[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第115回】究極のフィット感と遮音性!カスタムIEM(イヤモニ)を作ろう
■製作の流れ2|耳型採取
さてこちらは特にカスタム独特となる手順が「耳型採取」だ。カスタムは各個人の耳型を基にして製作される。なのでいざ発注という段になったら耳型の提出が必要だ。その耳型はどこでどのように採取すればよいのか。
主流となっているのは補聴器販売店にお願いする方法だ。聴力の低下を補助する補聴器においてもその効果を最大限に発揮できるのはカスタムメイド。補聴器販売店にはそのための耳型採取の技術の蓄積がある。
次は「ではどの補聴器販売店に?」ということになるが、製作してもらうモデルを選んだら、そのメーカーの販売店のウェブページをチェックするなり直接コンタクトするなりすれば、いくつかの補聴器販売店を紹介してもらえる。そういった補聴器販売店はカスタムIEMにもすでに理解や実績があると考えてよいので、そこを利用させてもらうのがよいだろう。
なおカスタムIEM用の耳型採取には、メーカーによってちょっとした注文事項があったりもする。例えば他よりも耳のさらに少し奥までの型が必要だとか、耳の穴の周囲も少し広い範囲で型がほしいとか。経験のあるイヤホン販売店や補聴器販売店であれば、そういったところへの対応も慣れたものだろう。
補聴器販売店の他では、イヤホン専門店e☆イヤホンの秋葉原カスタムIEM専門店は、店頭で「インプレッション採取会」を実施している。豊富な試聴機の存在と合わせて魅力的だ。
またメーカーとしては、例えば「FitEar」は、そもそも補聴器の分野での実績を基に設立された国内メーカーであり、補聴器販売店としての店舗も持っている。選んだモデルが同社製品で東京都心に出ることが可能であれば、耳型も同社で採取するのがベストだろう。
■耳型採取は実績のある場所での採取をおすすめ
その耳型採取であるが具体的には、耳の穴の中にちょっとひんやりした硬化前の柔らかなシリコンをぐにゅ〜っと注入して数分するとそれがソフトに硬化するのでそれをずるりと引き出す。この際に触手的なものを想像してしまうとアレなので想像しないように注意してほしい。
単純な作業に思えるが、体内に異物を挿入するのだから安全性への多大な配慮、経験を基にしたノウハウが必要だ。耳型採取は出来上がるカスタムのクオリティの基盤でもあり、また安全性も高く求められる。実績のある場所での採取を強くおすすめしたい。
なお耳の内部の形状は顎の開き具合などで多少変化する。それに対しては、「バイトブロック」と呼ばれる適当な大きさの器具やあるいは単に割り箸とかを前歯あたりで噛んだ状態で採取する、シリコン注入後に適当なタイミングで口を開いたり閉じたりするといったことで、それも耳型に適当に反映させることができる。
ただしここは、ステージ用なのかリスニング用なのか、装着した状態で歌ったりコーラスをしたりするのかといった要素や、メーカーごとの考え方で対応が異なる。メーカーの要件に合わせて採取してもらおう。
次ページここまでできたら、いよいよ発注! シェルやケーブルなども選ぼう