[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第160回】良いメンテナンスが良い音を作る!ポータブルオーディオの “お手入れ法” 徹底解説
▼通気
部屋全体、窓を開ける場合は当日の屋外、それらの気温と湿度が良好な場合という前提でだが、その部屋の中で風通しの良い場所というのもオーディオ機器の置き場所に求めたい条件。逆に最悪なのは「中途半端な遮蔽空間」だ。
例えば「ダンボール詰めにしてふすまの押入れの奥に」とかは劣悪な環境と言える。湿気や熱がこもりやすいからだ。「押入れにしまいこんでいたアナログ盤がカビてたり変形してたりした…」などの例は、置き場所が悪かったというのが問題。
一方「しっかりとした遮蔽空間」なら、長期保存環境として悪くない場合も多い。例えば地下室は外界の気温や湿度の影響をあまり受けずに一定の環境が保たれる傾向にある。地下という場所柄やコンクリートの乾燥不足などで湿気がこもりやすい場合もあるので油断はできないが。
現実的には通気性でいうと、
「ちょいちょい使う機器なら、しまいこまずに風通しのよい場所に置いておく」
「しばらく使わない機器をしまうにしても、手の届く・目の届く程度の場所で」
というくらいの意識が妥当だろう。
なお現時点でしばらく押入れの奥とかにしまいこんでいて「すでに…手遅れだ…」なイヤホンがある場合、まずは風通しのよい場所にしばらく吊るしておくといった程度のことから試してみればよい。さらには乾燥させすぎないタイプの除湿剤、除湿剤ではなく調湿剤とされているものと一緒にタッパー等に入れて一晩放置、最終手段としては補聴器用メンテナンスグッズの除湿ボックスなんてものもある。
▼直射日光
これを避けるべき理由は、
「直射日光を受けるとその物自体が加熱される」
「直射日光によって劣化を起こす素材や塗装がある」
というふたつの点が主だ。「通気性」と合わせて、「デリケートな洗濯物は陰干し」みたいな感覚で覚えておいていただければと思う。
なお、しっかりクリーニングして十分に湿気を飛ばした上で、室内の湿度もほどよい日を狙って「頑強なハードケースに密閉して直射日光の当たらない場所にしまっておく」というのも、上記の条件を高いレベルでクリアできる手段と思える。もちろん、その「ハードケース」の能力次第だが。