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<山本敦のAV進化論 第66回>

ハイレゾもワイヤレス伝送できる「AllPlay」を検証。パナソニックの対応モデルを使ってみた

公開日 2015/08/25 14:16 山本 敦
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それぞれの製品の音質についても簡単なインプレッションを報告しておこう。モノラルスピーカーのSC-ALL2はクリアなミッドレンジが特徴。低域もボリュームはコンパクトだが引き締まっていてだぶつくことがない。ボーカルものの楽曲がとても楽しく聴けた。高域の見晴らしもよく、打ち込み系のサウンドもキレ味が鋭くアグレッシブだ。パーソナルルームやベッドルーム、個人のオフィスで音楽を聴くならば一台で十分なパワーも得られる。

楽曲の再生画面。ジャケット写真の表示や基本的な再生操作ができる

SC-ALL5CDはさすがにステレオシステムなので、横方向へのワイドな広がり感と縦方向へ立体的な見晴らしがよくなる。ボーカルの肉付きもよく、輪郭がきめ細かい。

ジャズのピアノトリオの楽曲をBluetooth再生と聴き比べてみると、AllPlayの場合はピアニストが鍵盤をたたく指の動きもより緻密に再現する。ウッドベースの弦のしなり具合もリアルにイメージできる。ボリュームも10畳以上のリビングにまんべんなくサウンドを満たすのに十分なほど力強い。

SC-ALL5CDはNFCによるBluetoothペアリングにも対応している。メインのスマホとのワイヤレス接続はAllPlayの方が楽に使えるが、例えば我が家に遊びに来た友人のスマホに保存した音楽を再生したい時など、NFCによるBluetooth接続の方が手軽な面もある。それぞれの使い分けができるのが嬉しい。

また本体のトップにはUSB端子が用意されているので、スマホやタブレットを充電しながらゆったりと音楽を聴くこともできる。

なおストリーミング再生中の「Panasonic Music Streaming」アプリの振る舞いについても補足しておきたい。音楽の再生を始めてしまえばアプリをバックグラウンドのタスクに回してしまって、音楽を聴きながらメールやWeb検索を行うことも可能だ。アプリから音楽再生の指示を出してしまえば、あとはスピーカー側が直接ストリーミングを受信するので、スマホのバッテリーが消費されないことも特徴になる。なお、「Panasonic Music Streaming」を使ってAllPlay対応スピーカーに音楽をストリーミングしている最中に、他の音楽再生アプリを立ち上げて音楽を再生するとイヤホン端子、またはスマホの内蔵スピーカーから別アプリの音声が再生される。

■マルチルーム再生も選べる

一家に複数台のAllPlay対応オーディオ機器がある場合、「Panasonic Music Streaming」アプリの画面上にはネットワーク上にある対応機器が「Select Speaker」のリストに並んでくる。それぞれを選択してから、ストリーミングしたいソースを選べば、別々の音源を各部屋に配信することも可能だ。

2つ以上の対応製品を「グループ化」すれば、家中に同じ音楽ソースを鳴らすこともできる。設定方法はアプリの「Select Speaker」の一覧に並ぶ機器の名前の横にある「GROUP」アイコンをタップしてから、グループ化したいスピーカーを選択。するとSelect Speakerの一覧に、スピーカーの名前が並んだグループができあがる。例えばSC-ALL5CDをメインにマルチルーム再生環境を構築すれば、ソースにCDやラジオ、インターネットラジオを選択して複数の部屋で同時に聴くことも可能になる。

再生するスピーカー一覧の隣にある「グループ」をタップ。一覧からグループ化したい製品にチェックを入れると一つのスピーカーとしてリストに名前が載り、それぞれのコンポーネントに同じ音楽ソースを配信できるようになった

今回、SC-ALL5CDとSC-ALL2を組み合わせてテストしてみたところ、マルチルームリスニングでの再生遅延を感じることはなかった。念のためメーカーに確認したところ、グループ化した後のマルチルームリスニング環境ではAllPlay対応スピーカー間でのストリーミングの遅延は発生しないという。

SC-ALL2は2台揃えるとステレオ再生も可能になる

ただし、再生時にはそれぞれのスピーカーが同期・バッファをしながら環境が構築されているため、場合によってはプレーヤーから送り出されるソースから若干の遅延が発生する場合も考えられるという。例えば映像付きのコンテンツの場合は音と映像の同期が若干ずれる可能性もあるようだ。

■SC-PMX100との組み合わせれば、ワイヤレスでハイレゾ再生が可能

オーディオのマルチルーム配信に関連する技術としては、ほかにもCSR(現クアルコム)がWi-Fiをベースにした独自技術「VibeHub」のプラットフォームを提唱しているほか、ソニーが同社製品に対応機器を広げている「SongPal Link」などがある。

日本人のライフスタイルに照らし合わせて考えると、「ホームパーティーで家中に同じ音楽を鳴らしたい!」といった使い方がどれだけ一般的なのか疑問だが、むしろSC-ALL5CDとSC-ALL2の組み合わせのように、対応する製品をリビングと自分のプライベートルームに置いて、部屋を移動する時にスマホのアプリ上で鳴らすスピーカーを切り換えながらスマートに音楽が聴けたら楽しいかもしれない。今後AllPlay対応のお風呂スピーカーなどが商品化されたら、マルチルーム再生がもっと身近なものに感じられるようになるだろう。

SC-PMX100のようにハイレゾ再生もできるコンポーネントに対しては、「Panasonic Music Streaming」アプリを使って、スマホやタブレットに保存した最大192kHz/24bitまでのFLAC/ALAC/WAV形式のハイレゾ音源もワイヤレスで飛ばして聴くことができる。

AllPlayの手軽で安定したWi-Fi接続が活かせれば、イヤホンやUSBオーディオ出力のほかにも、徐々にその数が増えてきたハイレゾスマホの活用手段がもう一つ増えることになる。BluetoothやAirPlayではできないワイヤレスによるハイレゾ再生への対応は非常に魅力的だ。

AllPlayはオープンなプラットフォームなので、今後パナソニック以外のブランドからもハイレゾ対応の製品も含めて、ユニークな製品が出そろってくることを期待したい。

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