reference Monitor」はボーカリストが自分の声を中心にモニターする用途に特化してチューニングされていたりするのだ。
それに近年は「オーディオファンがリスニングアイテムとしてイヤーモニターを選ぶ」ことも一般的になり、老舗メーカーもそれを意識したモデルを出し、あるいは新鋭メーカーだと最初からそちら重視で設立されている例もある。モニター用という枠の中にも個性があり、さらにその枠の外を意識して設計されているモデルもあるわけだ。そういった現状も意識した上で、モデル探しやモデル選びを行うことが必要だ。
なお他にメーカーごとやモデルごとのポイントとしては、リケーブル端子の種類だろうか。いくつかのメジャーな種類もあるが、特定メーカーのみや数少ないメーカーだけが採用している種類もある。もちろんメジャーな端子の方がリケーブル製品の選択肢は多い。しかしそれをわかっていながらあえて他の端子にしているなら、そのメーカーはそこに耐久性等の大きな利点を見出しているということだろう。