<山本敦のAV進化論 第97回>
「HTC Vive」でVRの未来はどう変わる? 玉野社長が語る展望&実機レビュー!
「VR映像の画質はディスプレイデバイスに依存するところもありますが、それ以上にグラフィックボードの処理性能と直結しています。
4K対応のVRをつくることは、現時点でも不可能ではありません。でも最高スペックのグラフィックボードが必要です。そうなると、ユーザーの皆様がよりハイスペックなPCが必要になり、システム全体を揃えるためにより高額な機器を揃える必要がでてきてしまいます。
HTC ViveではルームスケールVRのコンセプトを実現するため、プレーヤーの動きをミリ単位の精度で正確にトラッキングする必要がありました。今回はその点に重きを置きつつ、映像の精彩感とのバランスを図った結果、PCをベースに2.5K画質のVR体験というシステムを設計しました」
「でも当然ながらここにとどまるべきとは考えていません。HTCはもともとスマホのメーカーなので、スマホを軸にVRエンターテインメントを進化させたいという強い思いを持っています。PCを中心としたヘビーゲーマーのための製品ラインを一つしっかりと立てたうえで、よりカジュアルにVRを楽しむためのモバイル製品のラインナップを、それほど遠くない未来に拡充したいと考えています。
そのために、今のプラットフォームに最適化したコンテンツを、モバイルベースやMacベースのプラットフォームへ簡単に移行するための仕組みも整えています。同時にワイヤレス対応のVRヘッドセットの開発も進めていきます」
VRエンターテインメントの体験品質を高めるためには、リフレッシュレートやディスプレイの解像度よりも「位置補足の精度」を上げていくことが大事だと玉野氏は強調している。
「プレーヤーの動きと映像のズレを抑えながら高精度なトラッキングができれば、VR酔いも減らしてストレスのないコンテンツ視聴が可能になります。リフレッシュレートは60Hzを超えるとあまり差がわからなくなります。今回HTC Viveでリフレッシュレートを90Hz以上に上げることも可能でしたが、ルームスケールVRのコンセプトを基点とした正確な位置補足のために処理能力を振り分けながら、ギリギリのところでバランスを取った結果90Hzがベストと判断しました」
■ヘッドセット未装着者ともVR体験をシェアできる仕組みも
VRコンテンツの感動はヘッドホンやイヤホンで聴く音楽のように、他者と同時に共有することが難しい。ヘッドセットを装着しながら「うおー!すげえ!」と奇声を上げている姿は端から見れば異様な光景でしかないし、プレーヤーも孤立しがちだ。