HOME > レビュー > 【第143回】あのFitEarがハイブリッド型に挑んだ! 最新カスタムIEM「Air」の魅力とは?

[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第143回】あのFitEarがハイブリッド型に挑んだ! 最新カスタムIEM「Air」の魅力とは?

公開日 2016/01/22 11:12 高橋 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■「ショートレッグシェル」とは?

従来の一般的な長さのノズル(レッグ)だと、耳の穴の中の鼓膜の近くまでがノズルで埋められていた。そのことによって遮音性と装着の固定力を高めつつ、鼓膜の近くにダイレクトに音を送り込んでいたわけだ。

対してショートレッグは耳の入り口近くの形状を利用してそこに引っ掛けるような感じで遮音性や固定力を十分に確保しつつ、ノズルを短くしている。すると耳の中の空間容積、「外耳道残存容積」が広がり、「気圧変化による動作規制」をほとんど無視できるレベルにまで軽減できるという。

この仕組みを聞いて僕が疑問に感じたのは、「それだと耳の穴の大きさの違いの音への影響がより大きく出てしまうのではないか?」ということだった。耳の穴の中のスペースをより広く活用するということは、そのスペースの個人差もより大きく反映されてしまうのではと思ったのだ。

しかしその点も問題ないとのこと。耳の中のスペース、外耳道残存容積がある閾値を越えれば、その先での変化はこれまた無視できるレベルだという。正確なものではないが、概要を模式図で表現すると以下のような感じだろう。


ただし店頭等での試聴機は、イヤーピースを使ったユニバーサル型の形にせざるを得ないため、ショートレッグをしっかりとは再現できていない。対策としては、通常より浅く装着することでショートレッグの状態に近付ければ、このモデル本来の音により近い音を試聴できるとのことだ。

ということでFitEar Airは密閉性を確保しながらダイナミック型ドライバーを搭載し、その特性を引き出すことに成功した。なおそのダイナミック型ドライバーはFOSTEX製の9mm径のもので、ハウジングにも「FOSTEX」の文字が入る。カラーバリエーションの中でもオレンジが特に前面に出されているのも、FOSTEXへの感謝を込めて同社のイメージカラーを採用したからという理由のようだ。

次ページ音質チェック!

前へ 1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE