【特別企画】評論家が音質傾向を語り合う
野村ケンジ×高橋敦がクリプシュ「X20i」を肴にぶっちゃけトーク。2ドライバーで音はどう変わった?
Klipsch(クリプシュ)として初めてBAドライバー2基を搭載し、ハイレゾに対応したフラグシップイヤホン「X20i」の発売がいよいよ開始された。同製品を百戦錬磨の評論家たちはどう捉えているのか? 前回記事で製品をレビューした野村ケンジ氏と、ファイル・ウェブで「オーディオ絶対領域」を連載している高橋敦氏が、X20iの音質や魅力を語り合った。(以下、文中敬称略)
■2ドライバー構成になってもクリプシュらしさはしっかり継承
− クリプシュの新フラグシップイヤホン「X20i」が登場しました。ブランド初の2ドライバー搭載という点が大きな特徴ですが、この製品について、どんな印象を持ちましたか?
野村 「フルレンジ+スーパートゥイーター」という構成にすることによって高域の伸びを得られ、高周波歪みも相当追いやることができていると思います。高域も、今までいわゆるカマボコ型だったのが、もう少し伸びるようにできている。それはとてもいいことだと思います。今までとは音のまとめ上げ方が少し変わったけれど、それは全然否定的なものではなくて、音を聴いたら絶対気にいる人がいるはずです。
高橋 Sonion社のAcuPass(アキュパス)テクノロジーを採用した2ウェイ構成にしつつも、クリプシュらしさを継承できていますよね。
野村 アキュパスってドライバーユニットの組み合わせが基本的に決まっているはずで、X20iのように独自の組み合わせってかなり珍しいですよね。もしかすると初めてじゃないかな?
高橋 このドライバーユニットの組み合わせは僕も初めて聞きました。
− ドライバーからちゃんと自社設計しているというのも珍しいですよね。
高橋 基本的にBAドライバーを組み合わせて作るとなると、ドライバーメーカーのカタログの中から、どれがいいかを選ぶ形ですよね。ところがクリプシュの場合は自分で作っている。
野村 アキュパスを独自のドライバーで組むというのは、ソニオンとクリプシュのしっかりした協力関係があったからこそですよね。だからここまでのオーダーメイドができた。それは本当に素晴らしいなと。
■「X10」ユーザーには「買い替えではなく買い増しがオススメ」
− 音質面の印象についてもう少し詳しくお話しいただけますか? クリプシュの従来モデルだと日本では「X10」が人気ですが、そのあたりとの音質傾向の違いなども気になるところです。