HOME > レビュー > ビートルズやアップルなど様々な噂…海外ハイレゾ&ストリーミング最新事情を元洋楽ディレクターが分析

ドレー、ジェイ・Z、ヤング・・・キーマンは大物ミュージシャン!?

ビートルズやアップルなど様々な噂…海外ハイレゾ&ストリーミング最新事情を元洋楽ディレクターが分析

公開日 2015/03/31 11:58 本間孝男
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
CESと共に幕を開けた2015年のハイレゾ・シーン。早くも第1四半期が過ぎようとしているが、今年こそ本当の意味での“ハイレゾ元年”となるのだろうか。あるいは、ストリーミング配信がさらなる勢いを増していくのか。元洋楽ディレクター、本間孝男氏が2015年第1四半期を総括しながら、今後のハイレゾの行方を占っていく。

ニール・ヤングによるハイレゾ配信サイト「Pono Music」

<目次>
1)2014年米国音楽市場の動向を分析する
2)“Ponoがビートルズのハイレゾの権利を手に入れた”という噂が広まる
3)米国でも公用語になったハイレゾ(HRA) - しかしバッシングも噴出
4)MQA×TIDALでハイレゾ・ストリーミングは実現するのか?
5)音楽ストリーミングサービスの概況を分析
6)2人の大物ラッパーによるSpotify包囲網。そしてアップルの動向

ハイレゾ躍進の一方で、音楽のダウンロード販売数は大きく減少

2015年も第一四半期が過ぎようとしているが、今年もやはりハイレゾの躍進が印象づけられる1年になりそうだ。1月初旬には米国最大の家電イベント「International CES」(Consumer Electronics Show)において、ニュートレンドとして“high resolution audio(ハイレゾ)”が大きく取り上げられた(ファイル・ウェブ CESレポート記事一覧)。

ひときわスポットライトを浴びたのはある意味でハイレゾの立役者であるソニー、そしてPonoを手にしたハイレゾの伝道師ニール・ヤングだ。ラスベガスの「CES 2015」でハイレゾがどう受け止められたかを述べる前に、まずは速報値が出ている米国の市場動向を紹介したい。音楽マーケットの次の動きを見ることができる。

■2014年米国音楽市場の動向を分析する

それでは、調査会社ニールセンの2014年米国音楽市場の音楽売上データから、2014年の世界の音楽マーケットの動向について振り返ってみよう。

(1)音楽配信
ストリーミングが急成長し前年度から54%増。配信全体ではデジタルアルバムのダウンロードが二桁近く減少。CDとダウンロードの落込みをストリーミングが補完する流れが明確になった。

(2)アルバム・セールス
アルバム売上げ全体は物理メディア(CD・LP)とダウンロードを合わせ、2013年の2億8,940万枚から11%減少し2億5,700万枚へとダウンした。アルバムダウンロードは1億1760万枚から9%下がり1億650万枚に減少。楽曲のダウンロードも大きく減少。前年から12%ダウンし11億曲に留まった。

(3)アナログレコード
アナログレコードは2013年の610万枚から52%成長して、920万枚に売上枚数を拡大。過去9年間続けて伸びている。

(4)ミリオンセラー
2014年米国で最も売れたアルバムは、テイラー・スウィフトの『1989』(2014年10月発売)。暮れの好セールスで『アナと雪の女王』(2013年発売)を抜き去った。なお、2014年に米国市場で売上枚数が100万枚を超えたアルバムは以下の4作品だ。

1位 テイラー・スウィフト『1989』 366万枚
2位 『アナと雪の女王(サウンドトラック)』 352万枚
3位 サム・スミス『In the Lonely Hour』 120万枚
4位 ペンタトニックス『THat's Christmas to Me』113万枚

(5)音楽ストリーミング
ニールセンの発表に含まれない米国最大手のネットラジオ「Pandora」や「iHeartRadio」の数値が加算されれば実際の音楽ストリーミングの成長は「54%」よりさら拡大する。一方、英国でもアルバムダウンロードは二桁に近い9%の減少。イギリスでも音楽ストリーミングの普及は急速で、1週間あたりのストリーミング再生回数は2014年1月の1億9200万回から2015年1月の3億6000万回と約2倍に拡大している(英国OCC調べ)。欧米諸国では音楽の聴き方が、ダウンロードやCDを購入する「所有」型から、クラウドからストリームで聴く「アクセス」型に変化するトレンドが明確になっている。

ソニー「NW-ZX2」は米国でも注目を集めた

2014年を経て、迎えた今年のCESでも、前述のようにハイレゾは一般メディアを巻き込んで注目を集めた。この盛り上がりの中心にいたのは、ソニーのハイレゾ対応ウォークマン「NW-ZX2」と、ニール・ヤングによる高音質ポータブル音楽プレーヤー「PonoPlayer」であった。

日本で発売されている「NW-ZX1」が北米で導入されなかったため、「NW-ZX2」は米国初のウォークマン・フラグシップモデルとなった。「PonoPlayer」との比較で高価なことが難点とされたが、1,000ドルを超えるプレミアム価格帯の製品の中では、デュアルバンドWi-Fiを装備し、高音質でのストリーミング再生に対応する数少ないモデルということで大きな評価を得た。

一方のPonoについてはCESの後、ニール・ヤングと共にある噂について持ちきりになった。

次ページPonoはビートルズ・カタログのハイレゾの権利を手に入れた?

1 2 3 4 5 6 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: