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【特別企画】その機能性や薄型デザイン、音質をフルに活かす

VGPヘッドホン大賞受賞! OPPOのポタアン「HA-2」をDAC用途や据え置きでも徹底活用

公開日 2015/07/01 11:42 高橋 敦
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■個性の異なる3種類のアナログヘッドホンアンプと組み合わせて試聴する

今回、あえて個性の異なる3種類のポータブルヘッドホンアンプと組み合わせることにした。Cypher Labs「AlgoRhythm Picollo」はポータブルながらアンプ部をディスクリート構成とした点が特徴だ。ORB「JADE next」は単三電池駆動として、電源周りを強化したことがポイントだ。そしてFOSTEX「HP-V1」は、真空管をポタアンである。このように方向性の異なるアナログポタアンと、HA-2のUSB-DACの組み合わせがどのようなサウンドを生み出すのか、聴き比べてみた。

■ポタアンながらフルディスクリート構成を採用した「AlgoRhythm Picollo」

AlgoRhythm Picolloは、シンプルでコンパクトな筐体にフルディスクリート構成の回路を詰め込んだヘッドホンアンプ。アンプの話では「オペアンプ」というパーツの名前をよく目にすると思うが、オペアンプとは簡単に言うと、増幅素子のトランジスタやその周辺パーツによる基本的な増幅回路一式を高密度に集積してひとつのチップにパッケージングしたものだ。それを使えば容易に小型にアンプ回路を設計&実装できる。

Cypher Labs「AlgoRhythm Picollo DAC」¥OPEN(市場想定価格80,000円前後)

しかしこのモデルは10ペアのトランジスタ等のパーツを組み上げて設計&実装するフルディスクリート回路を採用。手間はかかるが自由度の高いその構成によって、汎用オペアンプでは実現できないサウンドを達成したという。最大再生時間30時間という点も普段使いでの扱いやすさとして大きなポイント。

HA-2と合わせると、高域の質感表現がほぐれて柔らかく、それでいてぼやけず細やかにといった印象だ。

HA-2&MP-3と「AlgoRhythm Picollo DAC」を組み合わせたところ

わかりやすいところでは、女性ボーカルの声の質感、さわつきや柔らかな掠れといったところがより柔らかく繊細に表現される。シンバルも鋭いというよりはしなやかにシュッとしたキレ。他、ギターの軽く歪ませた音色のその微かな歪みのチリチリ感なんてところもノイジーで嫌なチリチリ感にはせず、うまく描き出してくれる。リバーブ(響き)が見える場面でもその成分が柔らかい。

一方で、中低域の明瞭度は、音色や空気感がほぐれる分だけHA-2単体より少し下がるかもしれない。そこも含めてHA-2単体よりもリッチな傾向だ。最先端DACとディスクリート構成アンプのコンビが「ほぐれた柔らかさ」を生み出すのが興味深い。

■単三電池駆動&電源周り強化の「JADE next」

こちらもシンプルなアナログ入力オンリーポタアン。技術面で特徴的なのは電源周りだ。本機は電源として単4電池2本を採用。1.5V×2の3Vという電圧はそのままでは一般的なポタアンの固定内蔵充電池に及ばない。しかし本機はそれを内部で10Vに昇圧することで駆動力をアップさせ、多くのヘッドホンの能力をさらに引き出せる「ハイインピーダンスモード」を搭載する。ノーマルモードであれば12時間動くところがハイインピモードでは5時間にまで落ちるが、「活動限界が短くなるハイパーモード」はかっこいいのでぜひ装備しておくべきだというのが男子の総意だろう。

ORB「JADE next」¥OPEN(市場想定価格28,000円前後)

また単4型乾電池/充電池は現在おそらく最も利用されている型の乾電池。使い回せるので買い置きしておいても無駄になりにくいし、外出時に電池切れになってもすぐ入手できて便利だ。電池蓋がマグネット式で開け閉めしやすいのもポイント。

音を実際に聴いてみると、低音楽器の押しや膨らみがほどよく増強される印象。ベースとドラムスのリズムの重心を少し下げ、大柄で力強いドライブ感を引き出してくれる。また、例えばベースのハードタッチやスライドでの「ブォンッ」と大きく唸るようなニュアンスをより生き生きとさせてくれるところも好印象。

HA-2&MP-3と「JADE next」を組み合わせたところ

音像が大柄になることもあり、HA-2単体で聴く場合の空間のすっきり感は後退するが、濃厚な表現を好む方には、この組み合わせによる密度感重視の空間性も合うかもしれない。

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