<山本敦のAV進化論 第97回>
「HTC Vive」でVRの未来はどう変わる? 玉野社長が語る展望&実機レビュー!
中でもVR空間にお絵かきができるペイントツールにはまった。こちらのコンテンツは色んなペイントブラシを切り替えながら「空気」に絵が描けるというシンプルなものだ。リアルの世界でも、熱によって溶かした樹脂で立体アートが描けるペン「3Doodler」が話題を呼んでいるが、あの感覚をもっとスラスラと紙の上にペンを走らせるスピード感で楽しめるのが、まさにデジタルのVRエンターテインメントによる醍醐味だ。
デモでは色んなコンテンツを体験させてもらったため、一つ一つのコンテンツをゆっくりと吟味できなかったが、もしHTC Viveがわが家にやってきたら時間を忘れて一日中遊びほうけてしまうであろう自分を思い描き、恐ろしさを感じてしまった。いままで使っていなかった脳の未開領域を刺激されたような心地よい時間だった。
■HTCが独自のVRコンテンツ配信も強化
VR空間を自由に動き回れるのがHTC Viveの特徴ではあるが、ゆっくりと座って高精細なVR映像を受け身でゆっくりと鑑賞できるコンテンツも欲しい。今後はどんなコンテンツが増えていくのだろうか。玉野氏は「HTCはVRをゲームの範疇にとどめておくつもりはない」と言い切る。
今回発売されたHTC ViveはハードをHTC、ゲームコンテンツをValveがそれぞれ開発している。HTCではコンテンツのバラエティを広げるため、「VIVE Port」という配信ポータルを独自に立ち上げ、アメリカと中国でサービスをはじめた。
また本社にはVRの開発チームをつくり、ゲーム系をはじめ様々なVRコンテンツを社内で独自に開発できる体制を整えた。日本でのHTC Viveの展開次第では、VIVE Portの上陸は有り得ない話ではないと玉野氏は可能性を示唆する。
「HTC Viveの発表後、エンターテインメント業界を超えて色々なプロフェッショナルの方々からも『HTC Viveを使ってこんなことをしてみたい。こんなことができるのか?』といった問い合わせを多くいただいてきました。
旅行や不動産、建築、自動車などの各産業、文教方面など様々なフィールドで活躍される方々が、いまVRを基点に新しいビジネスの可能性を探っています。中には製品をつくった私たちも思いも付かないアイデアがたくさんあります。
VRの可能性を伸ばしていくために、HTCとしてパートナーをしっかりとサポートできる体制を急ぎ整える必要を感じています。早くもVRはゲームのためだけのものではなくなりつつあります」(玉野氏)
VRならではの体験を活かした映像エンターテインメントは、いまHTCはアメリカの映像製作会社とタッグを組んで制作に乗り出した。「VR映像が3Dオーディオの技術と融合することで、より臨場感・没入感の高いコンテンツがつくれるはず」と玉野氏は音響技術との融合がVRエンターテインメントのクオリティアップには不可欠と強調する。
■よりカジュアルにVRが楽しめるモバイル展開も視野に
HTCではモバイルベースのVRギアにラインナップを発展させていく計画があるようだ。詳細を玉野氏に訊ねた。