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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第142回】迷えるあなたへ! オンキヨー「DP-X1」とパイオニア「XDP-100R」徹底比較

公開日 2016/01/15 10:00 高橋 敦
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■音質チェック|シングルエンド駆動

では両モデル共通のシングルエンド駆動、バランス駆動ではない普通の駆動方法での音質をチェック。音質調整機能はオフにできるものはすべてオフ(設定で「DSP機能」をオフればだいたいすべてまとめてオフにできる)、何かしら選択しないといけないものは以下の設定で揃えた。

●ロックレンジアジャスト|Narrow側へ1段階
●デジタルフィルター|Slow
●ゲイン切替|LOW


イヤホンとしてはShure「SE846」を使用。定番モデルであるので音を想像してもらいやすいだろうというのと、低域側の感触の比較のため低域側まで充実したモデルがよいだろうということ、そして後ほどDP-X1ではバランス駆動も試すのでそのためのリケーブルも手持ちであるということからだ。

まずは両者の印象を簡潔に箇条書きで挙げてみる。違いをわかりやすくするために実際に感じたよりも少し大げさな表現にした。

●DP-X1
・綺麗に整って落ち着きのあるシルキー系の高域
・強調なく最下部まで平坦にすっと沈んだ充実の低域
・全体に整ってすっとした印象
・無理や力みがなく大人っぽい音作り


●XDP-100R
・硬質に輝くクリスタル系の高域
・ミッドレンジに力を込めてドライブする低域
・要所のアクセントでコントラストを高めた印象
・ちょっとだけ攻めた若い音作り


具体的な例を挙げてより詳しく述べていこう。こちらも違いの部分は少し大げさに表現しておく。

▼上原ひろみさん「ALIVE」での印象

X1のシンバルは薄刃でありつつ、ジャリン、ジャーンといった濁点の印象は強めずにシャリン、シャイーンと落ち着いた鈴鳴り。ドラムスのアタックは硬質な速さではなく、打面の皮の張り具合(緩め具合)のペタンとした感触も含めた、太鼓らしさがよく伝わってくる。それでいて速さや明瞭度が不足することもなく、自然な抜けや粒立ちを確保。ベースも多弦ベースの低いポジションの音域までふらつかず安定して追従し再現。音像の大きさも適当、空間の余裕も適当で、イヤホン再生としては狭苦しさもない部類だ。このバンドこの曲この演奏のジャズの要素の方を特に楽しめる音。

100Rはシンバルの濁点成分がX1よりは強めに感じられる。整ったとか落ち着いたとかいう印象は弱まるが、クラッシュシンバルの強打のバシャーンッみたいな迫力はこちらの方がより意図された通り、その場で叩き出されていた音に近いのではないかとも思える。鈴鳴り感も少し派手めだ。ドラムスのアタックはやや硬質でスタンと速い。太鼓らしいふくよかさが少し薄れるのでこの録音とのマッチングという意味では個人的には正直微妙だ。しかし来日ライブでこの曲を聴いた際には、その日のチューニングやPA次第の話だったかもだが、こちらの硬めで速い音に近い印象だった。ベースはベースという低音楽器における中域あたりが少し膨らむ印象。ソリッドさは弱まるが、ブォンと唸るようなドライブ感が出てくる。こちらはロックの要素の方を押し出してくれる音だ。

▼花澤香菜さん「こきゅうとす」での印象

X1はまずとにかく声がよい。ウォームにソフトフォーカスに…ではなくほどよくクールでいて嫌な刺さり方はせず、シャープさとほぐれを良質に兼ね備える。最初に「シルキー」と表現したのはこういった感触からだ。冬の森に喩えるなら少し霧のかかった、でもぴしっと引き締まった早朝のような印象。サ行の歯擦音等の刺さり具合も心地よい。ハイハットシンバルもぴしっとしつつのほぐれ具合。歌に対しての他の楽器のバランスも整っており、空間性の余裕もあって配置も綺麗。

100Rは声も含めて高域側は、最初に「クリスタル」と表現したその印象。やや硬質で明るい輝きを感じる。冬の森に喩えるなら霧は晴れて午前の日差しを感じるような明るさ。とはいえ午後の小春日和や春の訪れまでの激変はしないのは、やはり基本設計は同じということからだろう。全体のバランスとしてはやはり、ハイハットシンバルの鋭さや質感とベースのドライブ感は、X1より少し目立つかもしれない。しかしX1と比べればの話であって、基本的には良バランスの範疇。

▼喜多村英梨さん「掌 -show-」での印象

X1はやはり全体のバランスがよく、歌も含めて個々の音色も綺麗に整っている。バランスが良いので高速高密度なメタルサウンドなこの曲でもどの音も埋もれさせず潰さずに、豊かな情報量も確保。ただこの曲やこういったサウンドだと、「バランスよく綺麗に整っているのはよいことなのか?」の好みは分かれるだろう。

100Rはその点においてこの曲に合うと言ってよいのではないだろうか。全体のバランスや解像感を適正の範囲に収めつつ、ジリジリくるエッジ感やきめ細かすぎない粒の荒さといったギターサウンドの現代的なニュアンス、底の帯域で蠢くベースとドラムスを少し持ち上げて見えやすくしてドライブさせてくれる感じなど、こういったサウンドとの相性の良さを感じる。ハード系メタル系のバンドサウンドと相性がよいオーディオは派手なエレクトロダンスミュージックとの相性もよかったりするので、それそのものやそれを取り入れたJ-POP、例えばPerfumeとかともうまく合う。

▼Robert Glasper Experiment「I Stand Alone」での印象

X1はここまで「整った大人っぽい」といった表現をしてきたのでヒップホップ系のこのサウンドとの相性は微妙かと予想したかもしれないが、悪くはない。この曲はバスドラムやベースの空気感が底の方まで太く生かされている。音源時点でそうなっているからこそ、低域を膨らませてしまうプレーヤーだとそこが強調されすぎて飽和気味になる。しかしこのX1は低域がフラットに充実しているので、低域全体としての総合的な量感や空気感は出しつつも、特定帯域の飽和感は出さないでいてくれる。とはいえシンバルやスネアドラムのザシュッと荒いローファイの質感の表現を綺麗に落ち着かせてしまう感はあり、その点はやはり相性いまいち。

100Rの場合は期待通りによい。前述の飽和感が出やすいという部分も、たしかにX1よりそこは出るのだが、「これくらいは出してくれた方がそれっぽい」と歓迎できる具合、範疇の心地よい飽和感だ。そこは「クラブサウンドブースト」機能でさらにプッシュすることもできる。シンバルやスネアのザシュッと荒い質感も強めに派手めにしてくれるのでそこもこの曲には合う。

次ページ音質チェックその2:DP-X1の2つバランス?駆動

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