[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第164回】本当に乗り換える価値アリ?「AK70」とAK歴代エントリーDAPを比べてみた
■実際に比べてみる!操作性の違いは主にソフト面
次に操作性だが、ハードウェア的な主要インターフェース要素の配置は、AKシリーズはこれまで見事なまでに一貫性を保っている。
・左側面に曲送り/再生停止/曲戻しボタン
・上部にイヤホン端子と電源ボタン
・右側面にボリュームダイヤル(またはホイール)
・前面タッチパネルディスプレイ
筐体の形状やサイズ、ボリュームダイヤルの形状といった違いはあるが、どのタイミングで乗り換えても指の置き場に極端に戸惑うことはない。
一方ソフトウェアインターフェース、「タッチパネルの中」の操作感は、ある程度の一貫性は確保しつつも、世代ごとの違いは小さくないというか大きい。
第一世代のAK100MKIIは筐体が小さい上に、その小さい筐体の中で画面が占める割合も大きくない。となると必然的にインターフェース要素を画面内に「うまく押し込む」といった感じになっており、当時としてはうまくできているのだが、いまとなっては窮屈さは否めない。また単純に、画面が小さいので一覧性が低く、曲を選ぶときなどスクロールが増えるというのは弱点だ。
動作も軽快とは言えず、ワンテンポ遅れる。フォルダ等をタップすると画面が右ではなく左に進むようにスクロールするアニメーション効果が入るのも、日本的な感覚、例えば左から右へと横書きする感覚からすると、違和感がある。まあ、動作のもたつきやスクロールアニメーションのあたりは、慣れてしまえば「これはこういうものだ」と感じる程度のことだが。
Jrは、そもそも第何世代などと言いにくい感じのイレギュラーなモデルで、ソフトウェア的にもイレギュラーだ。AK100MKIIと同じ世代かというとインターフェース的にはAK240以降の第二世代に"似せてある"ので、そうとは言い難い。しかし内部的には、AK240以降の第二世代はAndroidベースだがJrはそうではなく、おそらく第一世代に近い。スクロールアニメーションの違和感も第一世代と同様だったりする。
それらに対してAK70は、ソフトウェア的な操作性、インターフェースの面では、多くの方にとってより快適なものと言えるだろう。前述のように完全に第二世代・第三世代のシステムに移行。第二世代の登場からはしばらく経っており、システムの安定性の向上、インターフェースの調整も十分に行われている。動作も、さくっと軽快とまでは言えないが、アニメーション効果の使い方などで、よい感じにぬめっと動いてはくれる。もたついてイラつくというようなことは僕としてはない。スクロールアニメーションの方向も第二世代以降は左から右に進む。
…ということで使い勝手の面からは、僕個人としてはAK70の優位を認めざるを得ない。「ざるを得ない」という言い回しになるのは、Jrの薄さは、やはり魅力的だからだ。
しかし現状、バランス駆動対応は売り文句としても欠かせないだろうし、名前ばかりではなく実際に力を発揮するバランス駆動アンプを組み込むことは、Jrの薄さでは難しいだろう。現行世代のシステムに必要な処理能力、ディスプレイ解像度、それらを稼働させるバッテリー容量等も考えれば、AK70はそれらをクリアした上での最小サイズだろうと納得できる。現時点でベターなパッケージだ。