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カートリッジ交換で潜在能力も検証

ティアックのハイCPターンテーブル「TN-350」レビュー。初心者にも再挑戦にも薦めたい実力派

公開日 2015/04/10 10:00 鈴木 裕
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R&Bのアリシア・キーズは『ザ・ダイアリー・オブ・アリシア・キーズ』から「イフ・アイ・エイント・ゴット・ユー」を試聴。ドラムのキックの重みや密度の高さ、アリシアの歌の表現など、それぞれに魅力的な音だ。ティアックによるとカートリッジはaudio-technica製のAT100Eと同等のMM型が工場出荷時に装着されていて、フォノイコライザーアンプ部はこのカートリッジに最適なマッチングが取れている印象である。AT100Eは人気のカートリッジであり、この価格帯のターンテーブルとしてはグレードの高いものをあらかじめ付属しているのはうれしい。

また本機はUSBのB端子を持っていて、レコードを再生した音をA/D変換して16bit/48kHzのフォーマットでPCに出力できる。実際に筆者のMacBook Proと接続させたが、入力設定は簡単だった。実際に録音をするためには録音(波形編集)ソフトを別途インストールする必要があるが、LPレコードをファイル化できるのはありがたい。

MacとTN-350を接続したところ。「USB Audio CODEC」と表示されるのが本機だ

外部フォノイコを組み合わせるとポテンシャルが浮き彫りに

続いてTN-350内蔵のフォノイコライザーを通さず、スイッチの切り替えで「スルー」の音を出力させ、リファレンスのフォノイコライザーC-37を通した音を聴いてみる。

背面部にフォノイコのオン/オフ・スイッチを備える

ACCUPHASE「C-37」

クラプトンではS/Nがかなり良くなり、音調的には低域が太くなる。音場は左右のスピーカーを結んだ線よりも手前に展開。情報量自体はカートリッジのポテンシャルを反映したものだが、骨格のしっかりした骨太の音だ。ラロでは、まるでLPの盤面が清潔になったかのように音がきれいになり、ティンパニーのゴーンと響く感じやソロヴァイオリンの音の勢いなど、演奏の細部のニュアンスが掘り起こされてくる。さすがに高級なフォノイコの威力を感じるところだ。

アリシア・キーズでは同じくS/N感の良い再生音になるのだが、ただし、低域の情報量や高域のレンジなど、カートリッジのポテンシャルを見極められるような感覚を持ってしまったのも正直なところ。たぶん実際に使う人も、まず内蔵フォノイコと付属のカートリッジで聴いて高い満足感を得るのだが、次に外部の単体フォノイコやプリアンプ内蔵のフォノイコを使うと、筆者と同じことを感じるかもしれない。こうなってくると、俄然カートリッジを替えたくなってくる。オーディオの正しいハマり方である。

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